告解 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283219

作品紹介・あらすじ

この罪と、僕はどう向き合えばいいのだろう――。

飲酒運転中、衝撃に気づきつつも、恐怖のあまり走り去ってしまった大学生の籬翔太。翌日、一人の老女の命を奪ってしまったことを知る。自分の未来、家族の幸せ、恋人の笑顔――。失うものの大きさに、罪から目をそらし続ける翔太に下されたのは、懲役四年を超える実刑だった。

少年犯罪を描き続けてきた著者は問いかける。「犯罪の加害者になってしまったら、あなたはどうする?」

感想・レビュー・書評

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  • 久々の薬丸さん!
    相変わらず、重〜〜い!

    告解(こっかい・こくかい)とは、キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいう。

    まぁ、タイトル通りなんやけど、自分の罪を認めるって、しんどいと思う。
    人によっては、刑期終えれば、罪を償ったと思う人もいる。
    それが、悪いかと言われれば、法律に基づいて罰を受けたんやから…とも思うんやけど…
    被害者からしたらね…それも死んでるし…一生背負え!と思うやろな…

    もし、自分が過ちを犯して、人を殺め、法律的には償った訳やけど、これで晴々した〜!とは思わんな…やっぱり…

    でも、本当のことを言う勇気もない…
    ず〜っと、そのまま一生を終えそう。凄い重いもんを抱えたまま。

    それ考えると主人公は、偉いのかもしれん…

    「何事にも逃げたらあかん!」

    言うのは簡単やけど(−_−;)

    重い〜………

  • 飲み会まで時間があったので、書店をぷらぷらしていた時に、私を見つめている本があったので購入。
    久々の薬丸先生。
    まぁ、間違いはないだろう(^-^)

    大学生の翔太は、些細なことで彼女と喧嘩してしまった。その話を聞いてもらおうと友人と夜遅くまで飲んでいた。
    夜中まで飲み帰路に着くが、彼女から今会いに来てくれないと別れるというメッセージが届く。
    もう電車は無い。。。外は雨が降り始めていた。

    車なら行けると決断した翔太は、初心者ドライバーであったが、猫を助手席に乗せて彼女の家まで車を走らせる。

    交差点で助手席の猫に一瞬気を取られた時、何かに乗り上げたような気がした。
    それと同時に悲鳴を聞く。

    怖くなった翔太は、轢いたものを確認せず、そのまま車を走らせる。

    翌日のニュースで、自分が轢いたものが、人間であり、長い距離を引き摺った所為で死亡したことを知る。

    直ぐに警察は翔太に辿り着く。
    懲役四年を超える実刑を終え出所した翔太だが、家族はすっかり変わっていた。

    自分の未来はどうなるのか?
    家族の幸せは失われてしまったのか?
    恋人はどうなってしまったのか?

    失うものが多く、罪から目を逸らそうとする翔太、、、



    凄いなぁ、薬丸先生の本は。
    本当に取り憑かれたように本の世界にハマってしまう。。。

    物語もどんどん展開が変わっていき、目を離せない。翔太や、家族、彼女の心、全てに感情移入してしまう。

    自分が、彼、彼女だったら???
    とうする??とうなる???

    相変わらず、薬丸先生の話は、アホな私なんかにはかなり重たい本なのだが、ほぼ一日で一気読みさせるほどの熱量。

    凄い一冊だった。。。

    • アールグレイさん
      マキさん(^_^)Vこんにちは

      このレビュー、先が知りたくなってきました!
      興味をそそるというのでしょうか?
      マキさんのようにポチッとして...
      マキさん(^_^)Vこんにちは

      このレビュー、先が知りたくなってきました!
      興味をそそるというのでしょうか?
      マキさんのようにポチッとしてしまうと、置き場も狭いし・・・・
      図書館に予約します。
      ところで、マキさんは読書倦怠期ってありましたか?
      (。_゜),,~“
      2022/12/02
    • bmakiさん
      アールグレイさん

      こんにちは。
      薬丸先生の話なので、心からハッピーになることは無いですが(笑)読んで損するような本でもなかったです(...
      アールグレイさん

      こんにちは。
      薬丸先生の話なので、心からハッピーになることは無いですが(笑)読んで損するような本でもなかったです(^_^)
      薬丸先生の本は読み出したら止まらなくなりますね。一気読みしちゃいます。

      私も本の置き場狭いですよ。単行本サイズの領域に、いつも4〜5冊積んであります。
      読み終わったら直ぐに隣の親戚のおばさんに差し上げるので、家には読んでいない本しかありません。
      読書倦怠期ですか?ブクログ始めてからは、鬼滅の刃にハマった頃、アニメばかり見ていた時期がありました(笑)
      呪術廻戦にハマった時もアニメや漫画ばかり見ていました(笑)

      他のものに嵌ると読書が遠のくようです(^^)
      2022/12/03
  • こんな表現はホント〜に不適切なんだけど。
    アンジャッシュのすれ違いコントを見ているような気分だった。観客は全てが見えているのに、意外性を増していくボケの連続に気づくと笑わされている。この作品のストーリーも一見先が見えていそうで、人物の感情と時間とが次々と折り重なっていき、奇跡的に噛み合って見事なラストを迎える。

    それにしても告解という言葉にはなじみがない。どうも懺悔や告白などの総称らしい。それを知っていたら、いつ白状するんだなんてハラハラしなかったのに。逆に読み終わった今、このタイトルまでもすっきり回収されていることに気づく。やられた。
    罪の意識が、次なる罪を包み込む光景が目に焼き付いてしばらく離れなそう。

    これは他の作品もぜひ読んでみよう。

  • 腑におちない。
    こんなことあるだろうか。
    最後の老人の行動も、うーん。

    ただただ真面目に生きたいと思った

    暗く重い内容だったので、
    気持ちを切り替えて
    次は軽めのものが読みたい。

  • 薬丸岳さんの作品。
    重いテーマですが、いろいろ考えさせる内容です。
    表題の『告解』とは、想像と異なり、そういう意味だったんですね。

    罪とは、赦しとは、永遠に答えの出ない問題かも知れません。

    ある日、雨の夜中。
    ある事情で、飲酒運転をしていた青年・籬 翔太(まがき しょうた)は、ある老女を轢き逃げし、逮捕されてしまう。
    懲役4年を超える厳しい実刑であった...

    そして、老女の夫・法輪 二三久(のりわ ふみひさ)。
    被害者遺族として、何を思うのか。
    認知症に苦しみながら、翔太の出所を待つ。

    病床で明日をも知れぬ体となった彼は、最後、翔太に何を告げるのか?
    罪の償いとは、人は全て罪を背負って生きていく者なのでしょうか?

    毎回、薬丸作品は、ウルウルさせられます。
    最後に、少し希望が見えたのは、良いエンディングかと思います。

  • 薬丸岳『告解』講談社文庫。

    息が詰まるような重苦しい闇の中を手探りで進むように物語は展開していく。死亡交通事故、家族の崩壊、老齢、認知症と様々な社会問題を背景に主人公の再生を描いた秀作。果たして、救いはあるのか。

    大学生の籬翔太はバイト仲間と終電まで居酒屋で飲んだ後、帰宅すると恋人の綾香から今すぐ会いたいというメールが入る。雨の中、車で綾香のアパートに向かう途中、車に衝撃を感じたが、恐怖の余り走り去ってしまう。

    翌日、翔太は老女が横断歩道で車にはねられ、200mも引きずられて亡くなったことを知る。老女は深夜に高熱で苦しむ夫のためにコンビニで氷を買うために外出していたのだった。

    逮捕された翔太は4年10ヶ月の実刑判決を受ける。刑期を終え、出所した翔太を翔太が殺してしまった老女の認知症の夫が付きまとう……

    たった一度の誤った行動が被害者家族を苦しめ、自分の家族をも不幸にしてしまう恐ろしさ。贖罪の念に苦しめられ、毎夜亡霊に魘される加害者。救いは思わぬところに……

    定価836円
    ★★★★★

  • 薬丸岳さんの本を片っ端から読んでいこうと思ったので、この本を選んだ。読んですぐに既読だと思ったが、もうページをめくる手が止まらない。止める気もない。
    時間もあったので一気に読み終えた。

    罪の意識とは、結局は自分で自分の事を責める行為だと思う。
    その辛さを知っているからか、絶対許せないであろう翔太の心に寄り添おうとする二三久。

    告解というタイトルに重みを感じた内容だった。

  • あなたは、犯罪の加害者になったらどうするか。
    被害者になることは考えるが、加害者ならばどうやって罪を償うのか。
    償った後どう生きていくか。いつになれば赦されるのか。罪は償えるのか。

    司法ではどうにもならない心の罪悪感が恐ろしく彷徨う。

    籬くんの供述や行動をとても理解してしまう…
    保身のための供述はおそらく私もしてしまうだろう。
    人間は自分に都合よく解釈し、それを言い訳に考えてしまう。

    誰にでもあり得る罪。私はたまたま運が良かっただけなんだと…

    とても良かった。名作でした。

  • 最初から読み進めるのが辛かった。
    被害者家族、加害者、加害者家族
    そして彼らの友人 知人
    登場するその誰もが、どこにでもいそうな普通の人
    プロローグのあらすじからして、彼らが幸せになりそうな未来が見えないんだもん。

    この作品を読んで興味を持ったので色々と調べてみると日本は特に「世間」を気にする風潮があると。(少なくとも欧米と比べると)
    なので、加害者本人だけじゃなくて加害者家族にも糾弾の矛先がむくと。

    あと、事件に直接関係ない第三者が、加害者やその家族にかんする(事件には直接関係ないような)プライベートなことまで暴いて批判するその心理について。
    以前に読んだ小説で(確か、中山七里の作品だったと思う)「加害者は普通とは違っていて、加害者となりえる理由があったのだと納得したいから」というのがあって。
    つまり、「加害者(とその家族は)自分とは違う」「それこそが、事件を起こした理由」「だから自分(やその家族は)大丈夫、普通である自分は加害者にはならない(はず)」と思いたいから、というのがあって。
    大変、腹おちしたのでよく覚えているのですが。
    この作品、この心考え気持ちをがっつり否定してくれる。

    飲酒運転してひき逃げ。しかも、200メートルも引きずられて、被害者は死亡。
    こう書くと、どれほどひどい奴だ!?って思うけど、実際は普通の(かなり恵まれてはいるが)大学生。事故(ひき逃げなのでもはや事件だな)を起こしたときの心理描写も、了解可能で、もしかしたら自分だって同じことしてしまうかもと思わせる怖さ。

    いつ、自分が「加害者」になるかわからない
    ましてや「加害者家族」になる可能性

    若いときは、家族も糾弾されて当然……とまでは言わないけど仕方ないかなって思ってた。
    でも、年を重ねて、結婚もして、子供を持つことも考えて……ってなったときに、「家族」というものをもつ怖さみたいな。家族だからって、すべての行動をコントロールなんてできないもん。
    てなると、やっぱり加害者家族を糾弾するのはちがうのでは??
    でもでも、じゃあ加害者家族を受け入れていけるか…と、問われると、自分の心持ちを考えると難しいなぁと思ってしまう矛盾。

    話の本筋は、加害者のその後について、なので本筋とはちょっと離れた事柄ですが、色々考えさせられた。

  • 加害者と被害者…
    どちらも、
    「明日は我が身」だと思わされました。

    二三久さんは最後まで
    「教師」でしたね。
    もし私が被害者になっても、
    二三久さんのようにはなれません。

    二三久さん
    君子さんと文子さんには逢えたかな…

    自然に涙が出てきました。
    読んでよかった。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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