いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

著者 : 竜田一人
  • 講談社 (2014年4月23日発売)
3.79
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063883183

作品紹介・あらすじ

福島第一原発作業員が描く渾身の原発ルポルタージュ漫画! 

「いちえふ(=1F)」とは福島第一原子力発電所の通称。「F」は福島。「1」は第一。
現場の作業員や地元住人は「フクイチ」ではなく「いちえふ」と呼ぶ──。

新人賞MANGA OPENの大賞受賞作として「モーニング」に掲載されるやいなや読者、国内外のメディアからのすさまじい反響を呼んだ話題作がついに単行本化!
ここに描かれるのは「フクシマの真実」ではなく、作者がその目で見てきた「福島の現実」だ。

「メディアが報じない福島第一原発とそこで働く作業員の日常」、そして「この先何十年かかるともしれない廃炉作業の現実」を、あくまでも作業員の立場から描写。「この職場を福島の大地から消し去るその日まで」働き続ける作業員たちの日々を記録した、いま日本に暮らすすべての人たちに一度は読んでみてもらいたい「労働記」です。

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)の感想・レビュー・書評

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  • 地方からの電力を貪るのに忙しい都会人は、原発再開反対と言いながらも再稼働ニュースのドミノに沈黙を決め込む。その意味で都会から福島に乗込む筆者の覚悟は、竜田一人(たったひとり)でなされる見上げた献身だ。

    反面、私の心は何気なく書かれた小さい吹出しに吸い寄せられる。

    「どんな光景もいつしか日常の風景となっていく」(111頁)

    どんな荒廃も日常へと取り込む小さき者達の逞しさは、裏返せば皺寄せや矛盾を自分の生命に甘受すること。これ以上は無理と悲鳴が上がる限界まで。

    福島で作業員としての日常を描く筆者の論調の方向性を極大化すれば、福島は他の原発とあまり違わず、他よりちょっと大変ってだけになってしまわないか?事態はそれで済まされないことは明らか。事故という気づきの機会を得ながら、これまでと同じ日常に飲まれてしまうことこそ問題だと私は敢えて言いたい。

  • 福島第一原発の作業員となって働いた筆者の体験記。

    福島第一原発で働くなんて大変なことだと思ってしまうが、筆者の働く仲間たちは、淡々と働いている。
    それなりに訳ありそうな仲間たちだが、笑い話をしながら、力仕事をこなす。

    この日常的ではない環境のはずだが、日常性を帯びてしまう雰囲気がこの漫画のリアリティーというか凄さなのだと思う。

    正直絵は少し昔っぽい気がするが、体動かすことが好きという作者の人柄とも相まって、男臭い雰囲気が出てて、面白い。

    体験漫画、エッセイ漫画にフィットした内容。
    漫画というジャンルでルポすることで、不必要に重くならず、ビジュアルで直感的に疑似体験できる。
    そこがこの漫画の魅力。

  • 一番驚いたのは、ほとんど仕事の待機で、現場近くの寮に入って寮費と食費がかさんで行く、初任給は手伝い数日で、そこから寮費と食費を引かれ手元に残ったのは14560円ということ、判子を買ったらそのまま預かられてしまって、どんな書類に押されてるかわからないこと。実際に働いた人の話は興味深い。

  • 福島原発の作業員
    どんな人が、わざわざ危険任務に?
    と偏見もあったけど、普通のおじさん達が頑張っていた。

  • なかなかハードボイルドで良かった!いちえふ、という壮絶な舞台が中心であることも勿論だけれど、日本にあまた存在する「土建屋」さんの裏側を覗けるようで興奮する。なかなかエンタメの登場人物にはならない人々の、泥臭い仕事場奮闘記。

  • 福島第一原発で働く内情が細かく分かる。報道だけでは分からない日常が知れて良かった。

  • 漫画として面白い訳ではないが、読んで良かった。熊本地震もあり、福島のことは自分の中で薄れてきていたけれど、私達の日常と同じように1日1日続いていると知った。
    予想していたよりも親近感のわく内容で良かった!やっぱりお給料は良いのね。著者は最初は休憩所の管理業務をやっていたけれど、最前線の現場仕事を希望して、実際に希望の仕事に就くまでの根性がすごい。

  • タイトルどおり。興味津々の世界をこうやってキレイな線画で細かく描写してもらって追体験でるのがありがたい。とても細かい描写だ。反原発というより、現場を正確に伝えない反原発に不信感がある感じだ。現場の声としてはもっともだ。放射能は当然ながら管理が行き届いている。それよりも重装備での夏の仕事がたいへんだ。戻ってきて手袋を脱いだだけで汗が水となって流れだす。草が氾濫し、田んぼにセイタカアワダチソウが繁茂してるところに福島の現実を見る。
    現場の様子はリアルに伝わってくるけど、人間の描写は薄っぺらだ。マンガにありがちな朗らかな笑顔に安っぽいプライドが描かれる。全国のあちこちから来ている人たちの人間描写にキチンと入れるといいのだが。結局は手続き論ばかりで飽いてしまう。

  • 作者の「現場のリアルを伝えたい」という気持ちが細かい絵や文字のボリュームに存分に表れているように感じました。
    作業員の一日や作業内容も興味深かったですが、それ以上にハローワークでのやり取りや就業までの過程を関心もって読んでいました。案件掲示していても紹介するとなると多少の躊躇というか意思確認されるんですね。そして希望すれば即就業ではないというのが意外でした。

    「福島で作られた電気を東京で使う当事者」。事故からしばらくはそう思ってたはずなのに、時が流れるうちに希薄になっていたことに気づかされハッとしました。

  • 称賛されるべき仕事に対して、それに見合う待遇と名誉が与えられないところは自衛隊を思わせる。現場作業員は何と6次下請けという、唾棄すべき業界の中抜き体質。絵のタッチや描きぶりはみやわき心太郎の雀鬼会漫画を思わせる。彼らのやっていることは大変有難い事なのだが、せっかくの稼ぎがタバコ、ギャンブルに消えていく描写を見ると、給料多くしてもその分、消えていくだけなのかなとも思ってしまう。現場の安全性については体験者ならではの、陰謀論やいわゆる放射脳的考えを打ち砕きつつ、予断を許さない緊張感が余すとこなく描写されている。意図的にか作者の性格によるものか、扇情的な描写をしない淡々としたルポ漫画になっている。

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