直観を磨く 深く考える七つの技法 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065187951

作品紹介・あらすじ

心の奥の「もう一人の自分」と対話する時、
直観と論理が融合した“最高の思考力”が生まれる。

あなたは自分の中に
「天才」がいることに気がついているか?

・・・

物事を論理的に考え、考え、考え抜いていくとき、
突如、直観が閃くということがしばしば起こる。

逆に、直観的に閃いたことであっても、その現実性を論理的に
検証していくということは不可欠であり、また、組織内で合意を得るためにも、
その直観を論理に落として説明できることも極めて重要な能力である。

筆者は、永年、様々な「思考のプロフェッショナル」を
見てきたが、実は、彼等は、「論理思考」にも「直観思考」にも強く、
その中間にある様々な思考法にも熟達し、
それらを混然一体として縦横に駆使しながら、思考を深めていた。

はたして、どうすれば「深く考える」ことができるのか。
いかにして直観力を身につければいいのか。
「考えが浅い」「勘が悪い」とは、いったいどういうことなのか。

すべてのビジネスパーソンに捧ぐ、思索の極意。

・・・・・

【本書の主な内容】

■第1部 深く考えるための「七つの思考法」
 ・問題の「循環構造」を俯瞰しながら考える
 ・問題の「矛盾」を解決しようとしないで考える
 ・橋のデザインを考えるのではなく、橋の渡り方を考える
 ・専門知識で考えるのではなく、専門知識を横断して考える
 ・本で読んだ知識ではなく、体験から掴んだ智恵で考える
 ・自分の中に複数の人格を育て、人格を切り替えながら考える
 ・心の奥の「賢明なもう一人の自分」と対話しながら考える

■第2部「賢明なもう一人の自分」と対話する「七つの技法」
 ・まず、一度、自分の考えを「文章」に書き出してみる
 ・心の奥の「賢明なもう一人の自分」に「問い」を投げかける
 ・徹底的に考え抜いた後、一度、その「問い」を忘れる
 ・意図的に「賢明なもう一人の自分」を追い詰める
 ・ときに「賢明なもう一人の自分」と禅問答をする
 ・一つの「格言」を、一冊の「本」のように読む
 ・思索的なエッセイを「視点の転換」に注目して読む

■第3部「賢明なもう一人の自分」が現れる「七つの身体的技法」
 ・呼吸と整え、深い呼吸を行う
 ・音楽の不思議な力を活用する
 ・群衆の中の孤独に身を置く
 ・自然の浄化力の中に身を浸す
 ・思索のためだけに散策をする
 ・瞑想が自然に起こるのを待つ
 ・全てを託するという心境で祈る

感想・レビュー・書評

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  • 考えるときに、別の人になったり、上から眺めたりする、メタ思考を発展させたもの。

    ①自分の中にもう一人の賢明な自分がいて、その自分を呼び起こすことで思考の飛躍を図る
    ②通常の直線的な論理と、論理を超えた直感の間には、さらに5つの思考法があって、深く考えるためにそれら7つの思考法を活用していく
    が本書のメッセージとうけとりました。

    気になったのは、以下です。

    ・思考法には7つあって
     ①直線論理だけで考えない 「循環論理」
     ②二項対立構造だけで考えない 「対立止揚」
     ③個別問題だけを考えない 「課題回帰」
     ④狭い視野の中だけで考えない 「水平知性」
     ⑤文献知識だけで考えない 「体験知性」
     ⑥自己視点だけで考えない 「多重人格」
     ⑦直感の力を用いて考える 「自己対話」

    ・論理思考を超えた思考法、知識を超えた智恵を身に着けないと、AI時代に淘汰されてしまう

    ・自分には様々な人格がひそんでいる、特にそのなかには、「賢明なもう一人の自分」がひそんでいる

    ・複雑な問題群に対応するためには、問題群の全体構造を把握することが必要、大局観、洞察力という
    ・問題群の一部分が病むことはなく、全体が病む。複雑系としてシステム全体を改善するために何をすべきかという考えが必要である

    ・二項対立のメタ思考として、対立している対象を包含する思考:止揚:アウフヘーベンをとして高次元で問題として捉える

    ・創造的な人間は「馬鹿げた発想」ができる

    ・様々な専門分野を横断的に思考するスーパージェネラリストを求める

    ・わかりやすい言葉に直す:それは、本質を理解しているからこそできる

    ・良い指針となるのは、概論、序説、といった言葉を含める書籍である

    ・文献知:言葉で表せることができる知識:形式知
    体験知:言葉で表せられない知識:暗黙知
    ・体験知を得るためには、「反省の技法」を用いる。①経験の追体験、②体験知の振返り、③体験知の言語化

    ・相手になって考えるとは
     ①相手の視線に立って考える
     ②相手の立場に立って考える
     ③相手の気持ちになって考える
     できないのは、経験が不足しているから

    ・複数の人格になって考えるのは、小説を書くときに登場人物になって考えるようなこと

    ・経営者、リーダには7つの知性、7つの人格が求められる

     ①思想、②ビジョン、③志、④戦略、⑤戦術、⑥技術、⑦人間力

    ・人間の心には、「賢明なもう一人の自分」がひそんでいる

    ・無用の用、弱く、小さく、遅く、非効率なもののなかにも、意味があり、価値がある
     最澄 「隅を照らす、これ即ち、国の宝なり」

    ・「賢明なもう一人の自分」とは、謙虚な心の姿勢を持つ
    ・「賢明なもう一人の自分」とは、自己限定の意識をもたない

    ・自己限定を払拭する方法
     ①人間の可能性を信じる
     ②天才の秘密を信じる(自分の中に天才がいることを信じる)
     ③自己対話の議場を実践する

    結論:自分の中には、想像を超えた素晴らしい何かが眠っている。


    目次は、以下の通りです。

    序話 直感と論理が融合したとき、最高の思考力が生まれる

    第1部 深く考えるための「7つの思考法」
     第1話 問題の「循環構造」を俯瞰しながら考える
     第2話 問題の「矛盾」を解決しようとしないで考える
     第3話 橋のデザインを考えるのではなく、河の渡り方を考える
     第4話 専門知識で考えるのではなく、専門知識を横断して考える
     第5話 本で読んだ知識ではなく、体験から掴んだ智恵で考える
     第6話 自分の中に複数の人格を育て、人格を切り替えながら考える
     第7話 心の奥の「賢明なもう一人の自分」と対話しながら考える
     第8話 必要な叡智は自然に降りてくると信じて考える

    第2部 「賢明なもう一人の自分」と対話する「7つの技法」
     第1話 まず、一度、自分の考えを「文章」に書き出してみる
     第2話 心の奥の「賢明なもう一人の自分」に「問い」を投げかける
     第3話 徹底的に考え抜いた後、一度、その「問い」を忘れる
     第4話 意図的に、「賢明なもう一人の自分」を追い詰める
     第5話 ときに「賢明なもう一人の自分」と禅問答をする
     第6話 1つの「格言」を1冊の「本」のように読む
     第7話 思索的なエッセイを「視点の転換」に注目して読む

    第3部 「賢明なもう一人の自分」が現れる「7つの身体的技法」
     第1話 呼吸を整え、深い呼吸を行う
     第2話 音楽の不思議な力を活用する
     第3話 群衆の中の孤独に身を置く
     第4話 自然の浄化力の中に身を浸す
     第5話 思索のためにだけ散策をする
     第6話 瞑想が自然に起こるのを待つ
     第7話 全てを託するという心境で祈る

    終話 あなたは、自分の中に「天才」がいることに気が付いているか

  • ビジネススキル+スピリチュアル+サイエンス。
    学べることの多い名著だと思います。私も自分の中の天才を探してみます。

  • 兎に角、分かりやすくて面白くて感動しました。

    数年前、子供たちが社会人となった記念に、ビジネスの勉強をしよう!とビジネス書なる物を読んでみました。専業主婦の私、ビジネス用語なるものは難解で検索しながらの読書、確かにお勉強にはなりましたが・・・。

    しかし、田坂氏の文章は、どんな人にも分かりやすい言葉や例え話で溢れてています。

    「ゼロ・ポイントフィールド仮説」
    「瞑想をしようとするとではなく、自然に起こるのを待つ」

    等々、心に響くものが沢山ありました。



  • ●「論理的に考える」ことは、考える上での基本であり、「深く考える」ということは、それを超えた思考法を用いて考えることである。ではそれは何か?究極は「直観を用いた思考法」である。
    ●「論理思考」と「知識活用」はAIに置き換わる。
    ●ゼロポイント・フィールド仮説 
    ●世の中の解決困難な問題の多くは「循環構造」をしておりいわゆる悪循環に陥っている。これを直線論理で考えると、どこかをぶった切って恣意的な因果関係をつくってしまう。
    ●論理思考の欠点は、物事を対立する二つの要素に分割して考えること。世の中そんなに単純ではないのに。
    ●解決法を考えるのではなく、解決すべき課題を考える。例えば橋のデザインばかり考えるのではなく、川の渡り方を考える。エレベーターの数が少ないビルの待ち時間を減らすための方法として、エレベーターを増設する方向ではなく、エレベーターのドアの横に鏡を置くと言う解決策。それなら待っている時間を身だしなみを整える時間に使えるため、待ち時間を気にする事はなくなり、不満を解決することができる。など。
    ●「深く大きな問い」は、一つの専門分野では決して答えることができない。
    ●「わかりやすい言葉」に置き換える作業。その用語が意味するところの本質が理解できていないと出来ない。
    ●ある学問を学ぶ上で、良い指針となるのは、○○学概論や○○学序説。優れた学者や識者の筆による概論や序説は、その学問分野の「本質的な問題」を見事に書き出したものが多い。

  • 内なる自分と対話するための本。鍛錬が必要。

  • 「思考のプロフェッショナル」になりたく、この本を手に取った。結論、自分が実践していることに筆者の思考法と共通するものもあり、改めて自分の思考法を見直すことができてよかった。時間を置いて再度読みたい。

    ------------
    下記、2, 3, 5は自分も実践しており、中でも音楽を聴きながら散歩をするという動作は日々のルーティンでもある。

    【「賢明なもう1人の自分」を呼び出す7つの方法】
    - 1. 呼吸を整え、深い呼吸を行う
    - 2. 音楽の不思議な力を活用する
    - 3. 群衆の中の孤独に身を置く
    - 4. 自然の浄化力の中に身を浸す
    - 5. 思索のためだけに散策をする
    - 6. 瞑想が自然に起こるのを待つ
    - 7. 全てを託するという心境で祈る

  • 直観を磨くというタイトルとサブタイトルの深く考える技法とが相反するようだが、深く考えた先に直観力があるという。

    本で訴えたいメインテーマを細分化し、順序立てて説明するプレゼンスタイルで、深く考える方法を紹介している。
    実践するための方法をいくつか列挙しているのだが、プレゼンにありがちな傾向で、一つ一つは少々、大袈裟だと感じる部分もあった。

    本の内容はスピ系と変わらないと感じるが説明を読むと、なるほどと思えてくる。大いなる何かに導かれて筆者が、この本を書き、それを読んでいる自分も大いなる何かに導かれて、読むことになったのだろう・・と。

    要は、ヨガやマインドフルネスで無理に瞑想状態に入ろうとしなくても、自然に身を置いたり、ふとした無心状態になれば、瞑想に入り、いわゆる”降りてくる”のだろう。

    自己との対話。それをするために自分を知る。
    自分だけの枠にとらわれず様々な視野で考え、心を整えることが大事なのだと理解した。


    印象に残ったのは以下の部分。

    読書について、
    この本は自分の深く大きな問いに答えを教えてくれるかという視点で読む。

    執筆する場合は、わかりやすい言葉にする。(本質を理解する)

    本で読んだ知識ではなく、体験から得た知恵で考える
    体験を反省(現在)、振り返り(過去)、目的意識(未来の経験時)することで体験知が豊かになる。

    経験が浅い場合、本などで登場人物はどのような思い、考え、行動をとっているのか自分ならどう考えるかを考えてみる。
    他者の視点を持つ。

    心に響く名言、格言を自分の経験に照らして読む。
    なぜ響くのか?を考える。
    その名言、格言を自分ならどう書き直すか、付け加えるかを考える。

    心の奥の賢明な自分と自己対話をする。
    それには日記を書く。
    もう一人の自分に問いを投げかける。
    考え抜いた後、問いを忘れる。
    読書とは著者との対話以上に自己との対話である。

    要求の祈りではなく、全てを委ね祈る。

    自己限定せず可能性を信じる。

  • ①直線論理だけで考えない
    ・直線論理の思考には、しばしば、立場による主観的な利害判断が混入し、恣意的に因果関係が主張される
    ②二項対立構造で考えない
    ③個別問題だけを考えない
    ④狭い視野の中で考えない
    ⑤文献知識だけで考えない
    ⑥自己視点だけで考えない
    ⑦直観の力を用いて考える

    ・論理的思考はAIに置き換わる
    ・筆者は何を伝えたいか?→この専門知識は私の深く大きな問いにどのように貢献するか?
    ・多重人格を育てる
    ・①思想②ビジョン③志④戦略⑤戦術⑥技術⑦人間力
    ・自己限定の意識を持たない
    「自分の可能性を信じる」のように、自分と他人を分けている限りでは比較優劣の意識が生まれ、自己限定の意識からは逃れられない
    誰にでも同じように才能があると知ること
    ・自然によって、心が癒される=エゴが鎮まり賢明な自分が現れやすい状態

  • 論理だけでは到達できない場所に到達する方法が書かれていた。
    スピリチュアルでいうところのアカシックレコードである「ゼロ・ポイント・フィールド」を導入し、そこにアクセスするためにただひたすら自分を眺めることが大切であることがわかった。

  • 言いたいことはわかる。ともかく内省を大事にし、知らず知らずつくっている見えない敷居をぶち壊せということ。

    途中からはややスピリチュアル系もまじっています。言っていることはそれほど変ではないと思うが。

    これを自分がやることは問題ない。ほかの人にこのレベル(内省を深めてもらうこと)を要求するのが難しい。

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著者プロフィール

シンクタンク・ソフィアバンク代表

「2023年 『能力を磨く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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