- Amazon.co.jp ・マンガ (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063107807
作品紹介・あらすじ
深海生物圏研究室に勤務する西 乙女は、休暇を取って
久しぶりに弟の甲太郎と再会する。深夜25時の海辺にて乙女が甲太郎に見せたの は、貝に侵食された自分の姿だった。(『25時のバカンス』)
土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」の不良学生・ナナと奇妙な新入生との交流 を描く。(『パンドラにて』)天才高校生が雪深い北の果てで、ひとりの男と共同生活を始める。(『月の葬 式』)。以上3編を収録! ロングセラー作『虫と歌 市川春子作品集』を描いた市川氏が放つ、およそ1年ぶりの最新作!!
深海生物圏研究室に勤務する西 乙女は、休暇を取って久しぶりに弟の甲太郎と再会する。深夜25時の海辺にて乙女が甲太郎に見せたの は、貝に侵食された自分の姿だった。(『25時のバカンス』)土星の衛星に立地する「パンドラ女学院」の不良学生・ナナと奇妙な新入生との交流 を描く。(『パンドラにて』)天才高校生が雪深い北の果てで、ひとりの男と共同生活を始める。(『月の葬式』)。
感想・レビュー・書評
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描写から設定までありとあらゆる箇所までこだわった短編集。濃密な設定には作者のオタク魂(褒めてます)というか随所に特定の分野を極めていることを盛り込んだ所は素晴らしい、素敵、としか言いようがない。特に一作目の「25時のバカンス」が好きだった。この作品には非現実な二次元ではなく、論理的な二次元の夢があった。
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「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
今...「動きがなめらかで見ていてうっとりする。」
綺麗で透明感のある絵が素敵。それはきっと、重力を感じない世界を構築している所為なんだと思う。
今、連載している「宝石の国」が早く一冊に纏まりますように。。。
2013/05/23
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私が好きで本棚においていたのを我が子が真剣に読んでいた。成長を感じた。市川さんの物語、絵は本当に美しく繊細。もう少し大きくなったら、どのシーンが好き?をやってみたいな。
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前作『虫と歌』もよかったが、本作もすばらしい。
人の人格を持った「モノ」をベースに、「孤独」に正当な居場所を与えていく作者。
同じ作風から多彩な物語を形成していく能力には嫉妬してしまう。
普通なら自己模倣になってしまうもの。
「寂しいのは悪いことではありません。他の存在に感謝できます。孤独は生まれてから塵に帰るまでの苦い贅沢品..」(市川春子『25時のバカンス』)
孤独は贅沢品。自分にとって、それは根本的に新しい価値観。
「これ以上近づけないのなら 今度は遠のく日がひどくおそろしい 最高得点で時を止めて逃げてしまえれば」
共感と反発を同時に感じる言葉。
人と人との関係性は固定できない。たえず変わっていくもの。
でもそれが好きなタイミングで凍結保存できるものだとしたら?
主人公は迷いつつも、別の道を選ぶ。
過去にしがみついて、低温やけどする方がきついのだと。 -
まだアフターヌーンを買っていた頃、
四季大賞になった「虫と歌」が面白くて覚えていました。
よもやこんなに人気になっているとは露知らず。
表題の短編がべらぼうに面白い。
間のとり方が絶妙です。
コマ割りの時間分節も上手いですが、
特にすごいと思ったのは、
登場人物の気持ちとセリフの間。
前編の最後のコマの
「もっと調べなさい」というセリフは、
繊細なタッチと相俟って、
心情が匂い立つような表現で素晴らしいです。
こういう言葉と心の距離感は、
女性作家のほうが断然上手いんですよね。
あとわたしなりの解釈ですが、
この短編のタイトルの「25時」というのは、
「未来の生命」を表しているのだと思います。
宇宙や地球の歴史を24時間で表すみたいなのありますよね。
人類の誕生は23時59分50何秒とか。
そういう文脈で「25時」に「未来」という意味を乗っけているのかなと。
一冊通しての印象は、
一貫してフラジャイルな(壊れやすい)関係やモノ・人を描いている人だということ。
特に、
壊れていくあるいは溶けていくグロテスクな身体に、
異常なまでのエロティシズムを感じさせる描写は、
手塚治虫的な感性を感じます。
たぶんそういうのにエロスを感じる人なんでしょうね。
本棚から引っ張りだして読んだ、
四季大賞の「虫と歌」も同じテーマでしたから。
気持ち悪いという人が多い気のする作家ですな。
でも、かなりおすすめ。 -
前作からすっかり市川春子ワールドの虜になってしまいました。
「内側から壊れていくもの」がテーマだったんでしょうか。そんな中自分の大切なものを守ろうとする人達のお話です。
表題作が好きです。
イソギンチャクみたいなやつ、かわいい!
虫と歌よりSF性もグロテスクさも増してます。市川さんの感性が痛いくらい剥き出しに。だがそこがいい。
うつくしくて濃い世界観の中で、ページをめくるごとに息が苦しくなっていくようです。
ちょっと難解かも。一度読んだだけじゃ物語を掴みきれない。
だからこそ何回も読んでほしい作品です。 -
SFはもちろん、近親愛、同性愛的な表現も盛り込まれたかなり濃い作品だった。
25時のバカンスは何度読み返してもいいな。市川春子先生の言葉が綺麗で…「あのときお前を助けられるのは私だけだった。それがうれしくて今が永遠になれば良いと思った。」何回読んでも胸がギュンとする