新装版 マジックミラー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760157

作品紹介・あらすじ

琵琶湖に近い余呉湖畔で女性の死体が発見された。殺害時刻に彼女の夫は博多、双子の弟は酒田にいてアリバイは完璧。しかし兄弟を疑う被害者の妹は推理作家の空知とともに探偵に調査を依頼する。そして謎めく第二の殺人が…。犯人が作り出した驚愕のトリックとは?有栖川作品の原点ともいえる傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 初期作品でしたが、日村先生とアリスが出てくるのを待っている自分がいた。居たらなーと不毛なことを考えつつ、ミステリーを味わいました。私の好みですが、探偵役がメインでいたらもっと面白かったなーと思ったりしました。これは、犯人にアタリをてずに、予備知識ゼロ、他の方の感想を見ずに読み始めた方が面白いと思います!

  •  余呉湖近くの別荘で見つかった女性の死体。彼女の夫とその双子の弟に容疑がかかるが二人には完璧なアリバイがあり…

     これぞ正統派の本格ミステリ! 鉄道の時刻表と双子の容疑者という絶対入れ替わりトリック使ってるな、というベタさとそれに挑戦しようという有栖川さんの意気込みが現れているような気がします。

     そして二つ目の事件でのトリックも独創的というかこの小説だからできるもので面白いです。第一の事件が時刻表を使ったアリバイ崩しなら、
    第二の事件は犯人のトリックを見破ってのアリバイ崩し、と趣向が違うようにできています。

     そしてもう一つこの小説で特徴的なのは「アリバイ講義」。さまざまなミステリのアリバイの分析、分類が試みられていてミステリ好きならここも読んでいて楽しいのではないでしょうか。

  • 1作目、2作目とロジックに重点を置いたパズラー風作品を上梓していた有栖川有栖の第3長編。

    今作はフーダニットではなくハウダニットものであり、本格的なアリバイ崩し作品。
    アリバイ講義などもあり、氏のアリバイへの熱が見てとれる。

    一つ目のトリックはいわゆる時刻表トリックなのだが、そこに切符という「物」を絡めているのが巧い。とても分かりやすく、切符のトリックには驚かされた。
    二つ目のトリックは、秀逸なのは間違いないが、少し予想がついてしまった。「双子を両方殺して死体を移動したりすれば何とかなるんじゃね?」というしごく簡単な発想ではあったのだが、驚きが半減してしまったのは残念。

    二つの秀逸なアリバイトリックに加え、探偵の小桑までも双子だったという皮肉的な真実や、「マジックミラー」という象徴的なアイテムなど、様々な趣向が凝らされており、読み応えがあり非常に完成度が高い。
    有栖川作品の中ではあまり知名度が高くないように感じるが、なかなかの秀作。

  • 有栖川有栖先生の初期の作品だけあって結構昔の話となる。時刻表トリックについては時刻表の知識がほぼないため全くわからず。読んでいても「うーん…」となることしばしば。作中に出てくる他のトリックについては現在だとそう目新しいものではないが当時だとそうでもなかったのだろう。そういう意味でも有栖川有栖先生の現在の作品に至るルーツを知れたような気がする一作だった。

  • 双子の兄弟の兄の奥さんが殺害されるところから物語が始まる。
    メインの登場人物は双子、被害者、その妹、被害者の元恋人、探偵。
    作中でも出てくるが、日本特有のアリバイトリックに焦点が当てられたた作品。
    350ページとわりかし短いので早く読み終わりました。
    時刻表を使った緻密なトリックなど推理小説要素強めで、
    被害者の殺害動機、犯人の描写がもう少し分厚いと面白かったなとおもいます。

  • あっ、これが俗に言う鉄道トリックってやつか!ってテンション上がり気味で読みましたが、トリックと犯人よりもあっ!えっ!そっちだったかーあーやられたーって言うポイントがありましたねー。全然関係ないその会話に持ってかれましたわ。ʕ•ᴥ•ʔすごい構成だなー。

  • 時刻表トリックは散々読んできたが、今回のトリックはなかなか面白かった。実現性は疑問だが、私はそもそも本格ミステリーに現実性など求めない読者なので、別に気にならない。
    そして第二の事件もなかなか面白い。いずれも犯人がわざとらしいので直ぐに分かる。
    しかし探偵はやり過ぎかな。ちょっと興醒め。ここで『盲点』を使ってくれたら良かったのに。
    アリバイトリックの分類はなかなか興味深く読んだ。鮎川さんは好きなので、鮎川作品がいくつも出てくるのは嬉しい。
    そして何故表紙が二枚?何かの仕掛けか?と思ったら、新装版だった。

  • 余吾湖畔の別荘で所有者の妻が殺された。
    警察は被害者と関わる人たちに聞き込み捜査を始める。
    推理作家である空知雅也は、被害者が学生時代につきあっていた元恋人だったため、警察からの事情聴取を受ける。
    被害者・恵に多額の保険金がかけられたいたため、恵の夫・柚木新一が疑われるが確かなアリバイがあった。
    納得できない恵の妹・ユカリは、空知に一緒に事件を調べてくれるように頼みこむ。
    新一と双子の弟・健一の完璧すぎるアリバイ。
    多くの乗客が利用するなかのたったひとりの乗客のアリバイなど、本来ならばあやふやなものであるのが自然だ。
    なぜか、新一も健一も、周囲の人たちにあえて強い印象が残るような行動をとっている。
    そのため、複数の人間がふたりのアリバイを証言する。
    推理小説において完璧すぎるアリバイは、すなわち犯人では?と疑われても仕方がない。
    読みながら、事件はこの双子の兄弟の共同作業なのだろうなと簡単に予想ができた。
    だが、この物語はそこからが面白い。
    真犯人では?と予想していた兄弟のうち一人は殺害され、一人は行方不明となる。
    いったい誰が、何のために、兄弟のうちの一人を殺したのか。
    そもそも殺されたのはふたりのうちのどちらなのか?
    結末は切なく哀しい。
    そして「マジックミラー」というタイトルが、この物語にふさわしいものだったと納得する。
    意外なトリックも含め、楽しめた物語だった。

  • どこかで結末を知ったうえで読んだから、読み始めた段階で苦しさはあった。
    最初から最後まで双子に惑わされた。
    数字に弱いので、時刻表見ながら目眩を起こしたことは内緒だ。
    空知さんには幸せになってもらいたかった……

  • 最初は本当に興味深く読んでいたのです。第一の殺人が起こり、その犯人はわかっている。そのあとどうなるのか。しかし、その後の事件が起こり、段々嫌な気持ちになって来た。トリック云々よりも嫌な気持ちが勝ってしまった。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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