- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062761383
作品紹介・あらすじ
天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?妻を惨殺した少年たちが次々と死んでいく!
生後5ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ3人は、13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の1人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
幼い娘の目の前で、13歳に満たない少年達によって妻が殺された。
未成年というだけで法に守られ更生の名の擁護をされる少年達。被害者遺族の慟哭を黙殺するように審判は進行していく。犯罪被害者家族の存在には目もくれない。罪を認め更生し社会復帰をさせる為、被害者遺族との接触を頑なに阻止する体制に、「擁護派」「否定派」のこの極端な二択が産まれる。この衝突は、今もどこかで様々な慟哭を引きずり出しているのだろう。
贖罪感情を深められない矯正教育が軸となった少年犯罪法「否定派」をテーマにしたゴリゴリの社会派ミステリー。...だと思っていた。
ーーーーーーーーーーー
妻を殺された桧山は娘と妻の友人だった保育士のみゆきや職場の従業員達に支えられながら日々を過ごす。妻が殺された時の娘の記憶に脅え、いつか話さなければならない時に加害者の情報、彼等が更生しているのかさえ知る術の無い怒りと悲しみの現実に囚われていた。
ある日、加害者少年 〈少年B〉が殺されたと刑事がやってくる。容疑を否定する桧山だが、次々と少年達にー彼の言葉を借りるならー天罰が下っていく。
ーーーーーーーーーー
本書の魅力はここからだ。社会派の皮をベリベリと引き剥がし、エンターテインメントを魅せつけてくれた。しかしその皮を消して投げ捨てる訳では無い。言うなれば進化、メガ進化である。私はポケモン世代である。
桧山が真実を求め奔走する後半は、ミステリーとしての要素が一層濃くなり本を閉じるタイミングを完全に失った。
薬丸岳の作品はスケールが大きいのに登場人物に無駄が無い。誰もが何かを感じ考え行動している。被害者と加害者、両者の周りの者達、それに影響された者達。全てに魂が宿っている。
ただし、エンタメ性を忘れてはいけない。悪く言うようだが、500ページに満たないこの作品で相関図で言う繋がりを示す矢印が判明する過程や、人物ファイル 驚愕の真実の更新はミラクルが付き物だ。
そんな偶然...いや、そんな奴いな...そんな後付けずっこぃ...
なんて現実主義、本末転倒な考えは、それが「楽」をマイナスにしてしまうのなら、遥か彼方に投げ捨てて欲しい。
因みに私はそれをしたせいで読了後、何だかとても勿体無いことをしたような後悔に襲われた。
さて、一言で言うなら本書は「欲張りセット」だ。
社会問題に頭を痛め、ミステリーに頭を痛め、沢山のゴールがある中この着地点を選んだこの結末について最後にまた頭を酷使する。
「改名 欲張り頭痛セット」
檜山と娘の愛美ちゃんにはこれから幸せな日々を送り、沢山の想い出と共に二人手を繋いで進んでいって欲しいなぁ。
解説の高野和明先生も仰っておりましたが、私も気付いたら本書片手にコーヒーとデニッシュをパクついておりました。( "´༥`" )モグモグ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妻を殺したのは13歳の少年たち。少年法で守られた加害者と、何ひとつ守られない被害者遺族の対比が描かれた物語。
つい先日、湊かなえの『告白』を映画で視聴。
レビューでも記したが、少年法の在り方には私自身も答えが見出せていない。
薬丸岳は初読。
まず、これがデビュー作とは思えないほど極めて完成度が高い作品に圧巻。細部までボヤけることなく描き切るスタイルに好感が持てた。
妻を殺され愛娘と暮らす夫の心理描写がとても丁寧に描かれていて、やはり父である私としては感情移入しながら読み入った。
また本作は、被害者側から見た少年法の理不尽さや、加害者の人権とは何か。更生とは何か。贖罪とは何かという命題を読者へ問うてくる。
幾重にも張り巡らされた仕掛け、展開、そして衝撃のラストに、ミステリーとしてとても読み応えのある作品だった。何より、複数の伏線が最後まできちんと回収されていたのが好印象に拍車をかけた。
薬丸岳、長きに渡って積読してきたがこのタイミングで通読しようと思えたのは偶然か、はたまた必然か。
積読棚に鎮座している著者作品があと1冊。
連読しようか否か迷走中の月曜の朝。 -
負の連鎖やな。
加害者が被害者になる。
被害者が加害者になる。
更に、それを操る…
子供には可塑性があって、元に戻る力が強い。更生出来るって事なんやろうけど、やっぱり、被害者からしたら、やりきれんもんがあるわな。
それを考えると、やはり連鎖の始めを起こした者には、それ相応の…とは思ってしまう。
簡単に更生なんかできないし、簡単に恨みを忘れる事も出来ない…
こういうのを納得するには、凄い時間をかけて、被害者と加害者が試行錯誤して、歩みあって出来るんかなぁ…
難しい…
この小説では、最後、やりきれん展開なく終わって良かった〜
高野和明さんの解説も良し! -
面白かった。久々の一気読みでした。
少年犯罪を軸に描かれた話。少年犯罪の加害者と被害者、それぞれの感情やその後の人生がしっかりと書かれていて色々考えさせられるところが多かった。少年法の問題点や加害少年の更生プログラムのあり方、被害者家族への救済など、とても一朝一夕には解決できない課題が浮き彫りとなって心にずーんと響きました。
ストーリーは過去に主人公の妻を殺害した少年たちが次々に襲撃され、殺傷されたところからはじまり、犯人の疑いをかけられた主人公が無実を証明するために動き出す……というお話でした。
ミステリーとしては秀逸でとても面白かったです。
ただ、主人公の周りには少年犯罪に関わった人が多すぎないっ??とちょっとツッコミたくなりましたが……
ミステリーとしても面白かったですが、やはり少年法が掲げる更生とは何なのか、贖罪とは何なのか、ということが一番胸に残りました。
とても読み応えのある作品でした。お薦めです。 -
薬丸さんの本を初めて読みました。
驚愕!!吸い込まれすぎて数時間で一気に最後まで読んでしまいましたーっ!!
こわいこわいこわい。。
物語自体は重いんですが、
何度も、ドカーンっ!と驚かされ、、えー?みたいな。もうジェットコースター並みの驚愕、、、
何かあるんだろうな?なんだ?と思っても、最後の方まで真相わからず。
いやあ、今までなぜ一冊も読んでなかったのか、
また好きな作者が増えたー!!!!!
-
2022/05/18
-
なんなんさん、いつも私の自己満レビューをご覧いただきありがとうございます♪ !
薬丸岳&伊岡瞬のW積みなのですね。よくあることです!ミステ...なんなんさん、いつも私の自己満レビューをご覧いただきありがとうございます♪ !
薬丸岳&伊岡瞬のW積みなのですね。よくあることです!ミステリ好きあるあるなのでお気になさらず、読みたい作品を読みたい頃合いで味わいましょう(´∀`✴︎)
また、遊びに来ますね!^ ^2022/05/18 -
そです、W積みです笑
そう言って下さって安心しました★
ミステリー好きなのは最近気付きました笑
これからも宜しくお願いします〜(*^^*)そです、W積みです笑
そう言って下さって安心しました★
ミステリー好きなのは最近気付きました笑
これからも宜しくお願いします〜(*^^*)2022/05/18
-
-
私が読んだ薬丸岳先生の本は、これが三冊目。
どれも少年犯罪をテーマとした本だった。
この本も然り。
Aではない君と、有罪と読んで、この天使のナイフ。
この本がミステリ好きの自分には一番合っていた(*^-^*)
生後五ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。
だが、犯行に及んだ三人は、十三歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。
四年後、犯人の一人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。
少年たちは更生し、どのような気持ちを抱いているのか?
反省しているのか?被害者に対して、どのような気持ちでいるのか?
桧山は単独調査を始めるが、調査先でまた事件が起きる。
真相は何なのか!?何が起こっているのか??
ミスリードっぽい人物が何人か登場し、こいつも怪しい、
こいつも怪しい、いや、コイツか!?
伏線を見逃すまいと読み進めるが、最後の回収具合がお見事!!
素晴らしい!!!
薬丸先生の小説は、何を読んでも、被害者の無念さが胸に突き刺さる・・・。
色々考えさせられる本だが、ストーリーもかなり面白く一気読み間違いなし(*^-^*) -
妻は13歳の中学生3人に殺された。犯人の少年は年齢から逮捕されることはなく、2人が児童自立支援施設に送致され、1人は保護観察処分となった。4年後、社会に出た犯人の少年が殺害される。犯人は?主人公・桧山貴志の身近にいる女性が犯人?ラストは驚きの展開、過去のいくつもの少年犯罪が重なっていた。面白かった。
-
最初の頃は、苦しくて読みたくない!と思っていたが、やめられない。
どんどん本の世界に呼び込まれてしまう。
少年達の気もちも知りたかった。
少年犯罪は重く辛く苦しいものが多い気がする。
被害者に対して優しくない現実は、なかなか受け入れ難いものがあった。
愛美ちゃんと桧山さんはこれから先、前を向いて楽しく生きていけるかな。
久しぶりに良いパンチをくらった気分。
気になる作家さんがひとり増えた! -
著者の作品、ブクログ登録は5冊目。
著者の作品である『神の子』を読んで以来、6年ぶり位に著者の作品を手にしました。
著者、薬丸岳さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。
薬丸 岳(やくまる がく、1969年8月26日 -)は、日本の小説家。本名は同じ漢字で「やくまる たけし」と読む。
1988年、駒澤大学高等学校を卒業。2005年、『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)
天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?妻を惨殺した少年たちが次々と死んでいく!
生後5ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ3人は、13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の1人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。
江戸川乱歩賞を受賞されているので、それなりの作品だと思います。
残念なのは、結末が複雑すぎて、訳が分かりません。
作品が悪いのではなく、私の老化のためでしょうかね。 -
すごく面白かった。
単なる少年犯罪の話ではない。複雑に絡み合うストーリーにどんどんのめり込み、一気読み。
少年法についても勉強になった。