この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771160

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の頭の回転のはやさにびっくりした。
    あのくらい俺も冷静に裏を読みながら生きてけたらなぁ。

    初めて知ったけど、登場人物がカタカナだらけやと、誰が誰かわからんくなる。
    部下はどいつがどいつかわからんくなりかけてた。
    なんとかついていけたと思ってるけど。

    「神の思惟」とか宇宙から地球を見た人が語るとこは、俺も思ったことやから、宇宙に行かずとも気付いた俺はやっぱすげえなあと思った。

  • 上下巻とも一気読み。

    今まで読んできた白石作品に比べると、より哲学的でより政治的でより深い内容だった。
    書籍からの引用部分も多く、正直読むのに時間がかかり、内容もかなり難しかった。

    でも、複雑な人間関係の絡まり合いは、さすが!とうなりたくなった。

    主人公カワバタという人間について、
    神は・・人生とは・・この世の中とは・・・
    という抽象的なものに考えを馳せる内容もがっつり書かれているが、
    死んだユキヒコの声が聞こえてくるとか、シンギョウジ先生とのカウンセリングで気持ちが軽くなったりとか、
    きわめて人間くさい部分が垣間見えるコントラストが面白い。

    ショウダがそこで出てくるか!
    北海道はリコのとこじゃないんか!
    結局ユリエか!
    という、ラストに次々と仰天な展開が待っていてびっくり。

    登場人物の名前がすべてカタカナ表記なのも、難しくみせていたのかも。
    カタカナというだけで、名前が覚えにくかった。
    途中、「新村光治」「さよならUSA」の部分のみ、すべて漢字表記になっていた。「美緒」もここで最初で最後の漢字表記。
    カタカナなだけで、すごく冷たく客観的な感じに思える。
    カワバタが、至極沈着冷静に物事を判断する人間である、ということが感じられた。

    カワバタとミオの関係がつかみづらかった。
    ユキヒコくんの件、とてもじゃないがミオの行動が理解できない。

    私がタイトルをつけるならば「この世の必然」だろうか。

    白石作品では、私としてはまだまだ「私という運命について」が一番だなー。

  • 改めて、丁寧に読み返したい。

  • 過去に縛られることなく、時間に基づいて計画するのではなく、瞬間瞬間流れる今という現実を全力で生き抜け。
    これがメインメッセージだと感じた。
    癌になって悟った自己意識と他者。雑誌や芸能界、政界、息子を失った男・女の悲しみ。価値観。不倫、DV、派遣労働とスーパーリッチの格差。先進国と途上国の格差、新党を作るという政治家の構想などなど。
    アメリカにとっては苦い小説かもしれない。

  • 消化不良。小説ではなく、作者自身の哲学書のような作品。
    ちょっと男性目線すぎる描写が鼻に付くが、かと言って毛嫌いするような種類の本でもないので、もう一度冷静にこの内容と向き合って読める心情の時に再読してみたい。

  • 自分の頭で考えるということはどういうことか?
    自分の言葉で語るということはどういうことか?
    正義とは?愛とは?生きる意味とか?
    過去とか未来に翻弄されず
    必然と共に誇りを持って
    今を生きる

    そういやそういう映画を
    さっきまで会ってたやつらと
    中学生の頃に観に行ったっけ

    この時期にこの本に出会えて良かったと思わせてくれる本

    2011年中に読み終えたことにも満足

  • いろんなことが書きたかったのかなあ、という雑多な感じはあるものの、無理なく読ませるテクニックがすごいと思う。長いし、難しいこともたくさん書いてあるけど、特に経済にも政治にも強い興味のない私に、さして無理せず読めるのは、本当に驚き。結末に至るまで、満足して読めた。楽しいとか面白いとかではないけど、確かに興味深く、充実した読書時間だった。ま、読了に長く時間がかかったけど。12月30日読了。風邪が治らない。

  • 読むのに時間がかかった。

    フィロソフィだな。
    ソフィーの世界的な。

    しかし、心に刺さるものがある。
    色々考えさせられる。

    そのうちもう一度読む。

  • 下巻、一気に読み終わりました。現代の国内外の社会情勢や政治についてデータも引きながら書いていて、個人的には「小説なの?」と感じながらも興味深く読みました。(このあたりは、違和感がある人もいると思います…)

    格差や貧困などさまざまな問題を抱える社会の中で、個人がどう生きていくのか、その姿を作者が探し出そうとしているのが伝わってきます。「この胸に深々と突き刺さる矢」がいったい何なのか、それは物語の終盤で明らかになりますが、それを「抜く」ことが人々の生を豊かにすると作者は主張しているようです。

    この結末については賛否両論あるでしょう。(私も??と感じる部分はありました。)ただ、私たちの生きている社会の矛盾に目を向け、その社会にどのように関わり、どのように生きていけばよいか、そういったことを考えさせる面白い小説だったと思います。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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