看護婦が見つめた人間が病むということ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762298

作品紹介・あらすじ

病と向き合うことは、人生と向き合うこと。「傷ついた人だけが持つやさしさ」「母親であることと、病と闘うことの両立は難しい」など、長く患者さんと向き合ってきたベテランの看護師が、人間の真の姿を見つめたエッセイ集。ベストセラー『看護婦が見つめた人間が死ぬということ』の続編。

感想・レビュー・書評

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  • 看護師ではないのですが病棟勤務をしている私としてはあるあるな目に浮かぶ光景ばかりでした。
    精神科ではないのですが精神疾患も併せ持つ患者さんが年々増えていく中で精神科ならではの神経症、境界性人格障害、躁鬱、摂食障害などについてわかりやすくかかれていたのはとても参考になりました。
    精神疾患をかかえた患者本人の闇や、患者を取り巻く家族関係の闇など消化しきれない思いをもちながら辛抱強くアプローチする姿が尊敬、、、。
    ベテラン看護師ならではの患者や家族、社会への関係への鋭い視点とほんの少しの意地悪な想いと
    でも最後は全てを包みこむあたたかい描写が読んでいてとてもここちよかったです。
    排泄介助のエピソードでは自立支援と患者のジェンダー価値観との矛盾だったり、床上排泄での笑ける看護師さん同士の会話では思わず笑ってしまいました。こんなこともよく見るエピソードですが、患者さんとの関わりの中で感動することもそうでないことも笑わないとやってられないというところは激しく共感したわたしです。

  • ベテランの看護師が人間の真の姿を見つめたエッセイ集。『看護婦が見つめた人間が死ぬということ』の続編です。病を持った人間が自分と向き合うこと、そして看護師の仕事はいかに過酷なのかという事がわかりました。

    まだ僕は幸いにして、自分の人生の中で大病を患って、病院にて彼ら彼女らのお世話になったことはまだないんですが、まぁ、いつかその日が来るのだろうなとそんなとりとめのないことを考えながらこの本を読んでいました。この中には病気になった人間が向き合う苦悩や、それを支える、もしくはまったく患者と向き合うことを放棄してしまった家族のことや、人間がもともと持っていた暴力性などが噴出する様子が。非常に生々しかったです。

    今はわかりませんが、この本に書かれていた彼女の勤務部署は精神科だったので、病と向き合ったり、自ら死を選んでしまった患者のことが書かれていて、ページをめくる手が何度かそこで止まってしまいました。確かこれは精神科のでのことではありませんが、特に印象に覚えているのは、「男の沽券」を守るために看護師たちを怒鳴り、殴りながら、排泄が自分では思うように出来なくて、糞尿まみれになっている男の話でした。

    彼は立って小便するといって看護師たちの言うことを聞かず。最後まであがき続けてはてに他の病院に移っていきましたが。読んでいてなんともいえないものを感じました。日々現場で働いている看護師の皆さんはこういうことと日々向き合っているんですよね。本当に頭が下がります。

  • 短い章仕立てなんですが
    どの話もとても濃い内容です
    体も心も どちらかだけが病むのではなく
    どちらも影響しあっている
    それこそ オーダーメイドの「病」
    その「病」を治すには
    やはりオーダーメイドのやり方でないといけないのですね

  • 9784062762298  230p 2008・12・12 1刷
    〇現場で働く看護士の経験から書かれたいろんな人間の「病む」。
    医療側、患者側、家族側のどの視点から読んでも非常に深く考えてしまう。漫画の「ブラックジャック」や「ブラックジャックによろしく」を読んだ後も似たような感じがする。

  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

  • すごく興味があって読み始めたけれど、何かが違うと感じて読むのをやめた本。何故やめたのかは思い出せない。

  • 精神科、看護士の大変さの一部を知れる本。
    実体験のエピソードを基に作者が感じたことが記載されており、その考え方が深く、なるほどなぁと思えるところが多かった。
    短編になってるので読みやすい。

  • 精神を病んでいる人に対し、偏見を持ってしまっていたなぁと考えさせられました。精神を病んでいようと身体を病んでいようと差はなく、医療者のできることはほんの少しのこと。難しさを改めて実感しました。

  • 誤解を招く表現だと十分わかっていますが、この本を読んで、病を得るということは「軽い死」。

    本当に死んでしまったら、もちろん動かなくなるし、何の反応もできなくなる。その手前まで生きたまま行く、ということではないか。

    だから自分の醜さも隠せない。家族や周囲が自分をどう考えているかもあらわになる。

    この本で取り上げられている事例はそれぞれ考えさせられるものばかり。

    病を得た時、自分はどんな受け入れ方ができるか。

  • 病と向き合うことは、人生と向き合うこと。「傷ついた人だけが持つやさしさ」「母親であることと、病と闘うことの両立は難しい」など、長く患者さんと向き合ってきたベテランの看護師が、人間の真の姿を見つめたエッセイ集。ベストセラー『看護婦が見つめた人間が死ぬということ』の続編。 (「BOOK」データベースより)

    図書館で書庫保管になっていた目当ての本が見つからないと言われ、何か替わりにと薄めの文庫本をと探して、なんとなく手にとりました。
    昔からこういったジャンルの本は好きで、江川晴さんの著作はかなり読んだ覚えがあります。
    精神科のナースとしての目線で書かれたこの本。
    ナースの苦労も大変なものでしょうが、それはちょっと棚上げで、人に迷惑を掛けたり、医療従事者に暴言暴力をしてしまう患者さんの苦難を汲み取る姿勢に頭が下がります。

    もちろん愚痴の一つも出るでしょう。
    それは仕方ないですよ、人間ですもん。
    たまにはガス抜きしないと爆発しちゃう。
    でも患者さんをケアして少しでも良くなってもらうことを第一に考えているんですよね。

    家族のあり方も色々考えさせられました。
    力になってあげるべき家族が、逆に追い詰めていたり、そもそもの原因を作っていたり。
    そして退院後の受け入れを拒むなんて……。
    これから老々介護なんて事も増えてきて、問題がいろいろ出てくるでしょう。
    うーん……。

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著者プロフィール

1963年生まれ。大学を中退し看護専門学校に入学。1987年から看護師。東京厚生年金病院(現JCHO東京新宿メディカルセンター)に22年間勤務し、内科、精神科、緩和ケアなどを経験。看護師長も7年務めた。勤務の傍ら大学通信教育で学び、短大一校、大学二校、大学院一校を卒業。2013年東京女子医科大学大学院博士後期課程修了。博士(看護学)。現在は精神科病院で訪問看護に従事する傍ら、大学非常勤講師、著述業。主な著書は『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)他多数。

「2015年 『あたたかい病院』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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