スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 17300
感想 : 1135
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765565

作品紹介・あらすじ

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ-あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

感想・レビュー・書評

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  • 裏表紙の「人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から10年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。」を読んだ後、初めてのページをめくる。いきなりチヨダ・コーキの登場だ。

    そして、「赤羽環はキレてしまった。」に続く…何にキレたのかしばらく読み込めず、上巻最後に何に対してキレたのかを理解することになる(ただ、まだ、下巻を読んでないので、本当にそうであるかは確証なし)。

    本作の中でも説明があるように、あの『トキワ荘』が思い浮かぶ物語である。先に読んだ著者『凍りのくじら』で、藤子不二雄の魅力を知りたくて、何となくかたっぱしから調べてみた。だからここにトキワ荘を持ってきた著者の藤子不二雄へのリスペクトに微笑んでしまった。

    また、上巻の中で、環の高校からの親友である円屋伸一が登場する。彼は環をライバル視するあまり、スロウハイツを出ていくことになるのだが、彼の登場の意味がまだ、上巻でははっきりしない。これは下巻を読めばわかるのだろうか?
    スロウハイツを出ていくエンヤが環に向かって「俺、絶対一人前になって」と叫んだ言葉。「何も聞こえない。何も見えない。」と言った環の本心が、「自分の言った言葉っていうのは、全部自分に返ってくる。返ってきて、未来の自分を縛る。声は、呪いになるんだよ」と、狩野に説明するした時に環のエンヤに対する優しさに、脚本家、小説家という職業の心意気のようなものが感じられた。

    そして、チヨダ・コーキの小説に真似て自殺をした事件があった後、コーキことコウちゃんの復活のために毎日新聞社に手紙を送った「コーキの天使ちゃん」は、絶対、環だと思った。のだが…ロリータの加々美莉々亜であったことがちょっと不思議だった。つまり、環でないならば、この後の展開がややこしくならないのか?…と心配してしまう。

    大きな展開なく、物語が進んでいったような感じで終わった上巻であった。

  • 読書生活2年目の私が最初に全ての作品を読んでみたい!と思った辻村深月さん。そう思わなければ手にはしなかったであろう、あらすじと分厚さの作品。(特に下巻が分厚い…)

    前半はクリエイティブな若者たちの感性に触れ、あーこれは私の好みとは違うかな?と思ったものの、きちんと読者を惹きつけるポイントがあり、じわじわとスロウハイツの物語に入り込む…。上巻の終わり方は下巻へと素早く手が伸びる仕様がお見事。いざ下巻へ!

    「愛は、イコール執着だよ。その相手にきちんと執着することだ」

    • あきちさん
      辻村深月さんの本にハズレはないです。
      辻村深月さんの本にハズレはないです。
      2022/08/20
    • あささん
      あきちさん、コメントありがとうございます!
      あきちさんも辻村深月さんお好きなんですね♪私はまだ辻村さん7作品くらいしか読めてないので、はやく...
      あきちさん、コメントありがとうございます!
      あきちさんも辻村深月さんお好きなんですね♪私はまだ辻村さん7作品くらいしか読めてないので、はやく読破したいです〜!
      2022/08/20
  • これは面白いです。チヨダ・コーキは元より登場する人物があまりに活き活きと描かれていて、何だか現実世界の隣のアパートにでも住んでいそうにも感じてきます。また、彼らがとっても魅力的。彼らのことをもっと知りたい、彼らの活躍をもっと見たいと自然に感じさせ、そして、上巻最後の締め方も、『ザ・下巻に続く』という感じで疑問と期待を最大限に膨らませてサッと幕を引く鮮やかさ。もうすぐに下巻を読み始めたいです!

    いきなりの冒頭で展開されるマスコミの悪者探し。我々日本人が大好きなこと。何かとんでもない事件が起きると、みんなで悪者探しをして、一人の悪者に全てをなすりつける。まるで自分がヒーローになったが如く。そして安心し、自分の中で早々に決着をつけて終わらせてしまう、ホッとする。でも一方でそんな際に生まれるバツの悪さ、それを辻村さんは『いじめには、その一線を越えてしまったが最後、逆にかっこ悪くなる瞬間というのがある。』と書きます。そうなると、今度は我先にと他人を気取り、いつまでも攻めている人を逆に責めるようになります。この辺りの皮肉、あまりに本質を突き過ぎていて他人事でなく笑えないと思いました。

    裏庭でのバーベキュー、流し素麺、どことなくほんわかしたスロウハイツの生活と、そこに暮らす人たちの裏側に流れる影の部分、『人間は自分が計算していればしているだけ、相手の計算やごまかしを敏感に読むようになる。疑い、目敏く発見する。』辻村さんらしい鋭い表現が下巻へ向けて作品に深みを与えていきます。

    いいなぁ、この作品。下巻もとても楽しみです。

  • 「かがみの孤城」以来の、辻村作品。
    自分からは決して選ばない本だが、お世話になっている方からのお勧めで読んでみた。

    難しいところは一切ないので、さくさくと進める。
    ただ困ったことに、登場人物たちにあまり魅力を感じない。
    スロウハイツの住人たちは皆、オーナーの「赤羽環」も含めてクリエイターと呼ばれる人たちだ。強い自意識の固まりで、自分こそ特別だと思い込んでいる人たち。
    特に「赤羽環」はそれが強烈だ。
    彼女の「男が」「男と」という物言いや、相手の苗字を呼び捨てにするところなど、どうしても嫌悪感が先にたってしまう。

    もっとも、だからこそのクリエイターなのだろうけれど、しかしこの共依存は何?
    互いの距離が近すぎて、幼いほどの密着感だ。
    個性の強い「赤羽環」が、自ら声を掛けて住まわせた住人たちなので、赤の他人通しが住む一般的なアパートとは一線を画していると、考えれば良いのか。
    それとも、こんなところで躓きそうになるのは、すでに作者の術中に嵌ってしまったということか。もしそうなら実に楽しい読書になりそうなのだが、今のところ何とも言えず。

    メンバーの中の誰にとって、誰が神様なのか。
    上巻を読んだ時点でおおよその察しはついている。
    たぶん下巻でそのいきさつが明らかにされるのだろう。
    素人の私が推測した通りの流れだと失望してしまう。どうか、そのはるか上を行って欲しい。
    そして「赤羽環」というキャラ設定の意味も判明すると嬉しい。

    オープニングに現れる「チヨダ・コーキ」の小説に影響されたと言われる事件。
    その「チヨダ・コーキ」も住んでいるスロウハイツ。
    キーポイントはそこかな。
    小さなエピソードも全て、巧みに回収されることを願うのみ。ということで、下巻に続く。

  • まだスロウハイツの住人の人となりしか
    わからないのに、物凄く面白い。
    通勤で読んでいると、やめるのが惜しくて
    会社の最寄り駅をすっ飛ばして、
    終点まで行ってしまいたい衝動にかられる。
    しかも、終わりかた!
    すぐ下巻に読みたくなる。
    積読しててよかったぁ‼︎

  • 辻村さんの名作と呼ばれる作品のひとつ。
    アパート「スロウハイツ」に住むクリエイターの卵達の人間模様。
    彼らの友情、苦悩、葛藤。
    さながら青春小説といった感じ。
    この上巻は各登場人物の紹介と人間関係が主かな。
    終盤の新たな入居者の女性の出現で物語は大きく動きそう。
    下巻も早速チェックしようと思います。

  • 赤羽環のような女性は、苦手だ。
    男性のことを「男」と呼び、「セックス」という言葉をあえて口にする。
    仕事はばりばりこなす(それはいい)。自分の信念に裏打ちされた正しい言葉をストレートに放ち、周りを切り刻む。
    一見さばさばしているようだが、こういう人が一番自分の女性的な部分を意識していて、関係がこじれると厄介なタイプなのだ。

    狩野荘太も長野正義も苦手だ。
    そりゃ僕も『ミツバチのささやき』も『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』も好きだが、自分たちが特別だと思っているその感じがつらい。
    そして、森永すみれ。
    じつは頑固で芯の部分で揺るがないのが彼女だと思う。最も手強い。

    タイプは違えど過剰な自意識の塊のようなスロウハイツの住人たちに居心地の悪さを覚える。
    しかしそれは、録音された自分の声を聴く時の違和感や、街なかのショーウィンドウに映った無防備な自分の姿に感じる恥ずかしさと同様のものだった。

    映画やドラマを観ていて「こいつ嫌な奴だな」と思う時は、いい脚本に力のある役者さんの魅力がばっちりはまった時だ。
    『スロウハイツ』という建物は辻村深月さん自身で、彼女の分身であるスタンスの異なるクリエイターたちが、いつも心の中でせめぎ合い、闘い、葛藤しながら作品が生み出されているんだろうなぁと、ふと思う。

    スロウハイツの住人たちが次第に気になり始め、見守りたくなってきた。彼らはどうなっていくのか。全てのカードは出揃ったのだろうか。
    辻村深月さんが華麗に裏切ってくれることを期待して下巻へ。

    (余談だが、チヨダ・コーキは西尾維新を、狩野荘太は若き日の藤子・F・不二雄先生をイメージしながら読んだ。『ダークウェル』の幹永舞と夜真下陸男も『DEATH NOTE』の大場つぐみ・小畑健コンビを想像してしまった。
    『スロウハイツ』も『トキワ荘』みたいだ、と思っていたら、そのまんま作品内で言及されていたので、僕は作者の手のひらで踊らされているのかもしれない。下巻が楽しみです。)

  • 芸術の道で生きることを決めた
    スロウハイツの住人たち。

    たくさんの人が出てきて
    時系列も語り手もよくわからず
    ところどころ「???」となる箇所もあって
    正直興味を惹かれないな、面白くないなと
    途中で読むのを止めることも考えた。

    けれど、あまりに評判が高い作品なので
    伏線回収だとかぞくっとする、という話だそうなので
    それを期待して、なんとか上巻を読了。
    上巻の後半、新しい住人が入ってからは楽しく読めた。そしてまた新たな謎を置いてく締めくくり方。

    はたして下巻では何が待っているのか。
    満足度のハードルをかなり上げていますが
    ぜひいい意味で裏切られたいです辻村さん。

  • 米国研究所視察中、時差ぼけ中なので読めました。スロウハイツの住民のキャラ立ちがすごい(狩野以外)。それぞれの人間関係が複雑で、会話の中にも各々が何か爆弾を抱えている感じで、お互い素直になっていない印象。その中でも、特に、環のとんがった性格は嫌いではないが、今後の展開がとても気になる。最後の最後のトリガー、何か起こりそうですね。さて、朝になりました。今日も頑張ろう。@ミシシッピー

  • 上巻は下巻につながる序章という感じ。
    スロウハイツに住む住人たちの紹介。
    個性豊かな住人たちばかりで、なかなか面白い。
    後半に少し話が動き出し、きっと下巻では何かあるよねぇと期待を膨らませずにはいられない。
    下巻が楽しみ♫

    • まろんさん
      わあ!noboさ~ん、うれしいです!
      ついにnoboさんが『スロウハイツの神様』を読み始めてくれたなんて♪

      心やさしいnoboさんのこと、...
      わあ!noboさ~ん、うれしいです!
      ついにnoboさんが『スロウハイツの神様』を読み始めてくれたなんて♪

      心やさしいnoboさんのこと、
      たぶん下巻では涙がこみ上げるシーンがいっぱいあると思うので
      くれぐれもお客様がいらっしゃる予定がある日には読まれませんように。。。
      スロウハイツでのかけがえのない日々を、思う存分楽しんでくださいね!
      2013/07/05
    • nobo0803さん
      まろんさん

      了解です!!下巻は1人の時に読むようにしますね。あぁ~でもこれから子供たちが夏休みにはいりますね(>_<)
      1人での読書の時間...
      まろんさん

      了解です!!下巻は1人の時に読むようにしますね。あぁ~でもこれから子供たちが夏休みにはいりますね(>_<)
      1人での読書の時間がけずられる・・・
      2013/07/09
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『Another side of 辻村深月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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