私たちはどんな世界を生きているか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 203
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065214459

作品紹介・あらすじ

この200年、世界は近代のもたらした解放をなくし、新たな身分制社会が到来した。現代世界の現実を多角的に俯瞰する近現代史!

感想・レビュー・書評

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  • 哲学の視点を持ちながら時代の流れと世の中の仕組みを解説してくれて、面白かった!読みやすくもある。
    私は科学の進歩で、生活が豊かになると単純に信じていたけれど、同時にそれは人間であることが不可能になる(まだこの言い回しに慣れない)ことを示唆しているとは考えもつかなかった。
    信じていたものに疑問を持つ機会をくれた、良い読書体験だったと思う。

  • 現在の社会状況がどのような流れや考えで形づくられているかを西洋近代、明治以降の日本の流れから述べている。著者の他の著作も読んでみたい。
    「自由とは限界との関係だが、アメリカは他者を抹消することの「自由」の基盤としてきたので、自由の底が抜けている」
    「二十世紀は十九世紀と二十一世紀の間の例外的な世紀・資本的に」
    とのフレーズが印象に残った。

  • 非常に日本に、そして民主主義に厳しい本だった。
    からなずしも全てに賛成ではないが、概ねその通りだと言える内容。日本はこのままアメリカに隷属して進むのか?それとも自立した骨太の国になれるのか?
    これからの国のリーダーには重い命題が課される。でも日本のリーダーは、そんなことに悩まず今までどおりを貫くのだろうな……

  •  表題の通り、「私たちがどんな世界を生きているか」をフランス革命から200年、明治150年という2つの時間軸で考えていく。その際のキーワードとしては、「国、政治、経済」「民主、自由、平等」が挙げられる。
     新自由主義とは、何でも経済(市場)に委ねてしまおうという政策だったのだということが分かる。そういった中で、「政治」から「経済」へと社会のメカニズムの中心が動いて行ったのである。
     小泉政権や安倍政権の問題点、そして様々な社会問題や国際問題をその起源から理解させてくれる一冊である。
     ただ、時に著者の用いる言葉には、理解しにくいものもあり、読みにくい箇所も散見されたので、★4つとする。
     また、索引や参考文献表があれば、より良いものになっていただろう。

  • 普遍的人権があらゆる社会を通じて規範化されなければ、技術的に行動に発達し、統合され一体化した世界では最終戦争(人類が滅ぶ戦争)は不可避だというのが世界戦争の経験から生まれた共通の危惧だった。

  •  正しく、こんな世界である。という侘びしさ。

  • 304||Ni

  • 歴史に疎いながら、現代を組成する歴史的背景を知り、うなずきながら読みました。

  • 過去200年余りを概観し、現代のグローバル化とIT化が、近代に勝ち取った価値観である自由、平等、解放をいかに解体しているかを描いた本。過去を参照した上で現在を語る姿勢はとても重要な態度だろう。
    本の内容は悲観的で、安倍政権に対する批判などもふんだんに盛り込まれているが、本書のテーマである近代的価値の喪失という部分にはかなりの説得力がある。既に人は自由や平等、そしてそれを政治に求めることに惓んでいるのではないか、という語りはハッとさせられるものであった。

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著者プロフィール

西谷修(にしたにおさむ)
哲学者。1950年生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授、立教大学大学院特任教授を歴任したのち、東京外国語大学名誉教授、神戸市外国語大学客員教授。フランス文学、哲学の研究をはじめ幅広い分野での研究、思索活動で知られる。主な著書に『不死のワンダーランド』(青土社)、『戦争論』(講談社学術文庫)、『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(ちくま学芸文庫)、『世界史の臨界』(岩波書店)、『戦争とは何だろうか』(ちくまプリマー新書)、『アメリカ異形の精度空間』(講談社選書メチエ)などがある。

「2020年 『“ニューノーマルな世界”の哲学講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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