6ステイン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757089

感想・レビュー・書評

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  • 電車で市ヶ谷を通るたびに
    思い出さずにはいられない。

  • 一度読み始めたらあまりの面白さにページをめくる手が止まらず、午前3時までかけて読了しました。


    防衛庁情報局、通称「市ヶ谷」の特殊工作員たちが中心となって展開する6つの短編。日常は市井に紛れ、一般人として日々を送る彼ら。しかし、ひとたび指令が下れば、「国家の利益」の大義名分の下、合法、非合法を問わない任務の遂行が義務付けられる。

    この手の工作員というと、一騎当千の戦闘のスペシャリストだったり、ずば抜けた知性の持ち主だったり、凄腕のハッカーだったりするのがお約束だが、この作品に登場する工作員はちょっと違う。

    顧客の獲得に必死になるサラリーマンだったり、くたびれたタクシーの運ちゃんだったり、仕事と家庭の間で板ばさみになるワーキングマザーだったりする。

    それぞれが置かれた状況下で、それぞれが心に抱えるわだかまり。

    そんな6つの”ステイン”(染み)の物語。


    特に母子の絆がテーマの第4話「媽媽」にはやられました。
    ママさんエージェントが大活躍?する話なので(この作者には珍しく)女性にもオススメ。

  • 今の日本にこれだけの組織が本当にあれば。。。

    イヤ、あるはず。。。
    イヤ、あれば、この情けない外交結果はないか。。。

  • 読んだつもりで読んでなかった!わああどの話も胸を打たれる…。相変わらずしれっと泣かせに来るのが憎いです。好き!どの話でももれなく泣きそうになったけど、最後の短編でもう駄目だった。木村の正体とその後のあれこれでもう… もう…っ!うわあん!好き!!!

  • 再読
    面白い

    作品の紹介
    愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。

  • 図書館

  •  ステイン:Stain・・・不実、汚れ、汚点

     6つの不実の人生の中にそれぞれの正義を見出す物語だ。防衛庁情報局という非公開組織に属し国家の安全のため諜報活動、ハードオプションを行う工作員達が何を思って活動をしているのか非常に熱い物語だ。

     工作員から身を引き新しい生活に入りながらも北朝鮮の工作員に命を狙われながらも過去の不実をぬぐうため一瞬の正義に生きる最初の短編「いまできる最善のこと」がこの短編集の全てを語っていると思う。

     工作員ってことはそもそも国家正義のためでもきれい事だけで済むわけがない。だからステインだ。そこに漂う後ろ暗さとは裏腹にいやだからこそ正義を貫く勇気が必要だという力強いメッセージが清清しい。そして熱い!

     「生きる」ってことです。

  • 相変わらずハードボイルド。市ヶ谷とか霞ヶ関とかかっちぇー。
    これを読んでいる数日間、自分の人生がすごく平凡でアンイベントフルなものに思えた。
    登場人物とかみんな自分くらいの年齢じゃん。生い立ちも、まあ自分ほど幸せじゃないにしても、同じ日本生まれ日本育ちじゃん。
    自分だって体力気力に自身はあるほうだし、DAISのリクルーター!ここにも一人いますよ!!
    本気でスパイのリクルーターが来たら、パンツと別れることになるのかなぁ。本気で別れそうな自分にうける(笑)

    ともあれ、残念ながらいつも雰囲気・キャラ読みなので、長くてもたまに辛くても長編の方が好きなんですね。
    それにプラス、短編集に分かれた長編、(例の短編集ごとに時間軸がずれつつも繋がってる伊坂戦法ですね)だと期待してたから、ちょっとがっかり感も伴いまして、そこまで評価が高くないんです。

    それでも心残りありまくりの中国マフィアの話媽媽の中国マフィアの仇がきちんと「断ち切る」できちんと取られてたのはよかった。ほっとした。そもそも話が繋がってるのが好きだしね。
    そんでもって920を待ちながらのエンディング、やばいっ!!
    話が二転三転するから、できることなら一気読みしたかったけど、それでも最後の最後で如月っ!如月行ですよねっ!!!再び電車の中でパタパタしてしまいました。無言の怪しいパタパタ。

  • 初めて読んだ福井晴敏作品。
    中国や北朝鮮を「敵」に回し、そこからやってきた工作員と攻防を繰り広げる防衛庁情報課で働く情報員たちの姿を描く連作短編、というと右っぽいにおいもするけど(ごめん、あえてバイアスかけて書いてる)、主人公たちには温かな血が流れていることが感じられるし、人々の想い―それは「標的」である「敵」と想定される人々たちでさえ―も丁寧に描かれている。そこが類似の作品とは違うんだろうな、と思うんだけど、もう少し福井氏の作品を読んでいくか。

  • かなり前に読了していたけどブクログ本棚に置いておきたくて登録。

    福井晴敏さんの本、好きです。
    これは短編だけど、それぞれがしっかりした構成で厚みがあります。秋の夜長に、また読み返してみようかな。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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