新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

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レビュー : 252
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763479

感想・レビュー・書評

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  • 限りなく透明に近いブルー // 村上龍


    テレビやネットではコカイン瀧がピエール使用で捕まったと大騒ぎしているけれど、村上龍がこれを書いた1976年頃はドラッグとセックスと暴力がとても薄い膜を挟んだ隣り合わせにあるような時代だったのかもしれない。

    だってこれ、ぜっーーーーたいに村上龍本人の話でしょう?笑。これが許される時代だったってすごいなぁ。

    ドラッグをやったことのある人にしか見えない世界がある。これはアメリカに住んでたのでよくわかる。自分にしか見えない世界を表現したくなる気持ちも想像はできる。実際に多くの有名アートはドラッグの作用や幻覚によってできたというのも間違いないと思う。まさにその視点でこの本全部が書かれていると思うのですが。

    真藤順丈の宝島を読んでから、戦後から70年代くらいまでのことをもっと知りたいと思って読み始めた。戦後もずっと米軍基地やアメリカの支配と日本から見放されたと感じていた沖縄、その頃東京ではどんな思いで人々が生きていたのだろう。

    限りなく透明に近いブルーは、東京と言えども福生の米軍基地に強く影響を受けている。そういう意味では思った以上に同時代の沖縄と東京がかけ離れてはいなかった。

    今は森茉莉の私の美の世界を読んでいます。こっちの方が近い時代の遠い話感がでるでしょう。

    時代を並べて本を読むのが好きです。

  • H29.11.12 読了。

    ・いろんな意味で衝撃的な作品。文字を読むというより物語を眺めるという感じでした。ドラッグ・覚せい剤、乱交パーティ、セックスなどなど。また、虫を口に含む、腐った食べ物を口に含む、腕を切るなど目を覆いたくなる描写にはまいった。
    ・それでも最後まで読めたのは作者の文章力かな。

  • 村上龍のデビュー作にあたる作品。この前、twitter上のTLである人が「村上龍の本はどれも100円で買える」とつぶやいていて、なるほど確かにそうなんだよなぁ、と思った。100円で手軽に手に入る文学。というのはどうなのか。いや、全然いいんじゃないの、と思う。ウイルスのように、菌糸のように、その安価さでいろんなところに広まっていって、読まれていって、好き嫌い別れて、流通していく。作品としては、デビュー作には全てがあるとよく言われるものだけど、確かにこの作品もまだまだ未完成に近い荒削りな感じなのだけど、やっぱりそこには原石があるなぁ、と感じるわけである。(10/5/5)

  • セックスとドラッグの快感で自分が生きているのか死んでいるのか現実か夢か判断がつかない。子供の頃に、転んで擦り傷を作って消毒液でしみることに快感を覚えた(だったかな?)とある。人生も痛みを感じてこそ生きている実感を感じるというのを伝えたいのかな?と勝手ながら思った。
    そして、自分が思っているより世界は広大であるというのが、自分にも見えない大きな鳥ということなのかな?
    非常に難しい本でした。

  • 『飛行機の音ではなかった。耳の後ろ側で飛んでいた虫の羽音だった。蝿よりも小さな虫は、目の前をしばらく旋回して暗い部屋の隅へと見えなくなった。』

    『血を縁に残したガラスの破片は夜明けの空気に染まりながら透明に近い。
    限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。』

  • 若かりし日の龍さんヒッピー文化にかなり傾倒してたんだろうか。

  • 抜け出したくてもやめられないし死にたくても死ねない登場人物たち。
    血と体液のべとべとした感触、蛾の羽根の舌触り、ハシシの香り。それらが未体験のものであっても読んでいると確かに感じられる生々しさに鬱々とする。
    ラストに感じられる僅かな希望だけが救い。

  • クスリと性に溺れた若者達の話し。

  • 目を覆いたくなるような光景が、鮮やかに独特に、描写されていた。

    もう一度気が向いたら細かく読み返してみようかなあ…

  • 村上龍のデビュー作にして芥川賞受賞作。
    暴力とアルコールとドラッグとセックスと…作品全体は一時の快楽を求めて生きる若者たちの刹那的瞬間と、その裏に抱える圧倒的な孤独感でひしめき合っている。
    読んでいる間の印象はひたすら饐えた匂いと、目を背けたくなるような毒々しい原色。主人公リュウは目の前に繰り広げられる退廃した世界を、その透明に近い青い視点で淡々と受け入れていく。欲にまみれた光景は丁寧に描かれ、痛いほど鮮やかで生々しい。
    強烈ではある。でも繰り返しては読みたくない。

著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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