素浪人半四郎百鬼夜行(四) 怨鬼の執 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931304

作品紹介・あらすじ

「2015年版この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門第5位、目利き絶賛の好評シリーズ、第5巻。

謎の光が人を襲い、その者は狂気に至るという怪事件が江戸で頻発する。半四郎はその謎の力を相手に、秘太刀「浮舟」でなんとか退ける。その怪異の正体は「通悪魔」だ、と聊異斎は言う。

年貢を納めず罰せられた貧しい百姓一家。父不在の間に、母娘は一日厳寒の屋外に晒され母は娘を守って死んだ。酒に溺れる父の元を娘は見切り江戸に旅立つ。しかし娘は自分を傷つける者を、自分の知らずまま凍りづけにして殺めてしまう能力を身につけてしまっていた。氷付けの行き倒れが相次いで発見され、娘はついに発見される。しかし半四郎は娘を懲らしめる気持ちにはならなかった……。

聊異斎と捨吉は江戸を離れたという。なにやら不穏な動きではあるが、気にしても仕様がないと、半四郎は稽古に励む。一度破れた秘太刀『浮舟』を越える太刀筋はあるのか? 半四郎は奇妙な影の襲来を受ける。咄嗟に半四郎は『浦陰』の太刀を繰り出すことができた。

半四郎の国許、東雲藩では、半四郎に可愛い孫を再起不能させられ怒り収まらぬ大婆がいた。しかし大婆の横暴は、ついには藩主からも疎んじられるようになる。没落した浦山家で腐臭を放つ孫の面倒役まで落ちぶれた大婆の執念は最高潮となり大婆は火そのものとなった。それは孫を焼き、屋敷を焼き、街を焼き、半四郎のいる江戸に火の塊は向かった。老人と子供は、半四郎を江戸におき修験者儀界坊を伴い、東雲藩と江戸の間の地点でその炎を退治する。一連の怪異発生は、江戸だけではないと判断した聊異斎は、その調査のため半四郎と捨吉を伴い、旅にでる。

感想・レビュー・書評

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  • 第四弾
    光に取り付く通り魔、不幸な生い立ちから奇妙な技を付けて哀しい娘、伊賀の忍者に挑まれた後、今度は故郷での関連で炎上が

  • 自らの昏い性質のせいで鬼と化す人間もいれば、もとは美しい心でも辛い運命が鬼に変えてしまうこともある。今回はそんな哀れな雪女に触れ、またも己の不甲斐なさに落ち込む半四郎。相変わらず謙虚で真っ直ぐな男です。今まで培った周囲との信頼関係は更に深まり、半四郎の知らないところで半四郎の為に動く仲間たちにホッコリします。反面半四郎を狙う組織の存在も見え隠れ。完全に闇の世界に両足突っ込んでしまっている半四郎に幸せは来るのか?鬼婆は本当にクソ婆だったな。一人で死ねばいいのに、と私の心の闇も噴出(笑)。

  • 素浪人半四郎百鬼夜行シリーズ、4作目。

    前作で半四郎の脱藩までの経緯がちゃんと描かれてから、急に面白くなってきた。通り悪魔の「光耀鬼」と、悲しき過去から雪女と化してしまった「氷姫」の話は秀逸。そして、志津を自殺に追いやった元凶である浦山の大婆の恐ろしきことよ。化け物へと化していくまでの怨み、執念の募らせる様は震撼モノだった。
    さて、すでに見え隠れしている新たな敵陣は如何なるものか。次の展開に期待。

  • 頻発する江戸の怪異に決死の覚悟で立ち向かう半四郎に最大の危機が訪れる。将来を嘱望された孫を半四郎に再起不能の身とされた大婆(おおばば)。家は没落し大婆の怨みが爆発する。日本を覆い始めた妖異が大婆に入り込み炎の化身となった。火の玉は半四郎の故郷を焼き払い、半四郎を標的に江戸へ向かう。〈文庫書下ろし〉

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著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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