蜃気楼の犬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062939157

作品紹介・あらすじ

正義など、どうでもいい。
俺はただ、可愛い嫁から幸せを奪う可能性を、迷わず排除するだけだ。明日も明後日も。

県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。周囲の人間は賞賛と若干の揶揄を込めて彼のことを呼ぶ――現場の番場。
ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく――。

江戸川乱歩賞作家が描く、新世代の連作警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • あっ〜残念!
    個人的に短編嫌いなので連続短編なのだけど好みじゃないんです…だから残念!これ長編なら…と思う。

    「月に吠える兎 」時間があるなら信念を貫け!

    「真夜中の放物線 」笑える話にも真面目に取り組んだ結果…

    「沈黙の終着駅」恨み怨み…因果応報は必ずあるんだよ。

    「かくれんぼ」 心の特効薬なんて無いんだよね。だから真摯に向き合う事が重要だ。

    「蜃気楼の犬 」これも心の物語…苦渋するけどこうなる…だから争いは無くならない。正義感を貫くのは難しいし、その前に気づく事は難しい…。ありふれた物語だけど心に突き刺さるものがあった。

  • やる気も正義感も、少々くたびれてきた、県警捜査一課のオッサン刑事、番場。

    だが、事件現場に立つと途端に、その洞察、観察力を発揮する。

    だからか、仲間は彼を「現場の番場」と呼び、一目置く。

    当の番場は、50を過ぎ二回りも年下の女性を嫁にして、一途に愛情を注いでいる。

    女性のバラバラ遺体発見から始まる「月に吠える兎」。

    被害者の指二本がなくなっている代わりに、本人のものではない指が残されていた。

    そして、「真夜中の放物線」では、男性の飛び降り死体が発見されたが、周辺の高い建物といえば、少し離れた位置にあるマンションだけ。

    そこから落ちたにしては、不自然な距離に遺体はあった…。

    興味を引く謎が提示される5編の連作モノで、いずれも
    たっぷり満足させてくれる。

    謎だけではなく、表題作の「蜃気楼の犬」では、刑事という生きざま、刑事である前に人間であることの苦悩が描かれ、作品は暗い表情を見せる。

    番場は新米刑事、船越の教育係として相棒をつとめるのだが、新人ならではのまっさらな正義感と、事件における正義の取り扱いで生じる微妙なズレは、二人の間にも行き違いを生んでしまう。

    番場の妻が妊娠するのだが、日がたつにつれ、精神のバランスを崩し、番場の前から姿を消してしまう。

    船越との関係もそうだが、妻との結婚生活に関しても、
    あいまいさや謎が残り、続編があるのかしらと思ってしまうのだが…。

  • 架空の地方都市を舞台に、県警本部捜査一課のベテラン刑事の番場が挑む5つの事件を描く短編集。長編作品で発揮される呉氏の構成や展開の妙が生かされておらず、逆に呉氏の苦手とする殺害動機や人物描写の粗さが目立ってしまう。刑事小説としての面白さはあり。

  • 単なる短編?ではなかった。

  • 記録

  • 短編集っていってもひとつは100ページ超なので
    中編くらいかね
    若い奥さんがいるベテラン刑事と新米刑事が
    さまざまな事件を追う
    最後の書き下ろしだけ時間がさかのぼるが
    それ以外は時系列に並んでる感じ
    やっぱり100ページ超の本書のタイトルにも
    なっている話がおもしろかった

  • 二回り以上年下の女性と結婚した刑事を主人公にした連作短編ミステリー。
    犯行のトリックがわかりづらい話もあれば、辻褄があわない話もあったりして、読むのが少ししんどいかなと思ったが、徐々に面白味が増してきた。それは主人公・番場の刑事でいることの動機と、妻との関係。
    表題作は、連作としての構成が光っていてなかなか面白かった。そう考えると序盤の話がもったいない気がする。

  • 短編だから失敗したなと思ったが、繋がってて面白かった。

  • 呉勝浩『蜃気楼の犬』講談社文庫。

    連作短編形式の警察小説。『新世代の警察小説』という惹句も興味深かった。『道徳の時間』も評判倒れだったし、『ロスト』は余りにもつまらなさ過ぎで途中で放棄。もしも本作がダメなら、この作家の作品は二度と読むことは無いだろう。果たして……

    『月に吠える兎』。随分と粗いミステリーだった。猟奇連続殺人と思われた事件は主人公の県警本部捜査一課の番場があっさりと解決してしまう。

    『真夜中の放物線』。これも番場があっさりと。トリックばかりに力を入れている感が強く、バランスの悪いこと。

    他に『沈黙の終着駅』『かくれんぼ』、表題作の『蜃気楼の犬』、特別書き下ろし『No.9』の6編を収録。

    結果、全くダメでした。この作家の作品は二度と読むことは無いだろう。どの辺りが新世代の警察小説なのか解らなかった。

  • 江戸川乱歩賞作家が描く、新世代の警察小説

    県警本部捜査一課の番場は、二回りも年の離れた身重の妻コヨリを愛し、日々捜査を続けるベテラン刑事。ルーキー刑事の船越とともに難事件の捜査に取り組む中で、番場は自らの「正義」を見失っていく―。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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