ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065225639

作品紹介・あらすじ

巨大化する中国。
迎え撃つ米国。

新たな冷戦の水面下で忍び寄る〈七つの戦争〉。

覇権と覇権のはざまを、
日本はこうして泳ぎ抜く!

   -----

コロナ敗戦国、日本。
感染症危機に襲われながらも無為無策で通した我が国は、防衛力、行政効率、政治指導力、ありとあらゆる実力の程度を露呈させ、危機管理能力の欠如を知らしめてしまった。

にもかかわらず日本は、ますます覇権国化する中国と、それを迎え撃つアメリカとのはざまに位置する運命から逃れることができない。

覇権と覇権のはざまで脅かされる新冷戦時代を、我々は泳ぎ抜くことができるのか。

本書は親中でも反中でもなく、
ファクトから米中〈七つの戦争〉を分析し、
日中韓台4か国を俯瞰することで日本のサバイバル戦略を提示する。

【 それでも、日本なら生き抜ける! 】



◆本書の内容◆

■第1章 米中、七つの戦争
習近平の長期政権は「台湾統一」を前提にした了解事項――。
中国政府の方針に照らしても、米中の対立は長期化・全面化せざるを得ない。
(1)貿易、(2)技術、(3)人権、(4)金融、(5)コロナ、(6)外交、そして最後に(7)軍事まで。台湾有事を視野に〈七つの戦争〉の行く末を予測する。

■第2章 「コロナ対応」の東アジア比較
コロナ対応では日本が東アジアで「一人負け」――。
OECDによる2020年までの経済回復予測では日本はG20のなかで最低とされている。新型コロナ感染症では感染者も死亡者も東アジア周辺国のなかでは飛び抜けている。日本・中国・韓国・台湾、4ヵ国のコロナ対応を比較検討し、日本が克服しなければいけない課題を明らかにする。

■第3章 韓国と台湾を見ると5年後の日本がわかる
韓国と台湾を襲う「激震」に日本もやがて直面する――。
巨大化する中国に迫られていながら日本より規模の小さい韓国と台湾では、新冷戦による「激震」が先に来る。だがその対応策も彼らが先に模索している。日本が学ぶべきこと、学べることは何か?

■第4章 日本は中国とどう付き合うか
アフター・コロナの時代だからこそ「幸福な日本」になることができる――。
日本人にとって「古くて新しい問題」である巨龍・中国との付き合い方。それが焦眉の課題となる新冷戦体制下で、譲れるもの、譲れないもの、死守しなければならないものを腑分けしながら、日本のお家芸でもあったはずの戦略的な曖昧さを〈貫徹〉する方策を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 巨大化する中国と、迎え撃つ米国。両国の激突の行く末を予測するとともに、日本が講じるべき対策を冷静に描き出す。

    1章 米中、七つの戦争
    2章 「コロナ対応」の東アジア比較
    3章 韓国と台湾を見ると5年後の日本がわかる
    4章 日本は中国とどう付き合うか

  • 2021-05-03 amazon p467-2021/9/17 読了


  • 中国.台湾情勢に精通した著者による、中国米国関係の今後を占う著作です。著者の広い人脈からの情報により、幅広い視点で解説されています。また今後日本が取るべき対応も主張され、大変意義深く感じました。大国に巻き込まれていくことは止む得ないものでありますが、その中で日本人として必要な行動をする必要性を感じました。
    日本人として一人一人が、想いを持ち行動することが大事ですね。

  • 日本はこのままでよいのか?大国に挟まれた我が国がとるべき最適解とは何か?
    目を背けずに現実を認識せよ。
    本当に「無知」という事こそ恐ろしい事はない。
    特に国のトップが勉強不足、認識不足だったとしたら、国民は当然不幸になってしまう。
    だからと言って、国民自身が勉強しなくてよい訳ではない。
    国民も正しく勉強し、正しく現状を認識し、そしてその時その時で、最適解を常に更新していく。
    戦後の日本は奇跡的に平和に過ごすことができ、更に経済発展まで出来た。
    平成の30年間は経済発展こそ厳しい状況だったが、少なくとも平和な時代は享受できた。
    さてこれからの時代、日本にとっては非常に厳しい時代がやってくる。
    今を生きている人たちは、平和ではない状況を体験したことがないのだ。
    本当の意味の厳しい時代を何一つ知らない。
    その状況でこれからの時代、我々はどこまで対応出来て、我慢が出来るのだろうか。
    我々日本人の底力が試される時代に突入していると言えるだろう。
    中国がどういう一手を出してくるか。
    大方の予想はついているが、果たしていつ?どういう順序で?
    ここは常にシミュレーションをして、対策を練っておくしかない。
    決して無策ではいけない。
    さらにいうと、その時点の周辺国の状況がどうなるのか?
    その点についても同時に対策を考えなばならない。
    北朝鮮は?韓国は?そしてロシアは?
    台湾有事は確実に起こる。
    台湾と尖閣諸島は、中国側の理屈では一体だ。
    「台湾と尖閣が中国に獲られてもいいんじゃない?」ということを言う日本人も少なからずいる。
    きちんと認識しているのだろうか。取られた後に中国がどう出てくるかまで分かっていて答えているだろうか。
    アメリカ軍が日本の防衛のために命を投げ出すと思っているのだろうか?
    自分の国は自分で守らないと、誰も守ってはくれないとなぜ気付かないのか。
    今すぐにでも日本の防衛力を高めていかないと、本当に国家消滅の可能性だってあり得ない話ではなくなるのだ。
    勉強不足、認識不足は本当に恐ろしい。
    隣国が恐ろしいのではなく、本当に恐ろしいのは平和に慣れすぎた無知な日本国民なのかもしれない。
    やはりまずは正しく現実を見るべきだ。
    (2022/5/11)

  • 米中新冷戦の勃発、そしてコロナ禍からアフター・コロナの時代へ。周囲の環境が激変する中、日本はどう生き抜くのか?わが国が抱える課題を指摘し、なすべきことを説く書籍。

    2021年1月、米国でバイデン新政権が誕生した。一方、中国は、米大統領選直前の2020 年10月に「5中全会」という中国共産党の重要会議を開催。習政権の長期政権化や軍事強化などの目標を記した「第14次5カ年計画および2035年長期目標」を決議し、習近平の「超一強体制」を確立した。

    2018年以降、米中は「新冷戦」といわれる対立の時代を迎えている。
    それは、①貿易、②技術、③人権、④金融、⑤疫病、⑥外交、⑦軍事、の7つの分野にわたる全面的な対立。

    台湾統一を目指す中国にとり、尖閣諸島は「台湾の一部」で奪取の対象。
    中国が尖閣に侵攻した場合、日本は米軍による防衛を期待すべきではない。無人島のために中国との核戦争のリスクを高めたくない米国は、軍の投入を躊躇するだろう。

    コロナ対応において、日本政府の危機管理能力の低さが露わになった。
    中でも、近隣諸国を仰天させたのが、経済担当の大臣がコロナ担当大臣に任命されたことだ。中国や台湾、韓国では、「感染症のプロ」が責任者となっている。

    コロナ対策では、「コロナ封じ込め」と「経済復興」の矛盾が生じる。東アジアの各国・地域は、最初はコロナ封じ込めを優先し、効果が出た段階で経済復興に舵を切り替えた。一方、日本の政策は曖昧で、右往左往していた。

    日本は戦後76年間、平和を保ってきた。それは誇るべきことだが、「平和ボケ」も進んだ。コロナ対策に見られるように、危機管理能力という観点からも、日本の将来が危ぶまれる。

  • 【琉球大学附属図書館OPACリンク】
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC04984056

  • 中国で学び働き要人とも往来がある筆者の視点から、米・中・日の関係や問題を非常に分かりやすく率直に書いた一冊。

    客観的に東アジアの国々の状況がわかります。

    日本政府に対して持っているモヤモヤとした不満をはっきり書き出しており、読んでいて情けなくなると同時にスッキリしました。

  • 著者がファクトをできるだけたくさん引用して、日本を取り巻く今の時代を分析しようと試みた書。
    著者の来歴ならではの生々しい経験に基づく記述も多く、納得感が高まる。
    総論や正論を無責任に論じるのではなく、あくまで現実に即した提言は、考え方として参考になる。
    国政、外交は個人が行えることではないのでいかんともしがたいけれど、国や世界の動く方向を見通す材料として、本書は役立ちそう。
    地政学的なアプローチやバランス感を感じた。

    特に、韓国や台湾で起きることが日本でも5年後くらいに起きる、という見立ては興味深かった。

    個別事象は別文献で追加で勉強するにしても、
    全体感をとらえるには良書と思う。
    もちろん、本書だけでなく、いくつかの見方の書をバランスよく読むことが重要と思うけど、その中の1冊としては、あまり押し出しも強くなく極論でもないので、読みやすいし、中間くらいのポジションに置いておきやすいのでは。

  • 面白かった。
    もはや日本は大国ではないので米中どちらにつくか、戦略的に曖昧にする。
    もし尖閣諸島の衝突で日中10人ずつ犠牲が出たらという話が痛烈。中国人は鼓舞し、日本は狼狽え政権が崩壊する。戦争は嫌だけど、想定と準備はしないといけないのかな。
    もっと台湾・韓国に注目しよう。台湾・韓国は政治・文化・社会などのトレンドが日本の5年先をいく。台湾のコロナ対策はかっこよすぎだった。
    日本より小規模な先進国はたくさんある。縮小すれど「幸福な日本」になれる。
    幸福な日本の定義となり方について詳しく知りたい、小規模な先進国についてもっと調べたいと思った。

  • 日本は中国とどう向き合うか、と言う古くて新しいテーマを考える必要がある。それはその通り。しかし、米中どちらに着くかわざと不明確、不鮮明にすると言う戦略はないと思う。日米軍事同盟を結んでいるので日本は米につかざるを得ない。安全保障は経済に優先する。

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著者プロフィール

1965年生まれ。埼玉県出身。東京大学卒業。国際情報学修士。講談社入社後、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長を経て、現在、『週刊現代』編集次長(特別編集委員)。Webメディア『現代ビジネス』コラムニスト。『現代ビジネス』に連載中の「北京のランダム・ウォーカー」は日本で最も読まれる中国関連ニュースとして知られる。2008年より明治大学講師(東アジア論)も兼任。2019年に『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)で岡倉天心記念賞を受賞。他に『アジア燃ゆ』(MdN新書)『パックス・チャイナ 中華帝国の野望』『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(以上、講談社現代新書)など著書多数。

「2023年 『日本人が知らない!中国・ロシアの秘めた野望』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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