宿屋めぐり (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773072

感想・レビュー・書評

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  • 長かった!
    不幸が起こると、何故自分だけこんな目に会うのか、好転するとこれは主の思召しだ、人殺しや盗み放蕩的な態度を全て贋の世界だからとなんたかんだと理由をつけて自分自身を納得させる。全てが因果応報という事も気付かずに。
    そんな人間の弱さやズルさを宿屋で会う奇怪な人に依って暴かれ、そんな時、人はどんな対応をするのかで人間性が問われる。人は嘘を着く唯一の動物だけど、他人には通じる嘘でも自分自身には決して通用しない。主はその自分自身を戒める本来の自分だったのかも。所々で、あっ、と思わせる。さすが町田さんです。

  • 摩訶不思議、数奇奇天烈。時代考証滅茶苦茶のストーリーが章立てもなく続く。町田氏ならではの飄逸諧謔が随所に鏤められており厭きさせない。騙され追い落とされ七転八倒する主人公。虚偽欺瞞が何のひっかりもなく横行する現代に、正しい倫理観を打ちたてようと煩悶する著者そのものを見る。

  • こういう小説は初めてだ。何と名づけていいのか。一種のパロデイ小説か。はたまた、妄想小説と呼ぶべきか。これは純文学になるのか。前例を求めのなら、筒井康隆の小説にはちゃめちゃな小説があったと思う。言葉遊びの中で妄想が広がって行き、現実か夢か区別がつかなくなってくる。石松の金毘羅詣りを元にパロディ化しているのだと思う。ページはかなりあるのだが、最後まで読めきったのは、何かがあるのだろ。

  • これまでになく破天荒・奇天烈な内容の小説で、特に導入部どう解釈してよいやら悩んだのだが、次第に強引に物語に引き込まれていく。「ヨブ記」など宗教的なテクストを想起させる部分が多い。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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