ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

著者 : 辻村深月

• 講談社 (2012年4月13日発売)

感想・レビュー・書評

[ゆいさんの感想 · 2022年10月8日]

後半に進むにつれ、疾走感の増す素敵なお話しだった。
友情を軸に展開されていくストーリーであるが、私には最後まで親子の愛の物語のように感じた。
すごく痛く暖かく切ない愛の話だった。

[ともさんの感想 · 2022年6月5日]

なんだかダメな子だな、と見える子でも、別の誰かにとってはその存在が救いになったり、憧れになったりする。そうやって、ひとつではない自分の形があることに救われる思いがした。
多様性を認めるってそういうこと。誰かが判断する価値や評価が絶対ではない。多くの人が低く見積もっている誰かや何かの価値が、別の機会には多くの人を救うかもしれない。

色んな人を通して見るチエミの、そのどれもが全てチエミで。またチエミ本人が語るストーリー、チエミ自身がもつ「自分」というものも、まさにチエミで。
自分から見た自分も、他人から見た自分も、どれも本物なんだなと思えた。


親子の関係性についても、考えさせられた。

[くうさんの感想 · 2021年11月26日]

この話も深月さんらしく、すごく面白かったです。ミステリーだけど泣きそうになりました。さすが！

[Caneleさんの感想 · 2024年2月28日]

家族、恋人、友人
田舎の狭い社会で育って、東京に出てきたおそらく自分で選びたいと思っている私には同僚女性の無意識的な傲慢さに自分を見透かされている気がしました。
最後に想定外の展開が起こり題名がわかった瞬間、ゾワゾワする感覚があって、あぁ、そうだったのか、って。
人間の人間らしさを感じる文が好きなのかもしれない。みんな嫌なところが、弱いところがあるけど私が女だからかなぁ、許せないのは1人だけでした。

[うしさんさんの感想 · 2024年1月14日]

女性として生きてく中で経験したことが詰まってる。

[nana0108さんの感想 · 2023年5月3日]

結婚、出産、子育て、友だち、親子、地元。
全部書かれてて全部刺さった。同じ女性として辛かった。私も何も持ってないから。

チエちゃん、辛いけど、31歳はまだ若くてこれから幸せになれるって私は信じてる。

[rasukuさんの感想 · 2023年3月19日]

ジェットコースターのような感覚で、次々変わるシーンに止められない気持ちで読み終わった。
辻村深月さんワールドは本当に最高です。
みんなに読んでもらいたい1冊です。

[キキさんの感想 · 2023年2月12日]

怖くて不快な感じがする、でも気になって読んでしまう。タイトルの謎は、最後に回収される。
母と娘の関係って難しい。自分の母娘関係を考えながら読んだ。母と娘の距離感、女の友達同士の何とも言えないすれ違い、それが丁寧に描写されている。共感しつつも、刺されるというか、不快感もありつつ、でも、気になって読み続けた。

[こたろさんの感想 · 2022年10月6日]

ゼロハチゼロナナ、の意味を知った時号泣

[音の葉さんの感想 · 2022年9月11日]

女同士の決して綺麗事ではない友情と、母の娘に対する私物化とも取れる共依存の関係。この似て非なる二つの題材を、良質なミステリーという体裁を崩さずよくまとめあげたなと思いました。

無邪気で残酷な20代をかけのぼって妊娠という経験をしたことがある女性はより深い角度から楽しめるかもしれません。

世界線を共通化する辻村作品のなかで珍しく独立された物語ですが私はこれが一番好きです。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ！』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」