詐欺師は天使の顔をして (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065182345

作品紹介・あらすじ

『私が大好きな小説家を殺すまで』『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』の著者が問う、祈りと執着のミステリー

☆☆☆

俺の言う通りにしていればよかったのに
――なぜ消えた

☆☆☆

一世を風靡したカリスマ霊能力者・子規冴昼が失踪して三年。
ともに霊能力詐欺を働いた要に突然連絡が入る。
冴昼はなぜか超能力者しかいない街にいて、殺人の罪を着せられているというのだ。

容疑は““非能力者にしか動機がない””殺人。

「頑張って無実を証明しないと、大事な俺が死んじゃうよ」彼はそう笑った。
冴昼の麗しい笑顔に苛立ちを覚えつつ、要は調査に乗り出すが――。

感想・レビュー・書評

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  • 霊能力詐欺師,冴昼と要。異世界転移した冴昼の殺人容疑を晴らす(前編)。超能力者の世界(前編)や死者の蘇る世界(後編)で,普通の推理は通用しない。超能力者を騙す巧妙な詐欺師のテクニックに思わず感服。

  • かつて一世を風靡した霊能力者・子規冴昼が失踪してから3年。冴昼と共に霊能力詐欺を働いていた要に、冴昼から突然連絡が入った。彼はなぜか超能力者しかいない街にいて、殺人の罪を着せられているというが……。


    現実世界とは違う法則が働く異世界が舞台のミステリー小説です。超能力者しかいない街で起こった”非能力者しか引き起こさない殺人事件”など、不思議な世界での事件の話。読みようによってはちょっとブロマンスっぽくもあるかも。

    主人公たちは元の世界で霊能力者として活動していた、言ってしまえば詐欺師で、事件の解決の仕方も正統派ではなく自分たちの都合の良い結末に誘導して落とし込む手法が捻りがきいていて面白いです。決して正統派ではないけれど、こういうのも楽しい。

    また、皆が手を触れずに物を動かす超能力を使える世界なら、実際の手が届かないところに収納がある、とかホットドリンクにマドラーが付いてこないとか、世界観の細かいディティールが作りこまれているのがとても好き。

    出来ればまた別の世界での話が読んでみたいと思います。

    ***
    超常現象の存在する世界でのミステリはこんなのも。
    『やさしい魔女の救いかた』 (井上悠宇/LINE文庫)

  • 異世界での事件を追う
    2編+1
    設定はそれなりに面白く事件解決もさらりと
    やってのける二人だが、ちょっと文章が独特というか
    なんか癖があり感じがいまいちでした
    設定キャラはきらいじゃない
    シリーズ化もありかも

  • 異世界転移ミステリー。設定は面白いのだが動機が浅く感じられる。多作の作家さんのようなので他にも読んでみたい。

  • この作家さんの好きな傾向が何となくわかる気がする、し、私もその傾向が好きです。面白かった。ミステリとしてツッコミどころはあるけど、何より面白く楽しく読めたし、続きも欲しくなる。ぜひ、続編を!!

    もっと長くなって良いから、濃厚にあれこれ書き込んでくれーとも思います。あっという間に終わってしまった印象でした。「楽園とは〜」でも思ったのですが、何かを失った(もしくは失いつつある)人を描くのがすごく巧みだなあと思う。この方の話をもっと読みたい。

  • 【収録作品】第一話 超能力者の街/第二話 死者の蘇る街/第三話 エピローグ ●●の街
     人間関係の手ざわり、というか雰囲気が「つれづれ、北野坂探偵舎」(河野裕著)シリーズに似ている気がした。解決しないので、続きそうな感じ。

  • 失踪した霊能詐欺師・子規冴昼を追ってたどり着いた先は、本物の霊能力者たちが暮らす街だった。

    異世界で繰り広げられる特殊設定ミステリ。
    系統的には異世界転生の流行の一端になるのかもしれない(転生はしないけれども)。
    登場人物の多いミステリが苦手なので、大掛かりすぎず且つパンチの効いた設定は読んでて楽しかった。

    要は何故あんなにも冴昼に執着するのか。勿論冴昼の持ち前のカリスマ性だとかは一因だけれど、全てを理屈で説明しろというと難しい。なにしろ要があのスペードの17に感じたのは「天命」とかいうもので、明確な根拠なんて必要ないのだろう。理詰めのトリックと話術を駆使するメンタリストが「天命」だなんて、案外ロマンチストだ。

    一方で、そういうものを簡単に信じたりしないのは、むしろ冴昼の方だ。彼はあの日引いたスペードの17を「偶然」としか思っていなかったし、だからこそ要の執着を信じ切れずにいた。1話で「頑張って無実を証明しないと、大事な俺が死んじゃうよ」なんて笑ってみせておいて、要にとっての自分が「大事な存在」でなくなることを恐れていたのだから、ほんとに魔性だ。ずるい。
    それがエピローグで語られるのもずるい。

    基本的に要視点なので、1話と2話は要から冴昼に対する執着の方が大きいとばかり思っていたのに、全くそんなことはなかった。冴昼も要のことを、少なくとも殺そうとするくらいには大好きじゃないか。それを知っていて冴昼にバイクの運転を任せた要に更にクラクラした。

    序盤の電話の謎も残されていることだし、恐らく続きが想定されているのだと思う。栄光と空白と異世界への転移を経て、「特別」を確信した2人のその後を楽しみにしたい。

  • どう読んでも最初の電話は非通知なのに
    なぜかけられるんだ。
    しかもその番号は警察なのではないのか。
    他にも明らかに会話文がおかしいとこもあり、
    校正とか校閲とかしてるのかな?

  • 異世界の設定が興味深かった。その世界では普通のこととしての常識や生活様式を考えるのは面白そう。

  • 当たり前のように超能力者がいる街や当たり前のように死者が蘇る街で起きた殺人事件を、きちんと解き明かした上で主人公たちに都合の良いように真相を捻じ曲げる、という捻りの効き過ぎたミステリー。正統派好みは渋い顔をしそうだけれど、逆に風変りな話をキャラを探している人ならば、作者と主人公の見事な手腕を楽しめるはず。惜しむらくは、短編2.5本の一冊といった分量で、ちょっと物足りないところ。シリーズものとしてもっと続いて欲しい。

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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