オペラ入門 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065168745

作品紹介・あらすじ

オペラの入門書はもうたくさん世の中にありますし、かくいう私も書いたことがあります。どんな本にしようかとずいぶん迷いました。「トラヴィアータ」や「蝶々夫人」がどれほどの名作か、今更繰り返すまでもないのではないか。作品の個々の情報は、インターネットで簡単に見つかるのではないか。そんな時代に本を出す意味とは何だろう。そんなことを考え、オペラの世界の広さを示す方向性で行こうと決めました。
ですので、一応は歴史の流れに沿って章立てをしましたけれど、いわゆる名作、人気作にこだわったわけではありません。そもそも、たとえある作品がどれほど名作と言われていようと、あなたの心を動かさなければ、価値はありません。音楽史の学者にでもなるのでなければ、好きなものを好きなように愛すればよいと思います。それこそが愛好家の特権なのです。

ですので、本書を読まれた方は、ぜひ本場でオペラをご覧ください。私が言いたいことはひたすらそれに尽きます。それをしないでオペラを語っても、生身の女性を知らないで女性論を語る未経験な青年のたわごとと変わるところがありません。ただちに、が一番いいことは間違いありませんが、そうでなくても、いつか行くつもりになってください。
劇場には発見があります。また、どんなに見慣れた作品にも何か発見があります。それは本当に思いがけなく起こります。この世に存在するたくさんの閉じられたドアがひとつ解きあけ放たれたような気分。そうした経験をするために劇場に出かけることは、人生の大きな楽しみのひとつです。まして、それが外国の劇場でしたら、どれほど嬉しいことでしょう。
(「おわりに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 原理主義に過ぎる面はあるけれど、オペラに対する著者の熱い思いが溢れている。時間軸に沿って作曲家、オペラ各曲が紹介され、最後にヨーロッパの著名なオペラハウスが紹介される。
    その語りは上手く、取り上げられている曲のすべてを聴きたくなるし、紹介されているオペラハウスに行きたくなることは必定。その意味で入門書としては成功ではないか。
    まあ、原理主義がすごいので受け入れられない人はいるだろうなと思う。

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/729235

  •  小学生に説明するように噛み砕いた語り口のオペラ案内。ただし、所々で著者特有の「毒」はいつものごとく滲み出る。ワーグナーは「指環」以降の後期の大作よりも「オランダ人」や「ローエングリン」を買い、リヒャルト・シュトラウスは「ばらの騎士」までしか評価しないし、チャイコフスキーのオペラへの評価が頓珍漢で、個人的には首を傾げたくなる箇所も少なくない。現代のグラスやアダムズに紙幅を割いているのは本書ならではの特色であろう。「本場の劇場でなければオペラは理解できない」という原理主義だが、コロナ禍以降の現在では虚しい。

  • オペラの歴史と作曲家、名作たちを紹介してくれる。近代以降のあまり知らないものも含まれていて勉強になる。オペラというとまだ蝶々夫人しか観たことなくて、あとはフィガロの結婚とかフィデリオとかカルメンをCDで聴いたことあるぐらいなんだけど、寿司と一緒で本場がいいと強く本場押しなので行ってみたいなと思った。
    男の古い女性観の押し付け的な話は確かに同感で、蝶々夫人を鑑賞した時の違和感は多分ここに発している。

  • 著者の嗜好とは合わないけど、いろんな作品を教えてくれる。特に20世紀以降の作品には、興味がそそられる。入門のタイトルで現代作品まで紹介しちゃうのだから凄いよね。

  • オペラはどこでどう生まれたのか
    リュリとラモー―宮殿で栄えるオペラ
    ヘンデル―歌はロンドンで花開く
    モーツァルト―革命のオペラ
    ベートーヴェン―天才にもできないことがある
    ウェーバー―天性の劇場人
    フランスのグランド・オペラ
    ワーグナー―巨大な、あまりにも巨大な
    オペレッタ―あえて軽薄に
    ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ―イタリアの声の愉しみ
    ヴェルディ―歌劇の「王様」
    「カルメン」奇跡の作品
    「ペレアスとメリザンド」―フランスオペラの最高峰
    チャイコフスキーとムソルグスキー―北国ロシアで夢見られたオペラ
    東欧のオペラ―独特の味わい
    プッチーニ―より繊細に、よりモダンに
    リヒャルト・シュトラウス―巨大なワーグナーの後で
    ベルク―悲惨の大家
    ショスタコーヴィチ―20世紀ソ連のオペラ
    ストラヴィンスキー―アメリカで、英語で
    オペラでないから「三文オペラ」
    ミュージカルとガーシュウィン
    ブリテン―苦い味わい
    グラス―ミニマル音楽としてのオペラ
    アダムズ―核の時代にオペラは可能か

    許光俊(1965-、東京都、評論家)

  • 東2法経図・6F開架:B1/2/2547/K

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著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。慶應義塾大学教授。著書に『クラシックがしみる!』『問答無用のクラシック』『コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ』『オレのクラシック』『クラシック批評という運命』(いずれも青弓社)、『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽の現象学』(講談社)、『世界最高のピアニスト』『生きていくためのクラシック』(ともに光文社)、『痛快!クラシックの新常識』(リットーミュージック)、『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(ポプラ社)、編著に『クラシック知性主義』『絶対!クラシックのキモ』(ともに青弓社)、共編著に『クラシック・スナイパー』シリーズ、『クラシック反入門』(ともに青弓社)、共著に『クラシックCD名盤バトル』(洋泉社)など。

「2016年 『クラシックの秘宝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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