「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762328

感想・レビュー・書評

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  • 2009年5月8日読了。

    著者が小学校5年生のとき、学校の図書室で『赤毛のアン』という一冊の本と出会います。とても衝撃を受け、すっかり魅せられてしまった。でもこれは男の子が読むような本じゃないだろうと思い、ごく最近までこの作品が好きだということを公言できなかったそうです。

    茂木さんは、テレビでよくお見かけしますが、著書を読んだりしたことはありませんでした。読んでみようかと思ったことはありますが、難しそうなので敬遠していました。でもこれは、書店でパラパラ見てみるととても易しい表現で書いてあるし、アンはわたしも昔から好きだったし、何より茂木さんがアンをどのように語っているのか興味があったので買ってみました。

    本当に好きなんだなぁ、というのがよく伝わってきます。茂木さんにとって『赤毛のアン』とは、たくさんの「初めて」をもたらした作品のようです。初めて<原書にチャレンジ>した作品であり、<初めての生身の西洋文化との出会い>をもたらした本であり、それが初めて海外に行くきっかけとなって、そして海外で通用する科学者になろうと思ったのもこのことがきっかけ。つまり今の茂木さんを作ったのは『赤毛のアン』なんですね。

    偶然、先日(13日)の読売新聞夕刊に、吉野万理子さんによる、本書の書評が載っていたので切り抜いてあるんですが、吉野さんも『赤毛のアン』が大好きなんだそうです。<負けないもんね、愛読レベルは自分のほうがきっと上だもんね>とライバル心を燃やしつつ本書を読み始めたそうですが、<抵抗したくなる箇所>もあるけど<うむ、たしかに>と思う部分もあって、最後には茂木さんを<「心の友」>だとおっしゃっています。

    『赤毛のアン』というのは名作の中でもけっこう特殊で、本作のファンだという人はハンパなくファンなんですよね。わたしもアンは大好きで、世界名作劇場のアニメを見ていたし、今でもアンのフィギュアがいくつか家の窓辺に置いてあったりますが、「ファン」だという人たちほどこの作品を深く考えたことはなく、ただアンの魅力や風景の素晴らしさを楽しんでいただけでした。そして今回本書を読んでみて、この作品の深い魅力を知り、大人になった今あらためて読んでみたらまた違う感じ方をするかもしれないと思いました。昨年、『赤毛のアン』出版100周年ということで新装版となった新潮文庫のアンシリーズを全巻買い揃えたので、折を見て読んでいこうと思います。

    また、カナダや欧米では、モンゴメリーの別のシリーズ、エミリー三部作のエミリーの方がアンよりも人気があるそうなので、そちらのシリーズも追々読みたいです。

    あと聖書。本書を読んで、アンを含めて欧米の作品を芯から理解するためには、やっぱりキリスト教の知識と理解が不可欠だと改めてわかったので、以前読み始めたまま中断しっぱなしの聖書読書もぼちぼち再開しなくちゃと思いました。一冊本を読むとさらに読みたいものが増えるということを実感しております。

  • 茂木さんの主観によるものが多いかな。
    特に宗教観に関して、少し気になるところはありましたが、全体の感想としては、良かったです。
    そんなに好きだってカミングアウトするのに恥ずかしがらなくていいですよね(笑)。胸張っていいと思うけどなぁ・・・。
    好きなポイントが似てたので、嬉しかったです。
    金子みすずさんの詩をひきあいに出してくる辺り、すごく好みでした。どちらも世界への視線が暖かい。
    あたりまえに存在するものに、自分を取り巻いているものに、感謝と感動を感じることさえできれば、人は誰でも幸せになれるのです。
    太陽は、どんな人にも分け隔てなく降り注いでいるのですから。

    私も、「赤毛のアン」はこれ一冊で完結すべきだった、に一票!
    あの時期の凝縮された時間だからこそ、アンは魅力的なのです。“相呼ぶ魂”として存在する彼女が魅力的なのです。

  •  昔から『赤毛のアン』は大好きでした。
    プリンスエドワード島にも憧れていたし、
    アンの個性的な所も大好きでした。
    そんなアンに学ぶ幸福になる方法という
    題名の本。

     「読んだ本の高さだけ、人は成長できる」

    という言葉があるのですが、それを信じて
    本を楽しみたいと思いました。

  • 「赤毛のアン」の原書を読むというNHKの語学番組に、松坂慶子と一緒に茂木さんが出ていて驚いたけど、ついでにこんな本も書いていたとは…。

  • ん〜茂木さん仕事しすぎ!のひと言ですよ。
    この本は、著者にとっては娯楽的なもの、筆休めのようなものだったのではないか。
    といっても、適当に書いたりしているわけではなく、「赤毛のアン」の魅力を自信の体験と研究事項などを使って上手く紹介している。
    僕も、いまだに未読なので、現在読みたいリスト(心の中にある。)上位に浮上した。
    想像力がいかに人を幸せにするのか。それに対して、不幸にすることもある。
    現代人にとって、幸、不幸とは?いろんな視点で語られています。
    個人的には、卒業論文の体裁と似ていて親近感をもてた。あと、茂木さんってやっぱり天才肌のひとで、嫉妬しているだけかもしれないけど、ところどころ鼻につく体験談があったりする。
    全体の雰囲気は、どこか小林秀雄のようであり、ニーチェとかゲーテのような感じもある。いっぱい本を読んでいる人なんだな、と感心しきり。
    この人を、これ以上文学の世界に引きずりこんで欲しくないというのは、僕の勝手な願い。外側から、文学を支援して欲しいな。

  • 同じことを何度も繰り返して刷り込む感じ。よくある啓発書とはちょっと違う。赤毛のアンを読んだことがある人はもっと楽しめると思う。

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著者プロフィール

脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。「クオリア」をキーワードに、脳と心の関係を探究しつづけている。1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。
著書『脳と仮想』(新潮社、第4回小林秀雄賞受賞)『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房、第12回桑原武夫学芸賞受賞)『脳とクオリア』(日経サイエンス社)『脳内現象』(NHK出版)『感動する脳』(PHP研究所)『ひらめき脳』(新潮社)ほか多数。

「2013年 『おぎ・もぎ対談 「個」育て論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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