人間じゃない 〈完全版〉 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065282779

作品紹介・あらすじ

「あの家のこの部屋は……密室、だったんです」
持ち主が悲惨な死を遂げ、今では廃屋同然の別荘〈星月荘〉。
訪れた四人の若者を襲った凄まじい殺人事件の真相は?

表題作「人間じゃない――B〇四号室の患者――」ほか、
『人形館の殺人』の後日譚「赤いマント」、
『どんどん橋、落ちた』の番外編「洗礼」など、
自作とさまざまにリンクする五編に加えて、
『7人の名探偵』の「仮題・ぬえの密室」を完全収録。

感想・レビュー・書評

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  • 綾辻ホラー初読みでした。

    ホラーの中にもミステリー要素が
    入ってて、読みやすかったです。

    久しぶりに著者の館シリーズ読もうっと。

  • ホラー短編集。

    綾辻先生、小野不由美先生、我孫子武丸先生などが出てくるエッセイ風の小説『ぬえの密室』が1番好き(ღ*ˇ ˇ*)。o♡



    【赤いマント】

    『人形館の殺人』の後日譚。
    希早子の塾の教え子のである女子高生の由紀と夜中の公園でばったり出会う。
    由紀はトイレに向かうのだが、ある怪談話を思い出し、怖がっているので付き添う事に…。

    学校の怪談で聞いたことのある『赤いちゃんちゃんこ』。
    返事をしたら血だらけになって殺されるってアレ…(´•ω•̥`)
    小学生の頃は信じてたなぁ…(^_^;)
    こちらの小説、ミステリの後日譚だけあり、ミステリ仕掛けです♡



    【崩壊の前日】

    『眼球奇譚』「バースデー・プレゼント」の姉妹編。
    幼い頃から繰り返し見る夢。
    そこでは、幼い私が繰り返し同じ動作をする。
    だんだん現実と夢の内容が入り混じり…。

    ぼんやりとした白昼夢のような描写でどんどん不気味さが増していきます。
    妄想?…だけど現実?



    【洗礼】

    昔、綾辻行人のお世話になっていた編集者から手紙とノートが届けられる。
    「懐かしいものが出てきました」
    ノートに綴られていたのは、筆者の名前が読めない「洗礼」というタイトルの小説だった。

    綾辻先生が語り手のミステリ。
    これは…まさに「洗礼」…:(´ºωº`):
    綾辻先生も書いてましたが、私もこのタイトル見た時、楳図かずお作品が頭に浮かびました笑



    【蒼白い女】

    ある夜、フロアの片隅に異様に青白い顔の女がいた。
    私は思わず息を止めた。

    掌編小説。
    綾辻行人が語り手とする「深泥丘奇譚」連作の番外編。
    思い出したら怖さがじわじわくるお話…:(´ºωº`):



    【人間じゃないーB◯四号室の患者ー】

    精神病院に入院している患者の医師として話を聞きにきた夢野。
    患者の描いた絵は不気味で、あの事件の様子を描いたものだという。
    彼が話すあの事件とはー。

    「フリークス」の患者シリーズ。
    『由伊』が登場します。
    密室で起こった悲劇のお話。
    「人間じゃない」ものとは…。
    綾辻ワールド全開でして、由伊が登場するとどうしても『再生』がちらつき…(-_-;)
    真相はやはり素晴らしく、さすがです♡
    面白かった!!



    【仮題・ぬえの密室】

    飲みの席での会話。
    我孫子武丸が以前麻耶雄嵩した話題である。
    「過去にすごい作品を読んだ。」
    その話を聞き、綾辻行人と法月倫太郎と小野不由美は元ネタを思い出そうと考えはじめる。

    この話が1番好きです(〃´-`〃)
    「京大ミステリ研」で読んだと思われる犯人当ての小説の話。
    錚々たるメンバーの関係性が伺えるファンにはたまらない作品(ღ*ˇ ˇ*)。o♡
    ラストも最高です!!



    全体的に大満足の短編集でした‎߹ㅁ‎߹)♡

    遠田しほさんの装画も美しく、しばらく飾っていました。

    綾辻作品にリンクする話が多いですが、単体で読んでも全く問題ありません。

    短編ホラーミステリ好きな方、おすすめです!!



  • 綾辻さんらしい、短編集なんだけど、なんだか物足りないのはなぜだろう。

     一番らしいのは『洗礼』と『人間じゃない』だとおもうんですが……。

     この辺りは好みの問題もありますしね。

  • 一気読み。
    ミステリーあり、ホラーありでお得感満載の短編集。
    ホラーは苦手なので基本手に取ることはないが綾辻先生と小野先生だけは別。文章からは、綺麗な映像がひろがり不思議と強さよりも郷愁や美しさを感じます。

    最後の鵺の話、すごく好きでした。京都界隈ってほんとすごい。

  • 表題作「人間じゃない—B○四号室の患者—」。「人形館の殺人」の後日譚「赤いマント」。「どんどん橋、落ちた」の番外編「洗礼」など、自作とさまざまにリンクする五編に加えて、「7人の名探偵」の「仮題・ぬえの密室」が完全収録された本作。

    フーダニットにハウダニット、そしてホラー要素に…どれも短編で読みやすいのにも関わらず、きちんと綾辻行人さんの世界観に引き込まれる作品の数々。

    綾辻行人さんの描く光景は、それがどんなに凄惨な場面であっても、なぜだか美しく感じられる。脳内でしか再生できないイメージだが、鮮やかに視界を、そして思考を塗り尽くす。

    ややホラー要素が強い作品たちが多いですが、解説まで全てが満足のいく作品たちでした。早く館シリーズの最新刊が出るのを心待ちにしています。ぜひ、みなさんも手に取ってみてくださいね。

  • ミステリーを様々な方向で楽しめる一冊でした。幻想やホラー、ミステリーの詰め合わせ。
    語り手として作者自身が登場するところもあり、なんだかエッセイを読んでいるような気分にもなります。飾らない楽しい人なんだな〜。
    最近ミステリー以外の本ばかり読んでいたので、ちょっと久しぶりに本格ミステリーに触れて、あ、そうだった、私はこういうのが好きだったんだよ、と興奮しちゃいました。

  • 忘れてる…
    あんなに綾辻さんの作品を読み漁っていたのに!
    高校生の頃だったからなぁ。
    やっぱり綾辻さんの文体が好きだなーと思いながら読み進めた。
    内容がどうこう、ではなく久し振りに読んで嬉しくなった。
    10作目の館シリーズお待ちしております。

  • 17年に発刊された単著未収録の作品集に、『仮題・ぬえの密室』を追加収録した増補・完全版。綾辻先生の様々なシリーズに繋がりつつも、単独の短編として味わい深い6作。ぼくは『洗礼』『人間じゃない』が好き。

    以下、各話の導入と感想を。

    『赤いマント』
    「あかーいマントをかぶせましょうか」
    道沢希早子のバイト先の塾に通う生徒・水島由紀が話した怪談。トイレの中に入ると、そんな声が聞こえてくるという。希早子と由紀が偶然出会ったある夜、まさにその怪談通りのことが起きて──。

    館シリーズ『人形館の殺人』の後日譚となるミステリ。ホラー寄りかと思いきや、正統派な日常ミステリに仕上がっている。不気味だと思っているものに知らずとすがって生きているという話や、恐怖でさえ楽しむ対象にしてきたという話が印象深い。架場と希早子で短編連作の構想は確かに面白そう。

    『崩壊の前日』
    四月も半ばを過ぎての大雪の日。“わたし”が生まれた22年前の四月にも同じ大雪が降ったという。わたしは大学で待つサークルの後輩・由伊のもとへと向かう。何度も見る夢を反芻しながら──。

    『眼球綺譚』所収の短編『バースデー・プレゼント』の姉妹編とのこと。ぼくは未読なので繋がりについてはわからない。幻想小説の色が濃い作品。足元から石を拾って投げる夢。その夢と同じように、コートのポケットに湧き出てくる謎の石。それを放り投げるたびに由伊が呟く言葉たちがじわじわと世界を崩壊させていくのが不気味。

    『洗礼』
    2006年の八月三日。昔馴染みのU君が玄関先に残していったのは手紙とノート。表紙には「洗礼」と書かれていた。それはK大学推理小説研究会の犯人当てのために書いた「YZの悲劇」を巡る物語で──。

    『どんどん橋、落ちた』の流れを汲んだ中編ミステリ。「YZの悲劇」はダイイングメッセージあり、読者への挑戦ありという本格派。ヒントは出されていたものの、犯人当ては見事に当たらず…。こっちが洗礼を受けたという。作中で提示されたとある事実が切ない余韻を残す。

    『蒼白い女』
    夏の熱帯夜のこと、私と編集者・秋守が入った珈琲店。そこで目に留まった異様に蒼白い顔の女は何者なのか──。「深泥丘」連作の番外編となる掌編。煙草の煙のように立ち込めては消える。だが、その臭いは消えない。という感触のホラー作品。

    『人間じゃない──B〇四号室の患者──』
    異端の研究者が住み、謎の死を遂げた星月荘。今や廃屋同然の家を訪れた若者たち4人だったが、その夜に八つもの内鍵がかけられた密室内で凄惨な事件が発生し──。

    元々は漫画のために作られたプロット。それを『フリークス』にまとめた「患者」シリーズの番外編という形で小説化した物語。いわくつきの屋敷に、密室で巻き起こる恐ろしい事件!精神病院にいる僕が描き続ける絵の意味とは?!思わず「人間じゃない」と呟いてしまいたくなる作品。

    『仮題・ぬえの密室』
    綾辻先生を含めて、実在の作家たちが登場する虚実ないまぜの実名小説。我孫子先生が飲み会の席で話に出した京大ミステリ研での“幻の犯人当て”作品。我孫子先生自身も記憶があやふやな中、当時のミステリ研にいたメンバーがその作品を突き止めようとするが──。

    豪華メンバーすぎる作家陣が綾辻家に集まって、“幻の犯人当て”作品の実在を考察するという変化球ミステリ。当時の犯人当てが手書き原稿を朗読して、それを聞いて推理していたというのがすごい(ワープロやコピーがまだ普及していなかった)。同窓会をのぞかせてもらっているような不思議な作品。ボーナストラック的な味わいでよかった。

  • ゾクゾクでゾワゾワして、読み終えました。

  • 綾辻行人のあんまりないミステリ(系)短編集。

    一番の感想は、やっと「赤マント」が読めたこと!
    「人形館の殺人」の続きがあるらしいことはずっと知ってたけど、ようやく手に入った(異形短編集か何かに掲載されてたっけ?)。

    眼球綺譚ものの短編や回顧録のような短編と、盛りだくさん。久しぶりに綾辻行人を堪能できた。

    ただ、やっぱり長編の作家だよなぁ。。。
    「殺人方程式」シリーズのこと、忘れていないようでちょっと笑ってしまった笑

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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