爆弾

著者 :
  • 講談社
3.84
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本棚登録 : 11958
感想 : 1120
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065273470

感想・レビュー・書評

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  • 非常にトリックが緻密で、読み応えがある作品でした。いわゆる言葉遊びをトリックに入れていて、次の爆破場所のヒントを与えていく。スズキタゴサクという、いかにも、どこにもいそうな名前の男が
    翻弄していく、パニックミステリーです。
    警察たちがスズキに翻弄される取り調べ室での会話は、とても臨場感があって、次の爆破場所はどこかと、一言一言が興奮しました。刑事たちのキャラクターもとても良かったです。

  • 文量が多くて中盤少し読むのに苦労したかも。
    特に登場人物のゆかり。何か事件に絡んでいるのかと思ったけど、そうではなかったんですね。

    スズキと類家のクイズのやり取りは、先が読めない展開でドキドキしながら読みました。スズキによって自分の本性を引き出された類家がこの後どうなつていくのか。彼の変化もすごく興味があったけど、そこは描かれず少し残念。
    結局連続爆弾事件の首謀者たちはみな亡くなっていて、本当のところの動機はわからず。スズキの正体も明かされず。少しスッキリとはしない終わり方だったように思いました。

  •  犯人vs警察官の心理戦の妙、そして仕事を通した生き方・信条、人としての承認欲求や自己肯定感などについて、とても揺さぶられて、怖くも深く読み応えのある一冊でした。
     読み進めるほどに、犯人(?)の狡猾さ、大胆さ、緻密な計算高さ、挑発的、語りの饒舌さ等々に、警察官のみならす、読み手もイライラと怖さと不快感が募っていきます。それほど犯人(?)の、正体不明の嫌な奴としての人物描写が秀逸です。
     また、警察官の人物描写の描き分けもよくできていて、組織体制の在り方も考えさせられますし、被疑者との対峙に現れる人間性も個性的で人間味が溢れています。
     目的・真意が不明なままの展開、いつ何処で爆弾が…と、畳み掛けるスリルに、先が気になって仕方がありませんでした。
     間違いなく優れたミステリーに数えられる一冊だと、おすすめします。

  • 読了後は「ふう…」と息を吐きだしたくなるような疲れがありました。
    それほどに内面へ訴えかけるような作品です。
    警察とスズキタゴサク(犯人)の掛け合いが息をのむほど緊張感があり、対峙している刑事の変容は読んでいて苦しくもあり、面白くもあり、どこか安心するような感覚でした。
    登場人物全員それぞれの背景や想いが交差し、それを楽しげに弄ぶ様は異様に思えるものの、誰しもタゴサクのような「爆弾(最後の)」を心の何処かに抱えているのではないだろうか…。
    徐々に速度が増し、後半にかけて怒涛のように落ちていくジェットコースターのような作品です。

    • Manideさん
      もりひろさん

      疲れるのはいやですけど…ちょ〜面白そうですね。

      この感想を見ると、あとは、どのタイミングで読むかですね。
      週末に向けて読ん...
      もりひろさん

      疲れるのはいやですけど…ちょ〜面白そうですね。

      この感想を見ると、あとは、どのタイミングで読むかですね。
      週末に向けて読んで、仕事と合わせて自分を追い込んでいくのが良さそうですね(笑)
      私も読んでみたくなりました✨
      2022/07/15
    • もりひろさん
      Manideさん

      疲れますけどとても面白いのでお勧めです!!!笑
      読了後は是非ともManideさんの感想もお聞きしたいです✨
      コメ...
      Manideさん

      疲れますけどとても面白いのでお勧めです!!!笑
      読了後は是非ともManideさんの感想もお聞きしたいです✨
      コメントありがとうございますm(__)m
      2022/07/16
  • 作者の文体にはあまり入り込めなかったが、人間が抱える葛藤を深掘りしていて、とてもおもしろいテーマでした。ねぇ?いくら綺麗事言っても、実際に命の重さは平等ではないし、優先順位があなたの中にもあるでしょ?と自分の中のこういう人間でありたいと言う願望と、綺麗事を作者に掻き回され内省させられる。

    ラスト警察側のそれぞれの自分の心との決着のつけ方が良かった。誰もが一歩踏み違えば、この世界はクソで、なるほどな、と諦めたくもなるような世界。
    それでも「まぁいいや」が「もういいや」にならないようにくらいついていくことが、生をまっとうすることなのかなと自分の中で締めくくる。そしてこんな感想を抱く自分も安全な場所、快適な空間で、見知らぬ誰かが痛い目にあっていても自らその臭いを嗅ぎに行くことはない。それは仕方ないことなのではと自分で腑に落とし納得することで自分の中の平和を保つ。作者の訴えたいことがぐるぐるぐるぐる頭の中で回る。

  • 読書備忘録774号。
    ★★★★★。

    いやいやサイコーでした。
    死体で発見されるだけの登場人物も含めて、全員が一人の人間であることの体温がビシバシ伝わってきました。

    都内に仕掛けられた無数の爆弾。爆発時間と場所、そして起爆ロジックを握る男と、それに対峙する警視庁捜査一課特殊犯捜査係異端児の息が詰まる駆け引き。
    そして、爆弾を探す警察組織と、右往左往する都民。
    これは珠玉のノンストップクライムサスペンスです。

    警視庁野方署管内の酒店で、些細な傷害事件発生。
    ドラゴンズが巨人に大敗したことでむしゃくしゃしたと、しょっ引かれたスズキタゴサクなる中年男性は、ひとをおちょくった態度で反省する。
    そして、自分は霊感の持ち主だと突然言い出す。秋葉原で爆弾が爆発すると。さらにその後、3回に渡って爆発が起きると予言する。
    実際に秋葉原で爆発。その1時間後に東京ドームで爆発。

    爆弾テロと位置付けた警視庁は、野方署に警視庁特殊犯捜査係のエリート清宮とアシスタントの類家を野方署に派遣する。
    清宮は自らのロジックに従い、スズキから言質を取ろうと試みるが、あえなく撃沈。
    そして、代わりに対面に座ったのが類家。

    愉快犯としてわざと捕まり、爆弾テロの主犯としてスポットライトを浴びたいとしか思えないスズキと、世の中に何の期待もなく、警察官としての正義もなく、単にロジックモンスターとして駆け引きで負けることが絶対に許せない類家の攻防が始まる!

    スズキの過去と、過去に起こした野方署の汚点がつながっていく。そしてとある一家の崩壊。自分さえ良ければ他人がどうあろうが一切興味ない日本社会の弱者たち。さまざまな背景が一枚の絵となっていく。

    果たして最大の爆弾テロは何時、どこで起こるのか!
    それを防ぐことは出来るのか!

    ゾクゾクです!
    特に、スズキがSNSや主要なネットメディアで拡散した動画声明文は、ある意味すべて真実。P278~。
    そして、起動スイッチとして発信された動画第二弾。P299~。これは、ネット社会に蔓延る未必の加害者の心に突き刺さる声明。

    そして重要なポイント。
    まだまだ若い巡査の倖田沙良と、矢吹泰斗はこれにめげずに警察官を続けて欲しい!
    そして、巻頭と巻末にしっかり登場する細野ゆかりさんの良心に大いに救われました!

    この作者ちょっとチェックします。

    • ゆーき本さん
      わぁ!グダグダで拙いレビューでお恥ずかしいかぎりです笑 わたしもshintak5555さんのレビューで読みたい本が増えそうです(ˊ˘ˋ*)
      わぁ!グダグダで拙いレビューでお恥ずかしいかぎりです笑 わたしもshintak5555さんのレビューで読みたい本が増えそうです(ˊ˘ˋ*)
      2023/11/27
    • shintak5555さん
      まずはポカリスエットじゃなくて笑、テスカトリポカですね!
      救いのない物語。めっちゃ暴力です。笑笑
      まずはポカリスエットじゃなくて笑、テスカトリポカですね!
      救いのない物語。めっちゃ暴力です。笑笑
      2023/11/27
    • ゆーき本さん
      テスカトリポカ!!正解をありがとうございます!
      ✧ \(°∀°)// ✧
      明日には忘れそうです笑
      テスカトリポカ!!正解をありがとうございます!
      ✧ \(°∀°)// ✧
      明日には忘れそうです笑
      2023/11/27
  • 読み応えのある作品でした。
    登場人物達の心情を読み取るのが難しかったです。
    スズキタゴサクという人物のキャラが強烈でした。一度読みでは気づかなかったこともあると思うので、時間をおいて読み返してみたいです。

  • こわー。
    最後の1行がね。ちょっと鳥肌立ちました。 

    スズキタゴサク。名前のインパクトがまずすごいなと。名前負けしないキャラの濃さと忘れられない気持ち悪さ。
    登場人物それぞれの葛藤の中で、善とは?悪とは?色々と考えされられました。

  • つ…疲れた
    取調べ室内でのやり取りも、意味が無いように思えるスズキの話も、その話から考察を重ねる類家の思考回路も、そして警察内部の闇も
    読んでいてすんごく疲れた
    スズキという男はずっと気持ち悪い存在だったし、警察という仕事も考えさせられました

    どちらかというとイヤミスなのかな
    読み始める前に時間と体力の確保必須です
    図書館本

  • ありふれた傷害事件から取り調べを受けにやってきた男。
    太った身体にいがぐり頭。
    全く気持ちのない謝罪を繰り返しながら、のらりくらりと取り調べをかわすスズキタゴサク。

    都内で次々と起きる爆破事件とスズキタゴサクはどんな関係が??
    得体の知れない謎解きにまきこまれ、捜査網はかき乱される。

    この本の半分ほどは取調室でのやり取りで占められている。
    密室での頭脳戦に、読んでいて息苦しくなる。
    そのせいなのか、面白いのになかなかページが進まない。
    なかなかずしりとした重みのあるミステリーでした。

    もっと掘り下げられると思われる場面がたくさんあり、可能であれば全部知りたいのになぁ…という思い。
    爆破事件が後半少し雑になっちゃった残念感。
    このあたりで★ひとつマイナスでした。

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著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

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