ゼロからできるMCMC マルコフ連鎖モンテカルロ法の実践的入門 (KS理工学専門書)
- 講談社 (2020年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065201749
作品紹介・あらすじ
MCMCの基礎から実践までをていねいに解説。ベイズ統計や物理学を例にコードを書いてすぐに自分でできるようになる!
(まえがき抜粋)
マルコフ連鎖モンテカルロ法は
複雑な積分をしたい
複雑な確率の計算をしたい
という時に力を発揮する手法です.歴史的には物理学の分野で広く用いられてきましたが,最近では統計学の重要な道具として定着し,統計学的手法が重要な機械学習,金融などの分野でも用いられるようになっています.
マルコフ連鎖モンテカルロ法はそれほど難しいものではありません.むしろ,極めて素直な発想に基づいたシンプルな手法です.もちろん,「シンプル=簡単なことしかできない」と考えるのは大間違いです.どんなことにも言えますが,シンプルで本質を捉えたものほど幅の広い応用が可能になります.事実,量子物理学,ベイズ統計,組合せ最適化問題など,分野の違いはあったとしても,多くの問題が最終的に確率と期待値の問題に帰着され,マルコフ連鎖モンテカルロ法がその威力を発揮します.
そんなわけで,マルコフ連鎖モンテカルロ法の基礎をある程度理解しておけば,分野に関係なく,自分で調べたいことができた時に,目的に合わせたコードがあっという間に書けてしまいますし,他の人が作った複雑なアルゴリズムの内容を理解できるようにもなります.良いことずくめです.
ところが,非常に残念なことに,マルコフ連鎖モンテカルロ法を基本から実用レベルまで順を追ってわかりやすく書いてあるような入門的な教科書が存在しません.となると,マルコフ連鎖モンテカルロ法を勉強しようと思ったら,あちこちから情報を集め,知識のある人にアドバイスをもらい,トライ・アンド・エラーを繰り返しながら習得しなければなりません.初心者が自習で実用レベルに到達するのが難しいというのが実情なのです.
そこで本書では,大学一年生程度の知識だけを仮定して,マルコフ連鎖モンテカルロ法の基礎的なアイデアを実例に基づいて解説し,この本一冊を読むだけで正しい考え方に基づいて自分でプログラムを書けるようになることを目標とします.実際に手を動かして理解できるように,本文中で扱う例の多くについて実際のプログラムを提供します.既存のソフトウェアパッケージを使えれば良いという人もいると思いますが,そのような人にとっても,ブラックボックスの中身がどうなっているかを理解するためのヒントになるはずですし,ソフトウェアパッケージが使えない問題に行き当たった時にどうしたら良いかもわかるようになります.実際に勉強してみるとわかると思いますが,マルコフ連鎖モンテカルロ法はとても簡単なので,短いコードを書くだけですぐに計算ができてしまいます.
感想・レビュー・書評
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難易度は鎌谷『モンテカルロ統計計算』とほぼ同程度で,こちらの方がメトロポリス法に至るまでが早い。後半の応用例には高度な物理学も含ま興味深い。
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とてもわかりやすかった。
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請求記号 417.1/H 27
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わかりやすい
Cのサンプルコードが付いているので、それを参考にPythonで書いてみた。
確率の細かい話の前にモンテカルロの説明に入る。ガウス分布を知っていればMCMCのエッセンシャルな理解はできると思う。この後「基礎からのベイズ統計学」に再挑戦。
7章の応用例は、超弦理論とホログラフィーなど高度なものも。こういう本でしか読めないから貴重な話題でもあり、もう少し地に足のついた例の方が良かったような気もするし。本の厚みを考えると配分は難しいところ。