- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062770316
作品紹介・あらすじ
激動の時代、日本人が満州に託した新興国家建設という夢。汚れ役の甘粕とエリート官僚の岸は、脆弱な国家経済を磐石にするためにいったい何をしたのか?国際社会の欲望うずまく大地で運命的に交錯した二人の男の人生を丹念にたどり、知られざるもう一つの昭和史を描き出す、渾身のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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甘粕正彦と岸信介を中心に、満州国の光芒を見る。
岸信介は戦後総理大臣になるが、満州でのあれこれを見ると、闇が深い。今の感覚なら、総理大臣なんてありえないのでは(黒すぎて)。
ある意味、今の官僚より胆力というか、度胸というか、そんなのがあったと言えるのかもしれない。
そうでなきゃ、他所の土地に新しい国を作るなどということは出来なかっただろう。
コンプライアンスなんて通じない、何でもありの場所だったのか、満州…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
岸信介について知りたかったが、どちらかと言えば甘粕が多めか。というか、著者は甘粕贔屓?
3.6。 -
汚名を背負ったがゆえに(少なくとも最初は)満州での裏仕事を生業にせざるを得なかった甘粕正彦と、恵まれた家系に生まれ満州において国作りを学び、やがて日本の復興と栄達を成し遂げる岸信介、対象的な同じ穴の狢2人にスポットを当てる。岸の満州での経験と戦後の経済政策との関連性はさほど精緻に語られず、甘粕の裏の顔も性質上仔細には明らかにされないので、彼らの仕事の検証という面は若干弱い。それより本書の魅力は、甘粕の特異な前半生とそれによって滲み出る凄みだったり、あらゆる可能性を秘めていた新国家満州という、今の日本では想像できない、良くも悪くもスケールの大きな舞台そのものだったりする。だけに一冊では分量が少なすぎたようで、終盤急ぎ足になったのが惜しまれるが、中身はエンタメ要素に富んでおり、満州に興味を持ち始めた人には格好の小説と思う。
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岸信介が満州国の表の顔だとすれば、甘粕正彦は陰の顔。この二人に関東軍を取り仕切った東条英機を加えたトロイカ体制が太平洋戦争へとつながる流れの遠因となった。
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佐野眞一著、乱心の荒野を読む前に一読すると良い本ですね。
巨魁と言われた、岸信介の迫力が目立つ作品です。 -
創作かと思わせる説得力皆無の文章。ガッカリ
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甘粕正彦といえば映画ラストエンペラー坂本龍一が演じていたのを覚えてます。関東軍やヤクザを押さえる迫力ばかりで無く経営の才能や文化にも造詣があったんですね。岸信介もそうですが、これほどの人物達が満州に夢を持ち活動した状況がこの本を読み少し分かってきた気がします。それにしても謀略やアヘンの金の流れなど驚く史実ばかりでした。
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佐野眞一の「甘粕 正彦 乱心の曠野」を読んだ後なので、題名の割には、大した事実なし。参考文献を繫ぎ合わした感じ。佐野眞一の「甘粕 正彦 乱心の曠野」は参考文献の当事者の親族等の検証を緻密に行っている。ただ「満州裏史」は2005年単行本刊行。「甘粕 正彦 乱心の曠野」は2008年刊行。佐野眞一の「甘粕 正彦 乱心の曠野」には大田尚樹の「満州裏史」は参考文献としての掲載なし。