最後の命 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767026

作品紹介・あらすじ

最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ-。

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則さんの小説も気づけば12冊目を読了した。
    この”最後の命”では他の作品よりも、死について多く描写されていた気がする。また、”死”以外にも、倫理観や性、少数派の人々しか知り得ない葛藤や衝動、なども深く描写されていた。別作品だが、夏木志朋さんの二木先生でも”少数派”について書かれている。そこでは少数派ながらも自身の中でそれを受容し、社会と協調していっていたが、対照的にこの作品では、孤独にそれを抱えながら徐々に破滅へ進んでいく様子が描かれている様に感じた。

  • 東北は意外と暖かかったw

    ってな事で、中村文則の『最後の命』

    MKT文庫より

    いや、中村文則さんはホント凄いね。

    こんなに人間の内面を曝け出すと言うか、描写出来るというか……。

    幼い時の恐怖体験によって人生の影響が変わるのか、いや元々潜在的に潜んだ本性が制御が効かずに爆発的に出て来るのか……。

    飯食いながら読んでると吐き気が襲って来ました

    これよく映像化出来たね。

    生まれながらの悪人なんてのは居ないんじゃないかな。

    生きていく環境と体験によって人間は何人にもなっていくんじゃないかと感じた内容じゃった。

    2019年15冊目

  • このような犯罪の動機、トラウマを知りたくて本を読むのが1つの理由だ。それをこの小説で読む事が出来て扉が1つ開いた。 物語の中にすっと入り込んで、傷付き、えぐられるような感情になる。
    物語であるのに、中村氏の描く主人公たちには、少しでも光が見えて欲しいといつも思う。
    中村氏の作品は半分くらい読んでいるが、1、2位を争う大好きな作品になった。

  • 辛くてしんどくてもう読みたくないけど
    あとがきよんでパッと目が覚めてまた読みたくなる
    中村さんループ

  • かなり重い内容ではあるけれど、作者が身を削るようにして書きあげた真摯な作品であることが読んでいて伝わってきた。

  • 中村文則の作品を発表順で読んでいて、1作ずつ確実に成長していくことが強く感じた。今作もまた一歩大きく前進した。やはりドストエフスキーの影響が大きい。でもそれでいい!今作は読み方によってミステリーにもなることに驚き、おお!ってなった。本当に素晴らしい作品て、もっと読まれてほしい!

  • なかなかセンシティブな題材だった。
    読み進めるうちに、主題がぼんやり見え始め読み終えた今もまだ、モヤの中…

    佐藤康智氏の解説で、唸る。
    私はまだまだだなぁ。笑

  • 自分の人生が十分置きに刻まれている感覚

    10分刻みで生と死を感じる日々、なんて苦しいんだろう。

  • 罪と罰
    罰は気休めでしかない

  • ある日突然、私に昔の友人冴木から電話があり、会うことになります。自分の家にも招き入れます。

    その後、自分の部屋から死んでいるヘルス嬢エリコと、冴木の指紋が見つかり、警察から冴木は連続婦女暴行事件で指名手配中の容疑者だと知らされます。

    そこから、私と冴木の幼い頃が語られます。
    私たちは小学生の頃、やっちりと呼ばれる女性ホームレスが他のホームレスたちに暴行されているところを目撃し、自分達も無理矢理とはいえやっちりに触っていました。私たちが警察に言いに行けないまま、やっちりは殺されていました。
    私は自分のことを卑怯者とぼんやり思います。

    また、私たちには、ホームレスを見殺しにした過去もありました。やっちりに暴行していたホームレスでした。

    私は、射精するようになるなど自身の身体の変化に恐怖や、自分に嫌悪を感じて悩んでいました。後には、本当は自分はああいうことがしたいのではないかという疑問を持ち始め、自身を消耗させていました。

    冴木は、実はやっちりの事件で、勃起し興奮していました。危険な欲望を持ちながらも、レイプの擬似体験をするなどして何とか一線を保って過ごす男の葛藤が感じられました。

    私たちが過去に行ったことは、罪ですか?
    単純に罪だ、悪人だと切り捨てられなくて、どうにかならなかったのだろうかと考えてしまいます。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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