希望の糸 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065286180

作品紹介・あらすじ

東野圭吾の「家族」の物語。待望の文庫化!

「死んだ人のことなんか知らない。
あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」
ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。
どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。

閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。
捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。
災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。
容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 新年度が始まってひと月半。寝落ちを繰り返しながらようやく読了。そういえば、なぜ働いていると本が読めなくなるのか、という新書が平積みになっていた。理由は繁忙度だけではないということだろうか。気になる。

    女性の刺殺事件。周囲からの悪評は皆無。彼女が生前に何かを心待ちにしている様子と犯人の思い込みによる誤解。どちらも切ない。無縁に見える登場人物の関係が徐々に明らかになる展開は、『新参者』を思い起こさせる。

    事件とシンクロして、加賀の従弟・松宮は自らの出生の秘密とも向き合うことに。加賀は、松宮が抱える、事件の真相究明にまつわる葛藤を察しながら、後押しする。物語の佳境で放った「おまえ、いい刑事になったな」の一言の威力たるや。

  • 家族というものの定義、絆について考えさせられる物語だった。ただ、個人的に少し病んでしまった。

  • 同時進行で自分のプライベートと仕事の事件の話が進み、どちらも同じような結末に着地するという話の構成が東野圭吾さんの作品だなあと改めて感じた。最後まで秘密を隠すことは苦しいし、明かすことも今までの関係性や状況を壊すかもしれないと思うと怖いし、その葛藤の中で娘を守るためにみんなが嘘をついていてたくさんの人から本当に愛されているんだなと思った。最終的に全てのことを娘に明かした時は、読み手としてはどうなるのかとどきどきしたが、娘と父親の絆ももっと深くなってよりよい関係性になっていくのかなと希望の結末を予感させた。

  • 家族は、“糸で繋がっている”、ということか。

  • さすが東野圭吾さん。
    グイグイと引き込まれる展開で読む手が止まらない。
    知らずに図書館で借りたけど、シリーズものだったのね(笑)他のも読んでみたいな。

    震災で子ども2人を亡くし、絶望の淵にいた夫婦。
    その生きる希望として生まれた子ども『萌奈』
    そして、ある喫茶店の女店主が殺される…だれもが素晴らしい人と認める彼女を殺したのは誰か。その動機は?
    また老舗旅館の元主人兼料理長は末期のガンで死の淵をさ迷っている…遺言状には娘の知らない人の名前が…その人は誰なのか…

    主人公は刑事の松宮。
    彼は喫茶店の事件の真相を知るが、それは1人の少女の未来を左右するのものだった。
    果たして真実をあからさまにするために、その子を犠牲にする権利はあるのか。
    そして、松宮自身も別のルートで新たな過去を知ることになる…

    萌奈ちゃんね…そうね…自分は死んだ兄弟の身代わり…兄弟の分も生きてほしい!という両親のプレッシャー…そして白血病で母親をなくし、さらに生き甲斐が娘にかかった父親との暮らし。
    息が詰まるよなぁ…自分は誰かわからなくなるよね。辛いよなぁ…しかも事件で殺されたのが本当は自分の母親で、今まで育ててきてくれた両親は医療ミスにより血のつがなりがない。となると…
    このご夫婦もかわいそう…こんなに不幸って繋がるかね!?って思うくらい…だからこその希望の糸なんだろうなぁ。

  • おすすめ度 ★★★★☆
    感動度 ★★★★☆

    3つのお話が全て1つに繋がってる。
    家族の話で、全て現実でも起きていそう

  • 小さな喫茶店でおきた殺人事件
    それにからんだ、いくつもの家庭の闇と謎

    子供を持つということ。
    本当の親子とは。

    遺伝子上の親子。受精卵の取り違え等
    深い問題が絡みあう

  • 加賀恭一郎シリーズは以下の順番らしいです。
    ◯卒業
    ◯眠りの森
    ◯悪意
    ◯どちらかが彼女を殺した
    ◯私が彼を殺した
    ◯嘘をもうひとつだけ
    ◯赤い指
    ◯新参者
    ◯麒麟の翼
    ◯祈りの幕が下りる時
    ◯希望の糸→読んだ

    最新作から読んでしまいましたが、続きものではないので、問題ありませんでした。
    いつも同じような記載になりますが、東野圭吾さんの作品は読みやすいですよね。
    殺人事件のミステリーとしてもちろん面白いのですが、色々な家族の愛情も描かれていて、感動もできます。
    私は、キャッチボールの思い出が印象に残りましたね。

  • 加賀恭一郎シリーズ

    最後の30頁ほどくどいほど丁寧

  • 新しい命の誕生や喪失に伴う感情の機微は計り知れない。親が注ぐ愛情は、思い通り子に伝わらないこともあるが、それでも親子は確かな絆で繋がれている。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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