告解

著者 :
  • 講談社
3.89
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本棚登録 : 999
感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065147061

作品紹介・あらすじ

心から笑える日は来るのだろうか。
罪から逃げ続けた僕に――。

江戸川乱歩賞受賞作『天使のナイフ』
吉川英治文学新人賞受賞作『Aではない君と』
凄惨な犯罪に向き合い続ける著者だから見つけた、贖罪の「先」にあるものとは――。
祈りに溢れた慟哭の傑作長編。


大学生の籬翔太は、飲酒運転中、よそ見をした隙に何かに乗り上げたような衝撃を受ける。恐怖からその場を走り去ってしまうが、翌日、一人の老女――法輪君子の命を奪ってしまったことを知る。下された懲役四年十ヵ月。刑に服し、罰を受けた後も、翔太は遺族に謝罪に行けずにいる。一方、君子の夫・二三久は、“ある思い”を胸に翔太の出所を待ち続けていた。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの薬丸岳
    薬丸作品にはこれまで色々な角度から罪とは、償うとはどういうものか問いかけられ、考えさせられてきた。
    読み終わったあとの余韻、自問自答、考えても出ない答え…
    いつも読むまえに少し躊躇してしまう。
    今自分は読む気力があるか?
    苦しくなりすぎて最後まで読めるのか?
    最近癒し系の小説を続けて読んだこともあって気合がいりました(。-_-。)

    辛い…心が痛い…でもやっぱり読んで良かった。

    たぶん読んでない作品は後一作だけ?
    あ〜やっぱ薬丸岳好きだわ♪

    内容一切触れずのレビューになりました笑

  • 私が読む薬丸岳氏作品の、アンソロジー含めて5冊目。

    まず題名の意味を知らなかったので調べてから読んだ。

    上手い作家さんの小説は、「つかみはオッケー」なんていう感じではなく、ただただ自然に、読みやすくて本当にスッと入っていけて、気付けばあっという間に初めの数ページが過ぎていて、物語に入り込んでいる。

    派手ではないのに、圧倒された。
    ただ『悪党』でも思ったが、被害者本人及び遺族の立場になったら、私はやっぱり1ミリも許せないけれども。

    (第1刷発行 3ヶ所脱字が有り)

  • 少年犯罪や罪と罰について問いかけ続ける著者が、贖罪のあり方を問う長編。
    飲酒運転で老女をひき逃げした大学生の主人公。
    轢いたのは犬か猫かと思った、信号は青だったと、真実を隠しながら裁判を受け、刑に服する。
    出所後、罪に苛まれながらも懸命に生きる主人公に、読者も感情移入してしまう。
    加害者の主人公。彼の恋人。被害者の夫、その息子。
    それぞれの視点で、物語が進むうち、不気味に迫るのが被害者の夫。認知症を発症しながらも、加害者を追う目的は何なのか。
    ミステリータッチの展開に、頁を繰る手が止まらず、一気に読み終えた。
    終幕での、加害者と被害者の夫との会話によって、題名が持つ深い意味がわかる。
    読後には、良書を読んだ満足感と、温かな余韻が残った。

  • ❇︎
    罪を犯した加害者と加害者家族、被害者遺族の
    事故発生とその後の物語。

    妻を失った被害者の夫が、加害者を探して
    死ぬまでに加害者へしなければならないと
    思っていることは何か。

    事故を起こしてしまった加害者は刑期を終えた後、
    更生して生きていけるのか。

    〜〜〜
    事故によって被害者は命を失い、
    家族は底のない悲しみに沈む。

    加害者側では、本人だけでなく家族の人生も
    変わってしまう。

    関係した人、全ての人生を狂わせる事故。


    飲酒運転で事故を起こして人を死なせてしまった
    籬翔太(マガキ ショウタ)

    妻を失った老人、法輪二三久(ノリワ フミヒサ)

    二人の家族と関係者の複雑な思いと贖罪の物語。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    飲酒運転中、何かに乗り上げた衝撃を受けるも、恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔―。失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太に下されたのは、懲役四年を超える実刑だった。一方、被害者の夫である法輪二三久は、“ある思い”を胸に翔太の出所を待ち続けていた。贖罪の在り方を問う、慟哭の傑作長編。




    自動車事故は誰にでも起こり得ることですよね。
    私は免許を取ったけど 運転をしない選択をした人間です。自分の運転技術に全く自信が持てませんでした。そんな自分が誰かの命を奪ってしまうんじゃないかと怖くなって 運転をしない選択をしました。運転出来たらもっと違った人生もあったのかなぁと思うこともありましたが めちゃくちゃ困ったことはありませんでした。

    薬丸岳さんの作品は 初めて読んだ『天使のナイフ』で全く考えもしなかった犯人だったのが衝撃的で 好きでよく読んでる作家さんです。
    一気に読んでしまったのですが 被害者の旦那さんの気持ちがイマイチ私には納得出来なかったかなぁ...戦争で人の命を奪ってしまったと感じている人には トラウマとして残ってしまっているのかなぁと想像しか出来ません。

  • 被害者、加害者、双方の家族等の思いや罪の意識などを考えさせられた。
    自分の立場をそれぞれに当てはめて考えると小説の内容のように着地するのが理想ではあるが、中々難しい部分もあると感じた。

  • 二三久さんが戦争の事を話し出した時、いやいやそれとこれとは話が違い過ぎるよ、と思ったけどその話が辛すぎて、経験してない私はなんも言えないなと思った。

    でももし、自分が飲酒運転の挙げ句ひき逃げされた遺族の立場だったら、何年経っても「もういいよ」 なんて優しい言葉はかけられないと思うし、「もうう許してあげてください」なんて言う綾香も許せない。

  • 法を犯した罪は償う事は一応可能ですが、人が下す罰は限りなくその身に降り注いできます。

    第二章に移るときの呆気なさが、まるで砂が崩れるかのように、全てが一瞬で崩れ落ちていったのがわかりました。

    自分の心の中に亡霊を持たない人は、また簡単に罪を重ねるのだとも予感しました。

  • 「告解」=罪の赦しを得るのに必要な告白。犯す罪に大小はないのだと思う。

  • 大学生の籬翔太は飲酒運転で老女を轢き逃げし死なせてしまった。加害者家族と被害者遺族の双方の感情、論理、そして贖罪の意味。気軽には扱えないけど、「読まないと…」と使命感さえ感じてしまう慟哭ミステリー。
    いやー、薬丸岳さんさすがです。
    この作品はあまり話題にはなっていないようですが、飲酒運転で殺してしまうってところが、身近で本当に起きそうと思えてしまうリアリティがありました。私の元上司も奥さんを交通事故で亡くしたんですが、その加害者も飲酒運転でした。それゆえリアリティと同時に共鳴するものがあったのだと思います。
    ただね、少年院刑務所もの好きの私としては、もう少し服役中の描写がほしかったところです。

    ↑の描写が最高なのは、マンガ「軍鶏」の一巻です。興味ある方はどうぞ笑

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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