- Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921077
作品紹介・あらすじ
将軍万福、国中連公麻呂、定朝、運慶、湛慶、雪舟、尾形光琳、池大雅、北斎、広重、富岡鉄斎、藤田嗣治、多数の逸名作家…。世界美術史の中でも最高水準にある作家たちは、「民族的・宗教的価値」を超える普遍性=「人間性」の表現を実現した。「時代様式」による記述で、縄文から現代にいたる美術作品を縦横に論じた、新日本美術史がここにある。
感想・レビュー・書評
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アルカイズム、クラシシスム、マニエリスム、バロック、ロマンチシズムなどの西洋美術の様式概念を駆使して日本美術を論じたユニークな試みである。安直な文化主義に寄りかかるのではなく、日本美術を西洋美術と共通の物差しで評価することにより、その芸術作品としての普遍的価値と先駆性を主張している。
本書に貫かれているのは日本美術特殊論への抜き難い違和感である。冒頭で槍玉に挙げられるのは、世界的な西洋美術史家で優れた日本美術論をものした矢代幸雄である。矢代は日本美術の特質として、印象性、装飾性、象徴性、感傷性をあげるが(『日本美術の再検討』)、著者によればこれらは真実性、写実性、具体性、精神性という本来の芸術の性格とは相入れないもので、真の普遍性を持ち得ないという。日本人は「淡白好みで、人体美には関心をもたない」といった通念も「思い込み」に過ぎないと手厳しい。
日本美術にも西洋美術に匹敵する写実性やダイナミックな造形美が脈々と流れており、それがこれまで必ずしも正当に評価されてこなかった。この点を具体例に即して系統的に明らかにしたのは本書の功績である。特にクラシシスムに比される白鳳・天平期の諸仏に「絶対的明瞭性」を、バロックにあたる鎌倉期の「金剛力士」にあるがままの力を発揮する「自然な力強さ」を見出すなど、日本の彫刻芸術の世界性を高く評価する視点は注目に値する。
一方で矢代が挙げた印象性をはじめとする日本美術の諸特質をいずれも本来の芸術の性質でないとする著者の芸術理念は少々狭隘、と言って悪ければ、あまりに古風と言えまいか。彫刻芸術はともかく、こうした「特殊性」を捨象して日本絵画を論ずれば平板で図式的になるのは否めない。それを西洋中心主義と難ずるつもりはないが、装飾性や象徴性を抜きに、例えば世紀末に開花し、現代美術へと受け継がれた西洋美術の大きな潮流を評価することもできないはずだ。同じ西洋美術史家の手になる日本美術論でも高階秀爾氏の『 増補 日本美術を見る眼 東と西の出会い (岩波現代文庫) 』等と読み比べてみることをすすめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685519 -
題名通り日本美術史
ちゃんと通史として一貫した視座からまとまっている労作
他に一人によって書かれた同様例をみたことないので比較できないが
内容にけちをつけられる資格のあるものがどれほどいるとも思えない -
新書文庫
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いつ買ったっけ
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ものすごいボリュームで読むのに疲れてしまった…。