保健室経由、かねやま本館。

著者 :
  • 講談社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065196939

作品紹介・あらすじ

〇あらすじ
ずっとクラスの人気者として生きてきた中学生の佐藤まえみ(通称:サーマ)。父親の異動に伴い、夢の東京生活がはじまった。東京生活になじめなかったのか兄の慈恵(じけい)は突然不登校に。サーマは東京でもうまくやっていけるって信じてたけど、「サーマって、なんていうか……ちょっとしんどい」と、仲良しグループにはじかれて……。

学校に行きたくないけど、両親に心配されるから休みたくもない。
葛藤しながら保健室に向かい、扉に手をかけようとした瞬間。
「ちょっとちょっと、あんたはこっち!」
手招きしてきた不気味な白衣のオバさん・銀山先生に導かれ、いぶかしみながらも保健室の隣の【第二保健室】で休むことに。その地下にあったのは、中学生専門の湯治場「かねやま本館」だったーー。

銀山先生って何者? かねやま本館って何? 温泉には効能が? 
「疲れたら、休んでもいいんだ」
かねやま本館で出会う子どもたちとの交流や、温泉での休憩を通し、自分自身の悩みに向き合っていく、心温まる物語。

〇著者紹介
松素めぐり
1985年生まれ。東京都出身(東京都在住)。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。
『保健室経由、かねやま本館。』で第60回講談社児童文学新人賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 児童書でも大人でも刺さりますね。
    学生時代を思い出す…。私もこの時代あったなー。湯治場行きたかったー。
    行かないでも素晴らしい友人の良いところを模範として生き直したから良かったけど

  • 表紙の絵につられて、読んでみた本です。

    “子ども(ここでは、中学生)には、「休息」が必要”がテーマのお話でした。地方から都会に来た時って本当にこうなんじゃないかと思うほど、気持ちが惹き付けられました。かねやま本館は、本当に不思議な所。内容も中学生を通った誰もが知っていそうな感じで、自分にもそう思ったことがあるなとか振り返る事も出来ました。
    出会いがあって、別れがある。約束を守っていれば、また訪れることが出来る。その信じる心が、好きだなと感じます。アリとサーマの関係も好きだし、兄妹の変化の仕方も良かったです。ファンタジーだけど、ちゃんと現代にも通じるメッセージだから…泣きそうになりました。
    現代の子達は、周りが早く過ぎていく感覚が強いから…疲れた時にたっぷり休息を取るというのを忘れちゃうのかもしれません。それは、同じ時間を生きている大人も一緒。疲れたら、休む!美味しいものを食べる!それで元気が出たら、頑張る。その繰り返しが人生になっていくんだと思います。最後のシーンが、私は次の物語がどう紡がれるのか…気になります!

    中学生が主人公の本でしたが、小学校高学年でも読めそうな感じです。似たような状況で苦しんでいる子がもし居たら、この本をすすめてみたいかなと思います。

  • サーマとアリが銀山分館で再会したことが嬉しかったです。銀山本館が本当にあったらいいのになと思っています!後、GKがサーマを笑うなー!笑うなー!と追いかけていたことが最高におもしろかったです!

  • 書架に並んでいるのを見ていて気になっていた。
    やっと読んでみた。
    悩みを抱える中学生の癒し処、『かねやま本館』、温泉に入って、癒やされたり、自分の心の中を見つめ直したりして元の世界に戻っていく。
    面白い発想の、今風のファンタジーというところかな。
    ただただ疲れた心を癒してくれるだけでなく、自分の内側もしっかり見つめ直すように持っていくところも面白い。
    ここに来る子は中学生だけど、小学校高学年でも十分読めそうだ。

    最後に『かねやま分館』が出てきた。
    今後の展開が楽しみ。

  • 再読。こども(中学生)には休息が必要。それだ、と思わされるテーマでした。なかなか言ってはもらえないその一言が救いになるだろうなと、今の中学生を見ていても、自身の中学時代を振り返っても当てはまるなと思います。

  • 先が気になり、たぶん本があまり読めない人でも読めてしまう。

  • 自分の心に効く温泉と美味しいものが出てくるかねやま本館。行けるのは、休憩が必要で、銀山先生やかねやま本館の温泉に呼ばれた中学生だけ。温泉につかりながら、傷ついたり自分のモヤモヤドロドロ醜い部分を見たり嫉妬したりの心と向き合っていく。
    良かったのは、出てくる中学生が等身大で、お話しや心情にスッと入っていけること。出てくる人間関係のぎくしゃくや、相手のことを許せない、でももうこんな気持ち手放したい!とせめぎ合う気持ちは、きっと誰もが経験あるのでは。
    癒されて元気の出る本でした。

  • 面白かった〜!読みはじめは平坦な感じがするので読みきる気力が要りますが、中盤から五感と心に訴える描写が身に染みてとても良いです。物を隠されるとかケガをする、させてしまうとか、目に見えやすいトラブルばっかりじゃなくなった今の学校の空気をよく描いておられると思います。
    文体は読みやすさを重視しておられ、長い文章はありません。展開も文学少年少女にはライトすぎるかもしれませんが、メッセージ性が強いので読んで面白くないことはないんじゃないかな〜。

  • さわやかだった。でもこんなに短期間で元気になれるのは、おうちがちゃんとお話できる場所だからだと思った。保健室のよさや現実がよく捉えられていると思う。

  • 心まであたたかくなったᐠ( ᐢ ᵕ ᐢ )ᐟ
    病院帰りに、温泉行ってみようかなぁ。
    病院帰りだと、心と身体ともにリセットした感じがして好き。すぐには帰りたくないし、診察で話したことをゆっくり反芻して、自分の中にとりこむ時間がほしいから。

    【効能 】
    からし色の湯....傷心
    若竹色の湯....受容
    霞色の湯....孤独
    鳥の子色の湯....嫉妬
    鮭色の湯....弱気

    今度から、温泉にはいる時はこの色を意識して入ってみたら楽しそう〜
    こんなふうに、忘れがちな豊かな心をたまに思い出していたい。

    『 いましたよ、私たちは最初からずっと。でもね、見えないんです。霞色のお湯に呼ばれているときは。それまでは、お互いの姿を見ることはけっしてできません。それほど強いものなんです。孤独感というものは。』

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著者プロフィール

1985年生まれ。東京都出身。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。『保健室経由、かねやま本館。』で第60回講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。同シリーズ1~3巻で第50回児童文芸新人賞を受賞。アンソロジー短編集『1話10分 謎解きホームルーム』(新星出版社)4、5巻にも作品が収録されている。そのほかの作品に、『おはなしサイエンス 宇宙の未来 パパが宇宙へ行くなんて!』(講談社)がある。

「2023年 『保健室経由、かねやま本館。6』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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