メルカトルかく語りき (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777933

作品紹介・あらすじ

祝! 日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞後第一作
悪徳銘探偵(メルカトル)と五つの難事件、怜悧な論理で暴く意外すぎる真実の数々!

ある高校で殺人事件が発生。被害者は物理教師、硬質ガラスで頭部を5度強打され、死因は脳挫傷だった。現場は鍵がかかったままの密室状態の理科室で、

感想・レビュー・書評

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  • 常識破りのミステリー。「答えのない絵本」オタク教師殺人事件。明らかに殺人事件だが、探偵が犯人はいないとする理由は、依頼人の子供が犯人で、犯人隠蔽の必要からと考えられる。(個人的見解)

  • '23年6月20日、Amazon audibleで、聴き終えました。「メルカトル鮎」シリーズ、二作目。

    先に聴き始めた「夏と冬の~」は、ダメで中断しましたが…これは(⁠゜⁠o⁠゜⁠;なんと凄い!ドハマり、しました!僕の常識を、根本からぶっ壊してくれました!もう、ズダボロですಥ⁠‿⁠ಥ

    でも…(⁠☞⁠^⁠o⁠^⁠)⁠ ⁠☞なんだか、笑いまくってしまいました!これは、語れない!是非、体験してみてください!恐らく、8〜9割のミステリ好きな方が、壁に投げつけるのでは?ハハハ(⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)

    最後の「密室荘」で、顎が外れました(⁠╯⁠°⁠□⁠°⁠)⁠╯⁠︵⁠ ⁠┻⁠━⁠┻
    個人的に一番好きなのは…「九州旅行」です。

    「夏と冬〜」は、全くダメ…だったけど、やはり最後まで、聴いてみようかな?迷う…人生の、残された時間が…

  • 傲岸不遜にして唯一無二の銘探偵、メルカトル鮎シリーズの短編集。そこはもちろんメルなので、事件を素直に解決はしない。事件そのものを破壊するのである。論理的に。何の予備知識もない読者が本書を読むと、なんだこれはと放り投げてしまうかもしれない。

    ミステリにおける探偵とは、いわば作者という神の神託を告げる者だ。ゆえに、かの者が白と言えば黒いものも白くなる。絶対的な存在であり、無謬である。そういう自分をメルは軽やかに演じる。シルクハットにタキシードという道化のような装いは、彼がトリックスターである証でもある。

    本書収載の短編は、いかにもメルカトル鮎的なものばかりだが、個人的に好きなのは「答えのない絵本」。

    思えば、それまで海外ミステリ一辺倒だった私が日本の新本格に目覚めたのは、島田荘司作品でも綾辻行人作品でも法月倫太郎作品でもなく、麻耶雄嵩さんのデビュー作『翼ある闇』だった。衝撃のあまり読後すぐに再読したミステリは後にも先にもこれだけである。そんな作家の作品が継続して読める幸せに感謝。

  • メルカトルシリーズの短編を初体験。

    なんだこれ?となりました。
    私の理解力が足りなく、言外を読み切れなかったり…こんなのありなの?となったり。
    さすが麻耶さん^^;
    でも最後まで読んでメルカトルはそういう探偵なのだと再認識しました。
    個人的にこのシリーズは長編の方が好きかなぁ…

  • 天才で傲慢な探偵メルカトルが難解な事件を解決していく短編集。人物描写の際、服装に注力しているのが印象的。

    ※以下ネタバレ注意※

    事件を解決するといっても根本的な解決ではなく、この可能性は無くなった、であったり、こうかもしれないね、という具合で事件が終了するので結局は犯人が見つからない。また、助手はぼんくらと言う設定だが、それにしてはメルカトルに対してタメ口だし、強気に出ることがままあったことも少し違和感。こういう探偵ものが好きな人もいるだろうが、私はノーサンキュー。ただし、宗教の回に関しては先に犯人になりうる人物の行動を描写する試みは面白いと思った。

  • 短編5作のミステリー。
    【死人を起こす】二つの事件が交差する。最初の事件の原因はちょっとどうかと思ってしまった。二つ目の犯人は掟破りだ。後出しジャンケンだ。
    【九州旅行】良い意味で裏切られる作品である。ミステリーのストリー性はいかがなものだろう。
    【収束】これは本格ミステリーだと途中までは思っていた。私の気持ちは収束しない。
    【答えのない絵本】答えはあるが、メルカトルは答えはない(犯人はいない)と言う。あとは読者が推理していく。
    【密室荘】同じような雰囲気がする作品。これが作風だとすると、私は麻耶雄嵩氏の作品を2度と開くことはない。そのためにももう一冊は読んでみよう。

  • メルカトルのことも、麻耶雄嵩のことも良く分かっていない人にはオススメしません。はぁ?なんでここで終わるの?の続出です。ある意味記憶に残る話が多い。頭の良い人が書いた破綻推理小説って感じ。
    私の中で美袋はややカッコいいに寄った平凡イメージなので、表紙の美袋がイマイチマッチしませんでした。

  • 新本格ブーム時にはメルカトルシリーズも読んでおりましたが、一時のブランクの後、ここ数年比較的コンスタントに刊行物のある麻耶作品。まさか今になってメルカトルシリーズもちょいちょいお目にかかるとは。
    とはいえ昔からちょっとメタ的要素を含む事が多い傾向だったので、そこまでどっぷり嵌った訳ではないのだけど、文庫挿画が鈴木さんの罠にまたしても嵌りましたよね…(懲りない)。

    短編5篇。
    全ての作品において「真実はこうだ!」とは言われないという共通項の短編集…ってことでいいのだろうか…。ミステリ好きなわりに推理してみようとかロジックに挑んでみようとかあまり考えずに読み進んでしまうので、わかる人には全然別の流れとか切り口があるのかもしれないんですが、そうだったらごめんなさい…。

    なのであまり内容に言及はできないんですが(苦)、王道ミステリとは言い難いけれど、他の完全なメタミステリというようなものとは何か違う、限りなくメタなんだけどどこか芯に王道めいた雰囲気があるのが麻耶作品らしい気がする。あくまで感覚的なものですが。
    整然とロジカルに組み上げられ、さもそれが真実かのように語られながら、最後にはいつも「まあ全部こじつけだけどね」と突き放される。ある意味そこが、普通のミステリ作品を読みながらどこかで「答えはこれしか無い」と言われても「本当にそうなの?」ともやつく気持ちを明るみにされたような感じで皮肉な面白さがある。そんなこと微塵も感じさせない作品は山ほどあるんですが、やっぱりちょっともやつく事もあるじゃないですか。

    でもまあ個人的には素直に楽しみたい派なので、麻耶作品の個人的ベストは『鴉』が不動かなあ。
    あ、でもメルと美袋の掛け合いは久しぶりに楽しみました。


  •  悪徳探偵とヘタレなワトソン役が事件に挑む。この探偵は悪と対峙する正義漢とは無縁の人物(というより悪)なので、探偵役らしくない考え方や行動を取るのが面白い。
     事件はラストでひっくり返り混乱の幕引き。ミステリの世界観を破壊するようなロジックと結末。
     事件の解決は二の次。
     読了後の後味の悪さがこの作者の魅力です。読んでニヤリとするか、唖然とするか、ちなみに殆どの事件は解決しません。

  • なんと後味の悪いミステリ短編集なのか。ただ、これこそメルカトル鮎の真骨頂とも言える。これもまたアンチ・ミステリの一型なのだろう。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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