モダンタイムス(下) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770798

感想・レビュー・書評

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  • 上巻〜下巻の中盤までは、まるで脱出ゲームのようにぽつんぽつんと出てくるバラバラのキーワード・人物名・メッセージを頼りに、色んな推測をして行く。だんだん全部が嘘のようにも感じて、ミステリー感覚で読んでいた。


    しかし結末は案外リアリティがあって、
    端的に言えば、原因となる悪は存在しないというものだった。

    人は面白おかしく、また『満足』するために
    善悪やストーリーを作り上げたり推測したり、また『要約』するというのは少しわかる。

    自分が鵜呑みにしにしてきたニュース番組やドキュメンタリーやバラエティのトークだって、
    職場の同僚の噂話だって『要約』されてしまっている部分がある。

    その中心の人物の性格やクセなんかをほぼこちらの、良い意味でも悪い意味でも理想で作り上げてしまっている。


    システム化の話や国家は国家の存続のためにしかないという話は、事件の真相の根幹にあるものに繋がる話だった。

    じゃあ私の仕事は会社の存続のためにしかないかもしれないとか、私はお金のためにシステム化された部分的な仕事をしていて社会全体には役に立ってないかもしれないとか、じゃあ生きる上での仕事を含めた活動って何のためにあるんだ、??何で生きてるんだ?
    なんて思いかけたりもしたが、
    ストーリーはグングン進んで、そんなことを考える余裕がなく早く結末が知りたいという気持ちになった。

    ただ一つの場面がとても長い!長い会話がずっと続く。引き込まれれば一気に読めてしまうが、少し辛かった!
    時間のある時に一気に読むのが良いかもしれない。

  • 奥さんが好きだったな。
    ちょっと恐いけど可愛らしいところを感じた。

  • 『魔王』が正直しっくりこなかった私。
    続編というより後日譚的なお話で、上巻序盤はあまり入り込めず……
    だが、上巻終盤から下巻序盤から一気に話に引き込まれた。
    伊坂作品特有の刺激もあって、「『魔王』を読んでいてよかった!」とも思える場面もあり。
    ただ、拷問場面はちょっと残酷でざっくりとした描写なのに気持ち悪くなった……

  • アリは賢くないがコロニーは賢い。
    人生は要約出来ない。
    なるほどなあって感じ。

  • このギャップがいつもたまらない!

    伊坂ワールドの、シュールなキャラクターたちと、フィクションなのに妙にリアリティあるストーリーと仕掛けが。

    前作「魔王」からの壮大な伏線の数々を回収しながら読み進めていくことが快感!


    考えろ。考えろ。

    ほんとに、どこもかしこも勇気を試すことばかりだ。

  • 正編にあたる(?)『魔王』は10年以上前、高校時代に読了済 とても面白かった記憶はあり 続編だとは知らずに読み始めたので、分かった時はちょっとテンションが上がった

    アサインされたおかしな仕事をきっかけに、
    「検索」というなんでもない行為から何か大きなものに巻き込まれていく様子は不気味な怖さがあって良かったし
    「諸悪の根源」というものがあるわけではなく、仕組みや枠組みといった掴み所のないものに翻弄され立ち向かう様子も、先の読めない面白みがあった
    落とし所も好み
    ただ、佳代子や永嶋といった登場人物が悪い意味でアニメ的で
    個人的にはちょっと入り込み辛かった
    クライマックスの一つであるホテルでのアクションシーンあたりは
    少々陳腐に感じられてしまった

  • 久々に伊坂幸太郎を読んだけど、面白かった!
    上下巻あって中々のボリュームがあったけど、何がその先にあるかが知りたくて一気見した。数は読めてないけど、今のところ伊坂幸太郎で1番好きかも、魔王が関連あるからまず読んで、他も沢山読んでみたい、

    中身について忘れないように
    結局ゴッシュはただの会社だったこと、浮気相手の正体(出会いも偶然だったのか)、奥さんが何者でなんでこんなに強いのか、とか確信に迫るようなはっきりしたことは分からなかったけど、結局は何が真実かではなくて、真実を知ることで満足しまうけど、実際はそれも真実かは分からない。ドイツのヒトラーとかの事もその人が凄かった訳ではなく、世界的に必然的な出来事で、その役割だっただけ、
    みたいな事が書かれてて、物事の真実とは何かというところが分からないこともあるっていうのが、いつも明解なラストを楽しみにしてる自分にとっては新鮮で面白かったし、なんか納得できた

  • 魔王に引き続きリアルな未来予想図すぎて怖かった。小説家は結局世界を変えられないって伊坂は言ってたけれどこの物語を通して小さな積み重ねで作家でも世界を変えられるかもしれないっていう祈りだったのかなとか。考えすぎかな〜

  • 立て続けに伊坂幸太郎を読んでいるが、この作品は、のっけから残酷(?)な描写が連続で出てきて、ちょっと辛かった。妙にリアルで恐怖があり、読み始めなければ良かった、とすら思った。
    我慢して(?)最後まで読み通すと、いつもながらの見事な伏線回収にしてやられていくのではあるのだけれど、その伏線となるエピソードやヒントが山のようにあり、覚えているのが大変でもあった。
    書き方が連載であったことと、ゴールデンスランバーと同時に書かれていたことなどがあとがきや解説でわかったが、それも関係しているのかもしれない。確かに、似たテーマ(「政府=システム」との闘い、生きる・生き抜く)の裏表なのかもしれない。
    面白かったが、ブラック、と感じた。

    それから、終盤になって、ようやく、この物語の前段となる作品があることに気づいたので、そちらを読んでから、あらためて考えたい。

  • 下巻は次が気になって一気に読んでしまいました。奥様の素性が気になります!笑

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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