ブラック・ドッグ (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065121498

作品紹介・あらすじ

目的のためには殺人も辞さない過激な動物愛護団体、『DOG』。遺棄動物の譲渡会が行われる会場に集まった隆平、栞、結愛と拓人たちは、『DOG』によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。獣から逃げるため、逃走を開始する人間たち。「ヒト」と「ケモノ」を隔てるのは何か。

感想・レビュー・書評

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  • 良い意味で期待を裏切られた作品です。

    葉真中作品はデビュー作である「ロストケア」でドハマりし、続く「絶叫」、「Blue」と高評価をつけ読み終えました。

    「ロストケア」は社会派の最高傑作だと思っていますが、だからこそ私が葉真中作品に求めるのも社会派作品。

    手元で積読となっている著者の2作品「凍てつく太陽」、「灼熱」もブク友さんのレビューを読めばそっち側の作品。

    でも、本作は違うんだよなぁー。

    前面に出てくるのは所謂パニック小説。

    わずか数時間の出来事を651Pの作品にすると、リアルに伝わってきますよね。

    恐怖、パニック、悲鳴、絶望...

    閉鎖された空間でまさに狩りが始まりますが、狩られるのは「人」、獣達に襲われ、食い殺されていきます。
    ※本書は「ロストケア」と違い映像化しちゃダメなヤツです。

    本作の主人公って...

    当初は隆平かと思いきや、早々に...

    結愛?拓人?栞?シンって見方も出来るけど、アイを中心にって考えても面白い…

    ウーン...?(*_*)?

    単なるパニック小説としても読み応え十分な作品なのですが、やはり考えさせられんですよねー「種差別の克服」。

    ここまでの感想、きっと未読の方にはチンプンカンプンですよね^^;

    でも読み終えた読者の方ならきっと共感頂けるのではないかと...(苦笑)



    目的のためには殺人も辞さない過激な動物愛護団体、『DOG』。遺棄動物の譲渡会が行われる会場に集まった隆平、栞、結愛と拓人たちは、『DOG』によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。獣から逃げるため、逃走を開始する人間たち。「ヒト」と「ケモノ」を隔てるのは何か。

    内容(「BOOK」データベースより)

    殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!

    著者について

    葉真中 顕
    1976年東京都生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。2011年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。2012年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー。『絶叫』が第36回、『コクーン』が第38回吉川英治文学新人賞候補となる。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    葉真中/顕
    1976年東京都生まれ。2009年『ライバル』で第1回角川学芸児童文学賞優秀賞を受賞。’12年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    • かなさん
      ヒボさん、おはようございます(^^)
      読みましたよぉ…怖かったぁ…
      読んでいる間中怖かったです!

      でも読みおえてレビューを考えてる...
      ヒボさん、おはようございます(^^)
      読みましたよぉ…怖かったぁ…
      読んでいる間中怖かったです!

      でも読みおえてレビューを考えてると
      いろんなことを考えさせられましたね…
      「種差別の克服」ですけど、
      シン・カルネのやることは大量虐殺だけれど
      言っていることやその思いは間違えでないこともあるのかな…
      いろいろ、考えましたねぇ…
      2023/06/24
    • ヒボさん
      かなさん、お疲れ様でしたー♪

      数時間の狩りを600pも使って描写するとこれがなかなかリアルに...^^;

      それに、そうなんですよねー
      「...
      かなさん、お疲れ様でしたー♪

      数時間の狩りを600pも使って描写するとこれがなかなかリアルに...^^;

      それに、そうなんですよねー
      「種差別の克服」ってあながち全否定出来ない自分がσ(^^;)

      広義で捉えるのか、狭義で捉えるのか...

      バイオホラー作品なのに...なのに、読者に考えさせるテーマをぶっ込んでくる!

      やっぱり葉真中作品なんですよねー

      そう考えれば、本作も社会派枠に入れてもいいのかも^^;
      2023/06/24
    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      ですよね~
      数時間の狩りがメインに押し出されてて
      どうしても、その残虐性に注目してしまうけれど、
      ペットを飼...
      ヒボさん、こんばんは!
      ですよね~
      数時間の狩りがメインに押し出されてて
      どうしても、その残虐性に注目してしまうけれど、
      ペットを飼えないのに飼ってしまい
      捨てられてしまったり殺処分されるのって
      人間って自分勝手だなぁ…って思ったりもしますよね!
      それに人間同志にも差別もあることにも触れているし
      この作品も社会派作品で、私はいいのかなって思います。
      2023/06/25
  • ペットの販売イベントに集まった動物愛護団体によっての隆平と栞、会場で歌を歌うはずだった中学生の結愛、拓人たちは、世界的な過激動物愛護団体の<DOG>によって会場に閉じ込められ、獣に襲われる。
    次々と襲われ、食い殺される人間たち。彼らは極限の状況の中、生き残ることが出来るのか……。

    ペット産業の闇を描いたパニック小説。
    主要と思われる登場人物たちが容赦なく血みどろでガンガン死んでいくので、救いはないんですか……と絶望的な気分に浸れます。
    私なんかもともと世の中の大半の動物が苦手なのもあり、読んだ後黒い獣に襲われる夢見て魘されました。単純すぎる。

    獣に襲われるのも怖いですが、一番物語に影を落としているのはやっぱり人間の恐ろしさ・醜さです。自分が生き残るために他者を容赦なく犠牲にし、利益のために好き勝手に動物を交配し、「普通」からはみ出たものを排除する。
    何となく、七つの大罪(新しい七つの大罪や七つの社会的罪を含む)をコンプリートしたような小説だなと感じました。
    そんな中、数名の登場人物たちが見せる良心が、微かに闇を照らしている感じです。

    人と動物の関係について考えさせられましたし、読むのにとても体力のいる小説でした。

  • 葉真中顕『ブラック・ドッグ』講談社文庫。

    『ロスト・ケア』『絶叫』などの傑作とは全く違ったテイストの600ページを超えるパニック小説大作。凄いの一言に尽きる。過激な動物愛護団体DOGが仕掛けた予想外のテロ……スプラッター映画を観るかのような凄惨な描写の連続。教授の正体とは一体……

    人間のエゴにより売り買いされる動物。動物が苦手な人も居るのに辺り構わず、動物の気持ちなど永遠に解るはずかまないのにまるでモノのように連れ回す馬鹿者ども。もしも、犬と人間の立場が逆だったら……

  • イイ意味で裏切られた内容でした。
    まさかのエンディング。続編が気になり所でした。
    この作者の作品も集めて見ようかなぁ…

  • パニック・ホラーものとしては面白くて一気読み。過激思想を抱くテロリストの主張と、真っ当な方法で動物を守ろうとする栞サイドの考え方の違いを通して動物愛護について考えさせる問題提起にもなっていると感じる。ただ、要素が盛り盛りすぎて視点があっちこっちにバラけて読後の印象としてはややそれらがボヤけたように感じてしまう。
    特に最後のどんでん返しは、伏線がほぼ無かったように感じ唐突でしかなく、(あからさまな二人組はおそらくミスリードだろうとは思っていたが)この仕掛けって必要だったのかなと思ってしまった。

  • 殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体DOGによって、イベント会場に閉じ込められた人々。謎の黒い獣の襲撃から生き残るのは誰なのか?極限の獣テロを描く超パニック小説。
    久しぶりに壮大でエグすぎる物語に遭遇した。ペット産業の知られざる真実もさることながら、人間の凶暴性と心の弱さの二面性も見方によっては恐怖である。誰が生き延びるのかという『バトル・ロワイヤル』的な面白さもあり、普通であれば、絶対好きになれないペット販売会社社長の安東を応援してしまう自分の怖さも感じた。

  • 人間と動物の権利を平等にする。
    凶暴化された犬を使ったテロが発生する。
    みんな死んでいく。
    もうホラー

  • 「狩ることを肯定しつつ、狩られることは否定するのは、ずいぶんとアンフェアだ。」
    種差別。血のにおいがしてきそうな連続殺戮場面。
    生まれて、売られて、殺される。これが霊長目真猿亜目ヒト上科ヒト科ならどうなんだろう。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    殺人も辞さない世界的な過激動物愛護団体“DOG”。ペットの販売イベントに集まった隆平や栞、結愛、拓人たちは“DOG”によって会場に閉じ込められ、謎の黒い獣に襲われる。次々に食い殺される人間たち。彼らは生き延びることができるのか―。社会派ミステリの旗手が切り拓く、パニック小説の新境地!

    狂っとる・・・ペットの無駄な繁殖や殺処分の問題にメスをいれたい作品だろうが・・・この人は主人公か?と思われる人も次々あっさりとしかも残酷に殺されちゃうし。
    ここまでせんでも・・・。
    最後ははぁ~んあんたが黒幕だったのね。で終了。

  • 遺伝子操作で作られた巨大な犬が、人間と動物の間に種の差別をするなという主張のテロ組織に封鎖されたスタジアム内で人を殺しまくる。
    主人公?とか主要メンバーが、どんどん、あっさり死んでいく、こいつは最後まで生き残るだろうっていうのがすべて裏切られるなかなかないパターン。そして最後はテロ組織のリーダーがまんまと脱出する。悪者が勝ち逃げするのがムカつくので後味悪い。犯人に正義があって逃げ延びるストーリーはいいが、この小説では主義はあっても結局テロの主犯でしかない。関係ない者を無差別に殺すのやつは最後に鉄槌をくらわなければスカッとしない。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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