- Amazon.co.jp ・マンガ (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063886160
作品紹介・あらすじ
身体的にも法律的にも女性になるために、主人公・平沢ゆうなは性別適合手術(SRS)を受けにタイへと旅立つ。しかし、女性への道のりは想像していた以上に“痛かった”!! 性同一性障害(GID)当事者の作者が男性から女性になる過程を詳細に描いた実録エッセイ!
感想・レビュー・書評
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「普通」って何だろう。功利主義的には多数派の見解に一致することなんだろうけど、でもマイノリティーの存在は無視していいわけでもなく、簡単なようでいて難しい設問。マイノリティーの主張と逆差別の境界もあいまいだし、こういう話は結論を先延ばしたくなる。
それぞれの悩みや苦労は誰とも比較できないくらいあるものだけど、「待っていたよ」とか「よかったね」と待っていてくれる人がいるってあり難いことだよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『鍵つきテラリウム』(平沢ゆうな)の作者の作品見てる時に発見した『僕が私になるために』。
世の中にはいろんな性の形があると『マンガでわかるLGBTQ+』(パレットーク)や『恋せぬふたり』(吉田恵理香)、『わたしはロランス』(グザヴィエ・ドラン)、『フランシス・ハ』(ノア・バームバック)、『リリーのすべて』(トム・フーバー)などで知りました。
これらで【性の種類】や【性別違和によって抱える悩み】は見聞きして感覚的にわかったものの、
「どうやって体を変えるのか?その具体的内容は?」というところまでは知りませんでした。
本書は男性から女性になられた方の性別適合手術のお話で、勉強になりましたね。
なりたい自分へなるための努力をする人ってやっぱすごいなって思う。 -
偶然古本屋で手にとって立ち読みしてみたら面白かったので購入した作品。
性同一性障害の男性が、女性になるためにタイで手術をした時のお話が漫画で詳しく描かれています。
手術の時のことだけでなく、手術後にしなくてはならないことも描かれています。
私はこの障害ではないし、周りにこの障害を持つ知り合いもいない。知らなければいけない情報ではなかったけど、読んでみて、
「読んで良かったなぁ」
と思えた作品は久しぶりでした。 -
LGBTQの本棚から
第33回「僕が私になるために」
今回紹介するのは
「僕が私になるために」(平沢ゆうな)
です。
この本は性同一性障害のFtM(女→男)の作者の性転換手術の体験記です。
今までにFtMの
『男になりタイ! 私の彼氏は元オンナ』(竹内千佐子)や、同じMtFの
『生まれる性別を間違えた!』(小西真冬)
『リリーのすべて』
というDVDも紹介してきました。
それでも本ごとに
「これを言って欲しかった!」
という部分があるのでそこを紹介したいと思います。
まずこの漫画の始まりのページ
【『性別の違和感』
文字にすればたった6文字……。
でも性別って実は自分を形作る根源的なもので、そこに違和感があると、とても大変なのです
誰もが思春期くらいに同じ悩みを持ちながらいつの間にか考えなくなる
「自分は何者なのか」
という命題……。
『この答えを延々と見いだすことができず、悩みが深刻化すると自ら死を選ぶこともあります』
ここを読んだ時、まさに自分のことだ…と思いました。
「自分は何者なのか」
を僕は、12歳くらいから今でもずっと考え続けているのです。
答えを見いだせず迷走したり、周りや自分を傷つけたり、かなり遠回りをしました。
次は
【ここに来るまでにもいろいろあったなぁ…
いろんな目で見られたなぁ……】
という一文。
MtFの僕ですら、社会的に性別移行して男性としてほとんどパスできるようになるまで大変でした。
FtMはMtFよりもさらに大変だと聞きます。
その理由は、声の変化の違い・体格などいろいろです。
FtMはホルモン治療をすることで自然と男性の声になり喉仏もでてきますが、MtFはトレーニングである程度高くするか、手術を受けて変える必要があります。
体格についても、小柄な男性はそれほど目立たないのですが、大柄な女性は目立つんですよね。
小柄なのは服でごまかすこともできるんですが、大柄はそれよりも難しいです。
という感じに問題は山積み…
時には暴言を吐かれたり、暴力を受けたりもします。
それを踏まえて次へ
術後の痛みに耐える中で作者は
【この痛みに耐えれば…
日本に帰れて……
日本に帰れば……
何が待ってるんだっけ……?】
ここで彼女の頭に浮かんだのは、LGBTQに否定的な人たちの言葉や、そんな社会でした。
精神的にも肉体的にも追い詰められて余裕がなくなった時、どうしても脳裏に浮かぶのは悪いことばかり…。
SRS(性別適合手術)の後に、手術の結果に納得できなかったり、手術をすれば生きやすくなると思っていたけど現実はそうではなかったりして、命を絶ってしまう人が一定数いるのです。
それって、社会が変わったら、減らせるのかもって思いませんか?
僕はそう思いました。
僕の実体験の話が多くなってしまいましたが、当事者の意見が1番説得力がある気がするので書かせてもらいました。
『どうせ死ぬなら最後にあがいてみよう』
と手術に臨むことで、生きる希望を見つけようとしている人もいます。
そんな時、今よりも、もう少し日本が、社会が、周りの人たちが優しくなれば悲しい道をたどる人が少なくなると思うんです。
そのために(いつも同じ結論になってしまうんですが)
やはり多くの人がLGBTQについての知識を持つことが必要だと思います。
何も知らずになんとなく吐いた言葉が、たまたま近くにいたギリギリの状態の人の耳に入ってしまったら?
あなたの友人が実はLGBTQだったら?
これは想像ではなくて、実際に起こることのある話なんです。
他人事じゃありません。
僕はいま、男子学生としてパスして学校に通うことができていますが、僕の前で何気なく
『同性愛って生産性がないよな』
などという人もいるんです。
生産性なら、FtMの僕にも無いのに。
ということで!
まだ常識とか型にとらわれていない子どものうちに多くの知識を得ることが柔軟な考えにつながり、これからのLGBTQが生きやすい社会を作ることにもなると思います。
そのために学校図書館にはLGBTQ関連の本をたくさん入れて欲しいんです!
大人になるとどうしても凝り固まった考えをほぐすのに時間がかかりますから……。
2017年12月25日 -
心と身体が一致しない性同一性障害GID。こちらの漫画家さんはタイトルどおり男性から女性にタイで手術を受けられた方。GIDについてはニュースで耳にしてましたが、手術の流れやその内容がこんなふうだったとは!です。男性器から女性器へ、これ中でも触れてあるけどカバー下がそれを食材で模した写真でした。こんな手術になるんだ。あと幻肢痛があるらしいです。女性の私には想像がつかないような痛みのようです。手術後もいろいろあるんですね。この漫画家さんは家族の理解があってなによりです。
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能町みね子さんの「オカマだけどOLやってます。」を訪仏とさせるが、それよりもより手術内容が詳しくて、ほーーー!!といった感じであった。
重い内容を非常にコミカルに解りやすく描かれていると思う。