「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020517

作品紹介・あらすじ

旨味成分に関する研究が注目されるなど、近年は「食」の科学的な研究が進んでいます。実際に、食品メーカーでは分子レベルの研究から新商品の開発が行われたり、科学的な知見をもとにした調理技術がフランス料理をはじめとする実践分野でも応用されたりしています。そもそも、「おいしさ」とは飲食にともなって起こる生理的な感覚(快感)です。人は五感をフルに使っておいしさを感じており、そのファクターは味や香りだけでなく、人間特有の生理作用や環境にまでおよびます。
 現在、「食の科学」の分野で活躍されている大学研究者、メーカー研究者にサイエンスライターが取材し、「おいしさ」を感じるとはどういうことか、「おいしさ」を作るとはどういうことか、「食」分野での研究の最前線をわかりやすく紹介します。また、食材のおいしさはどこから来るのか、その成分や、調理や熟成によってどのような化学変化がおこっておいしくなるのか、詳しく解説します。

第1章 おいしさとはなにかおいしさの科学
 おいしさは生命維持のために備わった快感 など
第2章 おいしさを生む化学反応
 おいしさへの変化/水の役割
第3章 おいしさの素を探る
 だし・調味料・熟成
 ~だしのおいしさの科学 伏木亨(龍谷大学農学部教授) 
  だしの嗜好性に寄与する香気成分の研究 網塚貴彦(長谷川香料) など
第4章 食材のおいしさを探る
 肉・魚介類・米・野菜・豆類のおいしさ
 ~肉のうまさの秘密 松石昌典(日本獣医生命科学教授) 
  食感の科学、レオロジー 小川廣男(東京海洋大学特任教授)  など
第5章 調理から生じるおいしさ
 おいしさを作る熱/おいしさを作る形・テクスチャー
第6章 科学が作るおいしさ
 香りを作る/冷凍食品と不凍素材/おいしさを計る/おいしさを包む
 ~美味しさを感じさせる香り 中原一晃(高田香料) 
  冷凍食品を美味しくする技術 荒井直樹(株式会社カネカ) 
  味覚センサーで味を科学する 池崎秀和(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー)  など
第7章 おいしさを感じる脳と味細胞のしくみ
 脳の連携プレー/分子レベルで明らかになった味細胞/なぜ食べすぎるのか など

感想・レビュー・書評

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  •  料理と音楽は似ている。好きだったり嫌いだったりするのに、なんで好きなのか、嫌いなのかちゃんと説明できない。「ビートが効いているから」「甘いから」と無理に理由をつけてみたところで、じゃあビートの効いている音楽は、甘い物はなんでも好きかというとそういうわけでもない。同じ楽器、同じ譜面で演奏してもなんか違うように、同じ材料、同じレシピで作ってみてもうまくない。不思議だ。

     不思議なことには何か隠された理由があるに違いない、と考えるのがぼくの悪いクセだ。視覚が光に対する、聴覚が音波に対する感覚であるように、味覚も化学的な感覚の1つなんだから、科学的かつ合理的な因果関係があるはずだ。それを知りたい。

     で、面白かった。知らないこともいろいろ知った。情報の詰め込みすぎか、細切れのトピックの羅列みたいになっていて、途中で飽きるのはご愛嬌か。

     でも事実は事実として、なんかもやっとするものは残った。科学的に設計され、「おいしさ測定器」で測定された「おいしいもの」は本当においしいんだろうか? 音楽の「好き」が解析できたとして、誰もが好きになる究極のヒットソングを計算できるんだろうか?
     そうであって欲しくない、と思っているのは認める。人生は謎があったほうが面白い。グルタミン酸ナトリウムxグラム、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステルyグラムで完璧!・・・より、利尻昆布と削りたての本枯れ節でとった出汁で作ったほうれん草と油揚げのみそ汁! とか、うちの奥さんの唐揚げどうやって作っているか何度聞いてもわかんないけどとにかくサイコー! とか、知る人ぞ知る謎の天才シェフとか、そっちのほうが世の中的には楽しそうだ。産業製品としての食べ物、音楽という一面からは、科学的アプローチやコストパフォーマンスとは無縁ではいられないのだろうけれど、やりすぎるとつまらないことになりそうだな、と思った。

     謎があったほうが面白い、という意見と、知りたい欲求は一見相反するようだが、実はしない。知りたいという気持ちがないところには謎も生まれないのだから。

  • ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 再読したい
    ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 再読しないが良かった
    ⭐︎⭐︎⭐︎ 普通

  • おいしさを巡る、ブルーバックス的な良質なアクセス本。

    結果的に、料理とは、アートであり、サイエンスなのだよと。思った。

    具体的なレシピとかはもちろん書いてるわけじゃないんだけどね。
    これ読んでも、料理上手くはなりません。
    でも、なんで料理が美味いのかは、理解できると思います。
    でも、料理教室でうんちく語ったら、あかん気がするので要注意です。

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB25733385

  • 大学のレポートのために読んだ。

    「おいしさ」や「旨味」にとても興味がある私にとって、とてもためになる本だった。わかりやすく書かれていたためすぐに理解できた。日常の細かな疑問が解決していく所にとても爽快感を感じた。

    本能的なおいしさもあれば、好き嫌いのおいしさもあることが分かった。
    様々な技術と知恵があり、おいしい食品を食べられるのだと知った。

  • 目的 食物の科学的な側面を学ぶため

    感想 料理の過程でどのように栄養素が変化するかなど詳しく書いてありとてもわかりやすかった。また包装について、ポテトチップスの例が挙げられていて美味しさを保つための包装の大切さもわかった。

    自分の行動 これから料理するときは、食材や調理方法でどのように味が変化していくのか科学的に思考する癖をつけていきたい。

  • https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057474

    【食べる】

    美味しいものは誰もが興味あると思いますが、本書はその"おいしさ"そのものについて科学している本です。
    ・「いま自分が食べているものを、なぜ美味しいと思うのだろう」と不思議に感じたことのある方
    ・理論的に美味しい料理を作りたい方

    そんなあなたにお薦めです!

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著者プロフィール

東京都出身。東京大学大学院農学生命科学研究科修了(農学博士)。サイエンスライターとして、生物や食品化学などの分野を主に担当。また、明治学院大学、東洋大学などで非常勤講師を務める。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)、『栄養学部 中高生のための学部選びガイド』『農学部 中高生のための学部選びガイド』(以上ぺりかん社)、『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など。

「2022年 『本当に役立つ栄養学 肥満、病気、老化予防のカギとなる食べものの科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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