クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065219508

作品紹介・あらすじ

斎藤幸平氏、絶賛!
「株式市場をぶっ壊せ。21世紀の革命は、いま始まったばかりだ」
『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』著者による前人未踏の衝撃作!
資本主義が滅びた「もう一つの世界」では……。
*「1人1株1票」ルールができる。
ピラミッド型組織が消滅した未来、上司もリーダーも不要。すべての組織はフラット&流動的なチームに。議決権を握る大株主、幹部の利益独占、不公平な査定も消滅。
*富は言語化する。
市民は全員、1つの口座を生まれながらにもつ。全企業の売上5%を原資とした新たなベーシックインカムで、格差、所得税と消費税、老後の不安が消える。
*株式市場は廃止される。
口座を管理するのは、中央銀行のみ。銀行と資本家が仮想取引で富をふくらますペテンは成立しない。実体のない利益を生むシステムが消えたら、ゴールドマンサックスもJPモルガンも、くたばるしかない。

分岐点は2008年/ワームホール/この世界と異なる選択をした「もう一つの世界」/パラレルワールド/S F/経済学/ギリシャ哲学/オルタナティブストーリー/ファンタジー/資本主義の終焉?/新しい社会主義?/ユートピア?/サッチャリズム/スターリン/ジェフ・ベゾス/リーマンブラザーズ/貨幣/土地/議決権/強欲資本家/1人1株1票/スター社員も新入社員も基本給は均等割/パーキャブ口座/ヒエラルキーの消滅/銀行の消滅/イデオロギー/コーポ・サンディカリズム/家父長制/恋愛至上主義/フェミニズム/アクティビスト/リベラリスト/ワルキューレ/ヘパイストスの狂気

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    経済学書でありながら、SF小説。SF小説でありながら、思考実験のための哲学書。そんな不思議なテイストの本が、本書「クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界」である。

    本書のストーリーは、3人のユニークな登場人物によって進行していく。筋金入りのマルクス主義者で、傲慢な女神のように振る舞うアイリス。元リバタリアンで、リーマン・ブラザーズで働いていた2008年に、世界金融危機によって自分の世界までも崩壊してしまったイヴァ。そして、テクノロジーが世界を明るくすると信じて製品を開発していたものの、独善的な会社に裏切られた天才エンジニアのコスタ。

    コスタが「HALPEVAM」というシステムを作り上げると、ワームホールを通じて平行世界の自分と交信できるようになってしまった。その平行世界は「資本主義が倒れた世界」である。コスタは一人のコスタ(ややこしいので作中ではコスティと呼称している)と資本主義消滅後の世界の概要をやりとりし、アイリスとイヴァに報告する。2人がそれを読み、資本主義レスのシステムがいかなる過程で成立し得たのか、またそのシステムに問題点はないのかなどを議論していく。

    では実際、資本主義が無い世界はどうやって回っているのか?
    例えば「銀行」のあり方。コスティの世界では、生まれた瞬間に全市民が中央銀行の口座を開設される。これを「パーキャブ口座」というのだが、パーキャブ口座には、給与が振り込まれる「積立」、生まれた瞬間に国から振り込まれる信託預金の「相続」、毎月定額が国から振り込まれる「配当」の3種類がある。世界中の誰しもがこの「パーキャブ口座」を保有しており、一般的な商業銀行の口座は無くなってしまったらしい。
    例えばアメリカでは、FRBが全国民にパーキャプ口座を与えた。パーキャブの「配当」に振り込まれるお金は、パーキャプの別の口座に無料で振り込むか、税金の支払いにあてることができるため、みんな「配当」を使って決済を行っていった。そのうち、当局がパーキャブの「積立」に貯蓄を移し、1年間引き出されなければ、5%を税金から引くとアピールした。この簡単かつ高金利の申し出によって、商業銀行から金が流出し始めた。2020年になるころには、国が市民全員のパーキャブ口座を管理し、商業銀行のシステムを駆逐したという。
    市民の口座を一元的に管理することができるため、中央銀行はインフレ対策を比較的容易に行うことができる。平均物価が閾値を超えると、中央銀行はパーキャプの貯蓄に対する金利を引き上げ、支出の削減を促す。反対に経済活動が低迷している時には、金利を引き下げるか、パーキャプの「配当」に振り込むベーシックインカムの額を引き上げる、という仕組みだ。

    以上は銀行の例だが、他にも「会社」や「土地」といった様々な要素について、資本主義に頼らない運営方法が紹介されている。基本的には、私たちの世界よりも中央集権化(銀行、土地)と階層組織の排除(会社)が進んでいる。そして、これらの安全性を担保するものとして、テクノロジーによる情報の透明化が進んでいる、ということだ。

    ――――――――――――――――――――――――
    本書は、かなりラディカルな経済学書である。資本主義に代わる制度として様々なものが挙げられているが、結構荒唐無稽な案が述べられていて、上手く行かなそうなものも多い。当然こちらの世界の住人目線での反論も起こっており、イヴァは「資本主義者のテクノストラクチャーは、なぜみずからの優れた功績を否定するの?彼らは中国を経済大国に変えた。おおぜいのインド人科学技術者たちの明晰な頭脳をうまく活用した。アフリカ諸国の食糧不足を解消し、銀行口座を持てない人たちが、スマートフォンを使って送金や受け取りができるようにした。明らかな失敗もあったにしろ、株の取引を禁止してそれらの功績を台なしにすることは、本当に正しいことなの?」と、資本主義を完全に撤廃することへのもっともな疑問を投げかけている(そしてこの部分、作中でもうまく反論できていない気がする)。あくまで思考実験として、「もし資本主義が無くなったらこうなるかもね」というサンプルとして眺めるならば、中々面白い一冊だと思う。個々の仕組みの正誤に囚われず、Ifの経済学を味わうような読み方がオススメである。
    ――――――――――――――――――――――――

    【まとめ】
    1 もう一つの世界との交信
    舞台は2025年。コスタは「フリーダムマシン」を開発する。数百万人が同じバーチャル世界に棲息しながら、それぞれ違う体験ができるマシンだ。

    コスタは個々人の「経験の量子」である「CREST」を発見する。CRESTをフリーダムマシンの後継であるHALPEVAMに供給すれば、ユーザーリアリティの多元宇宙を作り出せる。そして、CRESTを自分の頭に接続することで、ほんの数ミリ秒のうちに人の欲望全てが味わえるような至福の体験ができる。

    コスタがHALPEVAMを起動させると、とある現象が起きた。CRESTにスクランブルをかけたエネルギーがどういうわけかワームホールを作り出し、別の世界の自分と通信することができるようになったのだ。

    その世界は、コスタが住む世界と、2008年の金融危機の頃までは全く同じだったが、その後はガラリと違う方向に枝分かれした。資本主義経済が消滅した世界である。


    2 資本主義が消滅した世界の社会のあり方
    ・階層組織が消滅した。会社はあるが、トップダウン式ではなく、やりたいプロジェクトに自らの責任で自主参入する。指示を出す上司はおらず、階層はフラット。給与はみな一律。
    ・株式市場がなくなったため、株を持てるのはその会社の成員だけ。1人1株のみ持てる。株は取引できないので、投資のためのものではなく、企業の意思決定に参加できる「参政権」のためのものに近い。
    ・生まれた瞬間に全市民が中央銀行の口座を開設される(パーキャブ口座)。口座には3種類あり、給与が振り込まれる「積立」、生まれた瞬間に国から振り込まれる信託預金の「相続」、毎月定額が国から振り込まれる「配当」がある。
    ・テクノ反逆者達が銀行、ビッグテック、各国政府に反逆し、情報の透明化と資本主義の打倒を企て、経済民主主義の確立を行った。


    3 そうは言っても、うまくいってるのか?
    ・株式取引の禁止は、社会の発展を止める行為ではないか?資本主義は確かにビッグテックに有利に働き権力の集中化を招くが、それが株の売買を禁止し、金融市場の流動性をストップさせるほどの犠牲に見合うのか?
    →未来の利益の流れを買う権利が、歯止めのきかないテクノストラクチャーを勢いづかせ、抑制なきものとする。そして資本主義が地球の資源を搾取しつづけ、地球環境に壊滅的な影響を及ぼす。

    ・1人1株で会社の意思決定権を誰にでも平等に与えるというルールは、個々人の貢献度合を無視するものではないか?企業は採用者を、必ず同等の権利を持つパートナーとして雇わなければならないのか?
    →仕事が単独基準(完全に個人によって生み出され、個人の仕事として測定されるもの。略してDC)なものについては、権利を与える必要はない。逆に、清掃員やレジ打ちであっても、職場でつくり出される最終的な成果物が、その職場の文化や、参加者全員が生み出す相乗効果を反映している場合には、同等の権利を与えなければならない。

    ・中央銀行は市民全員にパーキャプ口座――「積立」「相続」「配当」を与えたが、それはどのような経緯で生まれたのか。そして、成長を促すと同時にインフレを抑えるために、中央銀行はどうやってマネーサプライを調整してきたのか。
    →アメリカではまず、FRBが社会保障番号を持つ者にパーキャプ口座を与えた。現金としては引き出せなかったが、PINを使ってパーキャプの別の口座に無料で振り込むか、税金の支払いにあてることもできた。それゆえ、市民や企業と取引する者も、税金を支払う義務のある者も、事実上誰でも、FRBから「配当」に振り込まれる額を使った。
    次に、当局がパーキャブの「積立」に貯蓄を移し、1年間引き出されなければ、5%を税金から引くとアピールした。この簡単かつ高金利な申し出によって、商業銀行から金が流出し始めた。2020年になるころには、国が市民全員のパーキャブ口座を管理し、商業銀行のシステムを駆逐した。
    同時に、ビットコインと同じシステムをFRBの決済システムにも導入し、分散型のアーキテクチャシステムを作った。当局がこっそり貨幣を生み出すことは出来なくなった。
    数年のうちに現金と株式市場はほぼ消滅した。そして、法貨として残ったのは、中央銀行のお墨付きを得て、パーキャプ口座を流通するデジタル通貨だけになった。
    中央銀行は常に貨幣量を調整した。平均物価が閾値を超えると、中央銀行はパーキャプの貯蓄に対する金利を引き上げ、支出の削減を促した。反対に経済活動が低迷している時には、金利を引き下げるか、パーキャプの「配当」に振り込むベーシックインカムの額を引き上げた。

    ・資本主義のない中で貿易はどのように行うのか?
    →世界共通のデジタル通貨「コスモス(Ks)」を使う。IMP(IMFの後進)は貿易赤字と黒字に応じて、「貿易不均衡税」を課す。差し引いたKsは開発途上地域に直接投資される。また、貧困国への過剰投資によって現地の経済が不安定になるのを避けるため、「過大資金流入税」も課している。

    ・土地の所有権が地元当局に移転されている。土地は公営住宅と社会的企業に配される「社会ゾーン」、住宅地とビジネス用の商業スペースからなる「商業ゾーン」に分けられている。


    4 ユートピアでのトラブル
    ・資本主義は死んでも、家父長制は未だ健在
    ・2022年にとある金融業者が、パーキャブ口座の資金を引き出す権利と、中央銀行の将来の収益の一部を売買する権利を売り出し、バブルが発生。一時的に金融逼迫が起きた。

  • 世界的経済学者が考える「法人税はもっと上げていい」これだけの理由(青木 由美子) | +αオンライン | 講談社(1/5)
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88892

    クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界 | +αオンライン | 講談社
    https://gendai.ismedia.jp/list/books/plus-alpha/9784065219508

    『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』(ヤニス・バルファキス,江口 泰子)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000347999

  • 著者は、ギリシャの経済学者で債務危機の際にギリシャ財務相も務めた現役の国会議員。本書は、SFの形を採った壮大な思考実験。リーマンショックを機に分岐した「もう一つの世界」では、OC(ossify capitalism、資本主義を凍結せよ)革命が起こり、理想のポスト資本主義社会(「フラットな組織」、労働者1人1株(株取引は不能=株式市場廃止)、信用格付けの廃止・企業をランク付けする「社会力インデックス」導入、労働市場廃止、商業銀行の消滅、土地の公有化、貿易不均衡税や過大資金流入税の創設)が実現している、という架空ストーリー。

    本書に描かれているオルターナティブな社会システム、残念ながらあまりピンと来なかったな。やはり人って、できるだけ楽をしたいし他人よりいい暮らしがしたい、得をしたい、等と思う生き物なのだ(聖人君子を除けば、要望が活力の源になっている、と言い換えてもいい)。「足るを知る」という言葉が重たいのも、人間の欲望が暴走しがちだから。なので、平等性が重視され他人との間にほとんど差がつかない社会が実現したら、頑張りたくない、できるだけ怠けたい、と思う人がうんと増えちゃうんじゃないかな。

    そうすると、結局のところ、人間の欲望を(暴走させることなく)上手くコントロールして社会がいい方向に向かうためのエネルギーとする(社会課題に果敢に立ち向かわせる)ことが不可欠で、欲望を上手く掻き立てることができない社会システムは決して上手く行かない、と思うのだがどうだろう。

    行き過ぎた資本主義=貪欲な金融資本主義が最悪なのは全くその通りと思うのだが、本書が描くような、ポスト資本主義のシステムで、果たして世の中が上手く回るのだろうか?

  •  最近はポスト資本主義を提唱する本が多い。
     それぞれ理想的であり、また欠陥も抱えているが、提案と議論があることは良い環境と思う。
     読んで、どこが良いか、欠陥は何かを読者が考えることが重要ではないかと思う。

     さて、本書は2008年、リーマンショックを機に資本主義と分かれたパラレルワールドのポスト資本主義がどうなったかをSF小説仕立てで書かれている。

     作者が、特に重要視して説明したいところは図が示されている。

    ・給与体系
    ・株式市場亡き後の議決権
    ・配当、相続、積立

     その後もジェンダーやテック企業の市場支配について書かれているが、作者の主張は概ね上の3つだろう。

     さて、給与体系についてはメンバーシップ型からジョブ型、さらに先のプロジェクト型への移行は、おいおい日本でも進んでいくだろう。

     株式保有比率ではなく、一人一票の議決権というのは、プロジェクト専門の合同会社という形が広がっていけば成り立つのでは。
     スタートアップの資金調達も株式市場以外にも、クラウドファンディングという手法が取れる現在では、非上場は株式会社ではなく、合同会社でよいのではと思う。

     そして一点、どう考えても解決できそうにないのが「配当」にあると考える。
     社会資本から個人への配当は、つまりはベーシックインカムである。
     ベーシックインカムは、必要だとは思う。
     最低限の生活保証があるだけで、失敗しても最悪生きていけるというセーフティネットがないと、挑戦ができない。
     財源問題が出てくるが、ベーシックインカムは現金給付ではなく、クーポンの形になら実現できるのでは。

     しかし、俺が思うにベーシックインカムの欠陥が一点。
     ”誰がエッセンシャルワークを引き受けるのか”という疑問が解消できない。
     最低限の生活が保証されれば、誰が好き好んでキツイ仕事を引き受けるのか。
     ゴミ回収、建築物の解体、インフラ保全、その他諸々、更には国防とか。
     最低限の生活が保証されているのに、誰が率先してそんな仕事をやりたがるのか(仕事に貴賤はないと言うけれどさ)。
     ベーシックインカム論に違和感を覚えるのは、頭のいい連中が理想論で語るけど、実際に社会を支えている仕事を見ていないのではないか。
     労働者全員が頭脳労働して社会が回るってわけじゃないんだぜ。

     ベーシックインカムが可能になるのは、おそらく社会インフラが技術的に完全無人化を達成できればと思う。
     それができずにベーシックインカムの導入は、何らかの理由で無戸籍とかで社会保障から外れた人が、そういったエッセンシャルワークを引き受ける、本物の格差社会のディストピア社会が生まれると思うのは妄想すぎるだろうか。

     そんなことを読後に考えました。

  • 資本主義社会が抱える様々な問題に憤る3人の知的で個性的な主人公たちが、それらを解決したもう一つの世界とワームホールで繋がり、その世界で生きるもう一人の自分たちと交流するSF的な小説。

    と言っても小説と言うより、経済学者である著者の思考実験であり、SFの枠組みを敢えて使いたかったのはわかるのだが、それでもやはり小説の形を採らなくてはいけなかったのかな、と疑問。それほど冗長で小説としての魅力には乏しい。夢物語と言われても、資本主義を乗り越える処方箋としてそのまま提言した方がよかったのでは、という気もする。

    とは言え、著者の真摯で情熱的な思考はよく伝わり、真剣に検討すべき点がいくつもある本だと思う。

  • 仮に資本主義が転覆して、あたらしい主義が台頭したとしたら、2008年からの世界はどんな風に転がっていったか?という実験的小説。
    ただし、かなり人間の善性に寄ったものであると思う。
    この本では目の敵にしている株式市場という存在も、
    本来はもっとまともな姿であったわけで、人間の富への欲望が、その在り方を大きく変えてしまったように、
    ここで提唱されている世界の有り様も、そこに生きる人々の
    心根によって、良い方にも、あるいは悪い方にも、変わってくるのではないかな、と思う。

  • 結局、現代ビジネスの訳者の方の記事を読んであぁ…となった。多分、SFとしてはハマらなかったんだな。

  • 経済学部教授で、ギリシャの元財務大臣。 ヤニス・バルファキス 
    「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」の著者が書いた、パラレルワールドSF。
    久々に、読んでいて「判らん・・・???」小説。 
    資本主義とは等の経済学全体の知識不足で、資本主義終焉後の世界観がイメージできず。 
    こんな理想郷風味の世界が構築できるのか? いやいや人間「欲にまみれたバケモノ」ですよ(笑)
    まぁ、思考実験的な意欲作ってところでしょうか? 
    どちらにしろ、私らは、資本主義社会で生きてゆき、「スタートレック」的共産主義社会を目指すのです・・・。

  • 経済学とSF小説を組み合わせた内容。SF映画でよくあるパラレルワールドの世界の話。優秀エンジニアがパラレルワールドと繋げることに成功し、もう1つの世界の自分達とコンタクトを取れるようになる。もう1つの世界ではリーマンショックを機に資本主義が倒れ、別の世界ができていると言う内容。経済学者の観点から非常に内容に凝っており、資本主義じゃなければそのような世界があってもおかしくないと感じさせられた。

    しかし、内容が凝りすぎていて、経済用語・歴史に追いつけず、理解することが難しかった。正直読み飛ばしている部分は多い。経済学の要素が多く、小説(フィクション)の部分の内容は薄いと感じた。

    経済学に強い人は楽しめるのではないかと思う。

  • 小説としてはのめり込む事が出来なかった。面白くない

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著者プロフィール

ヤニス・バルファキス(著) 1961年ギリシャ生まれ。経済学者、政治家、現ギリシャ国会議員。英国、オーストラリア、米国などの大学で教鞭をとった後、2015年1月に成立したギリシャ急進左派連合政権(シリザ)のチプラス政権時において財務大臣を務める。その際の国際債権団(トロイカ)との債務減免交渉の過程は、邦訳『黒い匣――密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)に詳しい。財務大臣職を辞した後は、2016年から欧州草の根政治運動のDiEM25(Democracy in Europe Movement)のリーダーを務め、2018年には米国上院議員バーニー・サンダースらと共にプログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)を立ち上げた。『黒い匣』以外の邦訳書に『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』(ダイヤモンド社)『わたしたちを救う経済学――破綻したからこそ見える世界の真実』(Pヴァイン)、また、論文に「ヨーロッパを救うひとつのニューディール」(『「反緊縮!」宣言』<亜紀書房>)がある。ウェブサイト:www.yanisvaroufakis.eu/
  

「2021年 『世界牛魔人ーグローバル・ミノタウロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヤニス・バルファキスの作品

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