子宮の記憶 <ここにあなたがいる> (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (664ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062755962

感想・レビュー・書評

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  • ◆あらすじ◆
    会いに行こう、かつて僕を誘拐した女に!
    生後三日で新生児室から連れ去られた過去を持つ十七歳の島本真人は、実母の愛を十分に受けずに育った。
    父が経営する歯科医院の機材を壊して、現金を持ち出した真人は、神奈川県の真鶴を目指す。
    そこには「誘拐犯」、黒江愛子が住んでいるのだ。
    (『キッドナップ』改題)

  • 読んでいる最中はとても楽しめました。
    読後感は多少「ん〜」って感じだけど・・・。

    ☆詳しいレビューは<a href="http://ihuru.blog46.fc2.com/blog-entry-101.html" target="_blank" title="コチラ">コチラ</a>

  •  実の親達とうまくいかない17歳・島本真人は、ちょっとしたことで今までつもりつもったものが爆発、父親の歯科医院で暴れた後、家を飛び出した。そして向かった先は、幼児の頃、自分を誘拐した女のところ。ずっと気になっていた、自分を誘拐した女。もしそのまま、その女が自分の母親になっていたらどうなっていただろうか?今の本当の母親と何が違うんだろうか?誘拐犯の女の居所をつきとめ、素性を隠してアルバイトとして雇ってもらい、住み込みで一緒に暮してみて真人が感じたこととは?

     感想を書くのがものすごく難しい。真人の行動や思考も、理解できるようで理解できないようで。それでも、この誘拐犯の女とのやりとりには心温まるものを感じたり、真人が実親の元にいる時とはどんどん変わっていく様をただ単純に嬉しく思えたり。17歳という年齢にしては、酒やらタバコやらセックスやら、こんなに達観しているもの!?という感じがして疑問が残るが、不思議と嫌な気持ちにはならずに最後のページまで読みきった。親と子って難しいなぁ。

    あと、248ページにこんな一文が。主人公がクラブで。

      僕は、KinKi Kidsの『情熱』にしようか、
      山崎まさよしの「Plastic Soul」にしようか迷った。

    でも結局、歌うのはわらべ歌の『めだかの兄妹』なんだけど。

  • かって新生児のころに誘拐された過去を持つ男子高校生。実母の愛を受けずに育ち、自分を誘拐した女に会いにいこうとする。

    アダルトチルドレンについて描いた小説を読みたくて、ミクシーで紹介されていたこの本を手にとってみました。
    うまくできてはいるんですが、小説の限界を感じました。今ひとつリアリティがないんです。
    あれだけお母さんに虐待されているにもかかわらず、自信もありバイトもそつなくこなし賢いはきはきとした主人公。普通、虐待されたらこんなになんないんじゃないかと疑問。誘拐した女との関係もすごくうまくいくし・・。つくりものっぽさを感じずにはいられません。高校生にしてはしっかりしすぎだし・・。

    ただ健全な女性に惹かれず、美佳のような複雑な女性に恋していくさまはリアル。

    「良き家庭、良き人間関係・・何事においても理想が先行しているから生身の人間のやることは全てうそくさく見えるのかもしれない。しかし現実というものを掴み取る術を教えられないまま育てば、ユートピアが頭の中で増殖してしまうのは仕方のないことではないか」という言葉は印象的でした。でもこれが高校生の洞察ってありえないし・・。

  • 2007.1.29

  • 子供が読むもんでもない

  • 分厚かったけどすぐ読めたー。これも映画が先。そしてこれも映画のほうがよかっ・・・w映画で好きだったシーンがどんなふうに書かれてるか楽しみで読んだのに、全然なかった!!wカーネーションとか、チークとか、ビンタとか。あと愛子さんがあんまり魅力的に書かれてなかったのと、美佳に惚れる意味がわかんなすぎる。その心理はむずいです藤田さん!映画の美佳との関係のほうがわかるー。

  • 初っ端から熱く始まる描写に驚いたけど

    昨日読み始めた時のアタシの気持ちと とても似ていて

    スンナリと 面白く 最後まで愉しく読めた。

    なんの伏線もなしに

    「俺さ、赤ん坊のときにさらわれたことがあるんだ」のセリフには

    ココで終りか。と些かガッカリきたけども 

    長い物語の中では たった1つの失点という事でノープロブレム。

    あ!!美佳の部屋に携帯を落としていった理由も説明おかしいから失点2ポイント。

    主人公は男の子で高校生で 全くアタシとは違うけど

    親は金持ちでいい家に住んでいて 全くアタシの親とも違うけど

    アタシの親に対する気持ちは 非常に全くといっていい程似ていた。



    誰にでも理解できる暴力行為が行われていたら、

    僕はどんなに救われただろう。

    未成年の歳からずっとずっと思っていた気持ち。

    そこから始まって 主人公の母が亡くなった後の気持ちも

    多分その時にそう思うんだろう。と いつも思ってるアタシの気持ち。

    とはいえ 死に顔を観ての言動も否めなかったりする。

    全てお子様ランチな気持ち。



    今まで誰にも晒した事のない自分の闇の部分を 全く知らない人が

    全くアタシなんてお構いナシに書いた文字が 

    どれもこれもドンピシャで 自分と向き合うようだった。

    向き合う=反省ではなく。確信。確信=愉快。



    昨日この本に出会えて良かった。

    アタシ一人だけが 

    こんな思いを抱えて生きているんじゃないと思えて良かった。

    苛立ちの中で断片的に思う事を実行する前に読めて良かった。

  • 主人公が気に入ってしまい、それだけで楽しめた。
    短いわけでもないけれど、一気に読んでしまって、満足感もあった。
    海のイメージが浮かんできそうな描写もよかったです。

  • 幼少の頃、自分を誘拐した女性に会いに行くなんて、とても設定が変わっている。
    出てくる人達は、感情を表面に出さないがみな心の奥に何かを抱えて生きている。
    そんな人達に好感が持てた、破天荒な美佳でさえ。

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著者プロフィール

1950年福井県生まれ。早稲田大学文学部中退。パリ滞在中エール・フランスに勤務。76年『野望のラビリンス』で小説デビュー。95年『鋼鉄の騎士』で第48回日本推理作家協会賞長編部門、第13回日本冒険小説協会大賞特別賞をダブル受賞。その後恋愛小説へも作品の幅を拡げ、99年『求愛』で第6回島清恋愛文学賞、2001年『愛の領分』で第125回直木賞受賞。17年には『大雪物語』で第51回吉川英治文学賞を受賞した。その他『タフガイ』『わかって下さい』『彼女の恐喝』など著書多数。2020年逝去。

「2021年 『ブルーブラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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