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- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062901185
作品紹介・あらすじ
すでに日本の敗色は濃厚な昭和十九年暮れ、M農地開発公社嘱託として極寒の満洲に赴いた木川正介は慣れない土地で喘息と神経痛の持病に苦しんでいた。さらに、中立を破り突如参戦したソ連軍を迎え撃つため四十二歳にして軍に召集されてしまう。世渡り下手な中年作家が生き残りを賭け闘う姿をあたたかく飄逸味あふれる描写で綴った、私小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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私小説。
昭和19年暮れから満州に開発公社の広報として渡った文士の
苦労やら現地での友情を描く。
渡満したのは昭和19年の暮れで、到着したら、やれ防寒着が届かない、部屋のストーブは効かないと極寒にさらされて喘息を起こし、ようやく冬を乗り切ったと思ったら、日本は敗色濃厚、連絡の手段さえ途絶する。
そして夏にはロシアが宣戦布告し南下してくるとのことで、42歳にして現地召集にあってしまう・・・。
戦争末期、満州の混乱や当時の現地日本人の置かれた状況が垣間見えるが、全て主人公のユーモアを通して読者はその姿を見ることになる。
どんなに心細い地にあろうとも、人と人との交流はいつでも可能で、降りかかってくる事態をどう解釈し、どう世界を見るのも自由。
飄々と強かに生きた時代人と満州の風景を、眼前に迫る思いで楽しく読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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