九重家献立暦 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065212332

作品紹介・あらすじ

旧家・九重家の娘である茜の母は、自由奔放で幼いころに駆け落ちし、行方不明となっていた。
厳しい祖母(厳密には大叔母)に育てられた彼女は、古い家に嫌気がさし大学入学を機に家を捨てる。
しかし、卒業とともに実家の旧家に帰ることになった。
久しぶりの九重家で待っていたのは、怪しい同居人の男。
彼は、小学校の同級生で、しかも、母と駆け落ちした男の息子だった。
九重家に伝わる伝統的な献立を、卒論研究にするための居候だというが。
捨てられた三人の奇妙な同居生活の行方は……?

感想・レビュー・書評

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  • 2020年10月講談社タイガ刊。書き下ろし。九重家に伝わる家政暦という記録があるのが興味深いですが、お話には、あまり登場しません。旧家である九重家で暮すことになった3人のストーリーは、負な想いの哀しい家族の話が繰り返されるだけで、問題の人も登場のないまま、共感もできず、興味が持てませんでした。残るものはありますが、忘れたいと思います。ちょっと残念。

  • とても思わせ振りな台詞が多くて、回収しきれないままに終わってしまいました。でも、この三人なら幸せに暮らせそう。

  • 全体的に、息苦しい気持ちで読んだ。
    主人公の過去、それぞれ同じ出来事を体験したわけではないけれど、近い気持ちになる事は知っている。そしてそれは、私の中でうまく消化し切れていないし、多分きれいになくなることはない気持ちだから、それを見せられるのは、決して気持ちの良いことではない。
    救われるラストであれば、少しはすっきりしたかもしれないが、どちらともつかない感じで、そしてそれは、ひどく現実的で腑に落ちる。
    腑には落ちるが、読後感が良いとは言えない。心の元気がない時分なので、良い本だったと思えないのが残念だ。

    主人公は母に会いたくないと言い、仁木くん(母の駆け落ち相手の息子)は父に会って言いたいことがあるという。
    それは、どちらも正しいと思った。辛いことから逃げ続けるのも正しいし、向かい合うのも正しい。
    逃げていたら乗り越えられない、というのは多分間違いだ。逃げ続けてわかる事もあると思うし、勿論向かい合ってわかることもある。
    それぞれが、それぞれに乗り越えるところまで書かれるには、あと何冊か必要なんだろうなぁ…

  • 伝統料理がとても美味しそうでした。
    白川紺子さんの文が本当に好きです。

  • カバー買い。美しい。
    旧家の年中行事、細かくて手間がかかって、今となってはあまり意味のないこともあるけど、粛々と紡ぐことに意味があるというか。
    効率性とか「意味のあること」を重視してると、それは得るものも大きいけど、
    そればかりだと大切なことも見過ごしてしまうような。
    皆が皆、同じようにせかせか生きなくても。
    資本主義社会の無言の圧をふと感じる今日この頃…

    昔読んだ新聞記事に書かれていた、「文系」の存在意義を思い出した。
    百年も二百年も先の、未来を見据える力。

  • 家族って何だろうな。と我が身を振り返ってしまう本だった。
    思い返すと昔からの習慣やちょっとしたお作法など、自分の家では結構残っているが、確かに生活様式がかわると、維持することは難しくなって、失われていることもきっとたくさんあるんだろうな。

  • 「家族になる」というのは存外難しいのかもしれない。
    当たり前だと思っていた「普通の家族」が何と幸せなことかと。
    表はいいように装ってはいても(主人公はまだ分かりやすい方だが)大叔母も、駆け落ち相手の息子も、内心は色々なものを抱えていた。
    しかも綺麗なものではないもの。
    闇や醜さなどなど。
    それでいて、家族、親が呪いにもなる。
    怖や怖や。

    実際に何処かの旧家の習わしがモデルなのだろうかと感じるほど、かなり詳細な季節行事に季節折々の料理。
    その場面は楽しげであり、少し小言はありつつも、家族団欒な光景。
    このまま「家族」になれるのだろう。
    そう思っていたのに、平和では終わらないのがこの話。
    終盤の展開は怒涛で驚いた。
    一気に裏面が出てきた感じで。
    それでいて、万事うまくいかない辺り、現実はご都合主義とはいかないのである。

    この展開の後なので、ラストの光景もいつもの季節行事に料理のはずが、安心して読めなくなってしまった。
    わだかまりや闇は残したまま、ごっこ遊びのような家族は続いていく。
    まだまだ本物の家族には遠いかもしれないが、いつか雪解けがあればいいなと思う。

    それにしても、主人公は本当に生き辛そう……誤解の多い人生でハードモードだなと感じた。
    彼女をちゃんと理解してくれる人が傍にいてくれるといいのだが(某キャラに視線を向けつつ)

  • 表紙の絵と、裏表紙の粗筋を読んで「わたしの幸せな結婚」みたいな感じかと思ったら全然違った

    良い意味で違ったのは、ヒロインのキャラ
    家族に問題有って、トラウマは抱えてるけど、わたしの~みたいな、耐えて忍んで度合いはそんなに高くない
    (まぁ嫌とは言っても、結局は流されるがままになるが)

    ただ、色々もやっとする所ばかりで、読後感は余り良くない

    続編が有って、その辺はおいおい・・・なのかも知れないけど、出ても多分読まないかな

  • なんかいたたまれない痛々しい気持ちで読んでいたけど、ほんの少し上向きで終わったような気がして…。3人のこれからを見たかったなぁ。

  • 何かありそうな雰囲気でお話しは進んでいきます…
    ページが残り少なくなり、どこに落とし所がーー??と気をもみましたが。
    特に驚くこともなく、中途半端に終わってしまった感が残り、残念。
    ぜひ続きをお願いします…すっきりしたいーー

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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