- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062775717
作品紹介・あらすじ
新たなる土地、新たなる仲間、そこで得るものはいったい何なのか。青春時代を描いた『親鸞』に続く激動の第二部、越後でついに始動!
感想・レビュー・書評
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相変わらず浄土真宗開祖の話とは思えない冒険活劇。どったんばったん。
前作は子供から大人への成長譚だったのですが、本作「激動編」の親鸞は初めから結構いい大人。
さすがに貫禄も出たろうと思ってたんだけど、どっこい持ち前の草食男子っぷりは健在で。
もう、なにしろ全然自分で決められない。いろんな事を。
見た感じお坊さんなもんだからまわりにいろいろ聞かれるんだけど、
んー、え、ちょっと、分かんないです。逆にどう思います?という相変わらずの調子。
しっかり親鸞!ちゃんとして!
それでも実直な言動で次第にまわりに味方が集まってきます。
というか、誰かが守ってあげないと、このひとまるで生きて行けないもんだから。
迷いに迷い、流されに流された先に何が待つのか。
いい加減ちゃんと自分で立てるのか。
結局下巻を楽しみにしてしまう。 -
この巻もダイナミックな物語の展開でエンターテインメントとして面白い。新潟に移り住んでそこの地で地盤を築いていくが、まだ親鸞としての布教は始められていないし、その素地も中々作れていない。ただ、これまでと同じ様に自分の弱さを自覚しながらどう自分の目指す自分に近づけるのか、苦悩しながら真摯に生きる姿が印象的。また癖のある素晴らしい仲間を得られる事も成功者の所以か。次巻も楽しみ。
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平安末期。念仏を広めていく親鸞の姿を描く。激動編は女房と、越後(上巻)・常陸(下巻)と移り住む。2部とあって、途中からの読み始めだが、十分面白い。河原に住み込む荒くれ部隊を仲間に取り入れたり、雨ごいの念仏を1週間したり。全国44誌に掲載された小説の単行本化。どうりで物語がスピーデイだ。
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『親鸞』の続編。越後に流され鎌倉行きを決意するまで。
前編はドラマチックな展開があり、後半はやや平穏か。
親鸞の人生をなぞりながら、親鸞と誰かの対話の中から親鸞の教えを学ぶようになつくりになっている。
30代から50代までが描かれていて、中年期の苦悩も見ることができる。こういう伝記ものでこのへんの停滞感がしっかり描かれているのは興味深い。
完結編も読みたい。 -
親鸞……浄土真宗の開祖であり、鎌倉仏教を代表する方ですが……
何ていうんだろう。アクション、アドベンチャー?そんな感じです。親鸞が仲間と共に新しく越後の地で大活躍!下巻はどうなるんだろう。 -
京を追放され、妻恵信の故郷越後に流された親鸞が出会ったのは、外道院(げどういん)という謎の僧。
外道院との出会いが、親鸞を事件に巻き込んでいきます。
越後での布教が始まります。
ある意味親鸞の活躍はここからと言えるでしょう。
親鸞の苦悩も描かれ、専修念仏も深まっていきます。
新たな展開の始まりです。 -
本巻では、越後に流刑となった親鸞の姿を、ドラマティックに描いています。
著者は、外道院金剛という法力の持ち主を登場させて、専修念仏を説く親鸞の姿が対比的に描かれています。エンターテインメント性の強い作風なのはもとより承知していたのでいっこうに気になりませんでしたが、鎌倉時代の信仰を近代的なヒューマニズムに切り縮めてしまうことには、多少の違和感を覚えてしまいます。
とはいえ、親鸞が7日間に渡るぶっ続けの雨乞いをおこない、そうした彼の信仰の姿勢が庶民の心を打ったという展開は、エンターテインメント性を重視する小説家としての努力も理解できるので、どのように評価すればよいのか迷うところです。蓮如が主人公であれば、こうした多少とも「あざとい」ストーリー展開でもまったく平気だったのでしょうが、親鸞には、その思想のみならずその人物にも、私たちのヒューマニズムに基づく理解を峻絶するような何かがあるような気がするので、こうした分かりやすい親鸞像には不満を感じてしまうことも否定できないように思います。