うさぎ玉ほろほろ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 736
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065298954

作品紹介・あらすじ

武士から菓子職人に転身した変わり種の主、治兵衛。父を助ける出戻り娘、お永。看板娘の孫、お君。
親子三代で切り盛りする江戸麹町の評判の菓子舗「南星屋」には、味と人情に惹かれやって来るお客が列をなす。
麹町を大火が襲った夜以来、姿を見せなくなった気のいい渡り中間を案ずる一家だったが、ある日、思わぬところから消息が届き……。

「誰だって、石の衣は着ているもんさ。中の黒い餡を、見せねえようにな」
やさしい甘みで包む親子の情、夫婦の機微。
諸国の銘菓と人のいとなみを味わう直木賞作家の大人気シリーズ最新刊!

〈収録作〉
饅頭くらべ
母子草
肉桂餅
初恋饅頭
うさぎ玉ほろほろ
石衣
願い笹

感想・レビュー・書評

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  • 前作2作とはちょっと違う、心苦しく切なく思う場面が沢山あったように思います。うーん、何か物悲しい?寂しい?感覚というか。

    シリーズが進む度、登場人物がどんどん深掘りされて、隠れていたその人の過去や本質が見えてくる。そしてシリーズ3冊目ともなると、もう登場人物全員が昔からの知り合いでしょ?ぐらいの感覚になってますから、感情移入が只事ではない〜。

    最後に冒頭の事件が急展開をみせて、何故か焦りました。残りページが少ないのに。終われるのか?もしかして最後ページに「つづく」とか書いてあるのか?それはそれで嬉しいけど。余計な気遣いしながら読みました。が。
    そんな心配をよそに、いや〜あっという間の素晴らしい終わり方でした。

    最後はほっこりしましたよ、河路さん。

  • まるまるの毬 シリーズ3

    麹町の菓子屋「南星屋」は、毎日、正午に開店するが、江戸ではなかなか口に入らない、諸国の銘菓が目当ての贔屓客が多く、昼前から開店待ちの客が列をなし、一時ほどで、菓子は全て捌けてしまう。

    「南星屋」は治兵衛、娘のお永、孫のお君の3人で切り盛りしていたが、半年前からから、渡り菓子職人の雲平を雇っている。

    《饅頭くらべ》
    《母子草》
    《肉桂餅》
    《初恋饅頭》
    《うさぎ玉ほろほろ》
    《石衣》
    《願い笹》

    菓子に目がなく、気のいい鹿蔵と言う渡り中間が菓子の種を持って、治兵衛の元を訪れるようになった。大名の参勤交代のお供として雇われ、各国を旅していて、諸国の菓子を食べていると言うのである。

    麹町を大火が襲った夜半、鹿蔵が「南星屋」に急を告げ、それきり、姿を現さなくなった。

    治兵衛の弟で、牛込の是現寺の住職・石海の小坊主の頃の話。

    お君の縁談相手の、跡取り問題。

    お永の元夫・修蔵の再婚話。

    先行きが楽しみで、読後感は、とても良い、

  • ほろほろの一冊。

    シリーズ3。

    タイトルから可愛くほろほろ、ストーリーもほろほろ、心とき解された。

    和菓子に重ねた人の心模様の描き方がたまらない。

    苦味も甘さで綺麗にくるんでくれるようで、何度口の中でほろほろ言葉が溶けたことか。

    親子三代、揺れに揺れる胸の内。

    雲平さんは南星屋にとってますますかけがえのない人になってきた。

    お永を見守るしかできない治兵衛の気持ちにもほろほろ、ホロリ。

    お君と石海さんもなくてはならない甘味だ。

    みんながみんなお互いを慮る温かさが心に沁みる南星屋。
    この先誰もが丸い心の置き所を得られますように。

  • シリーズ3作目
    大好きな「南星屋」の皆に会えました♪

    うさぎ玉ほろほろ…毎回タイトルが可愛い(^^)
    今作もたくさんの和菓子が登場しましたよ♪

    やんちゃ坊主の初恋話「初恋饅頭」が良かった。
    石海の修行時代のお話です。

    図書館の予約待ち長かった。゚(゚´Д`゚)゚。
    順番待ちの人がたくさんいるから速攻で返却してこなくては!



  • シリーズ3作目まで無事に追いつきました!
    これまで時代物のお話には苦手意識がありましたが、こちらは毎回和菓子が出てくるので難なく読めました\(^o^)/

    毎度違う品を作って売りきるお店なので、季節や人物縁の地などからヒントを得て「よし、次あれを作ろう!」に至る過程が好きです。孫娘の縁談や、お店の後継はどうなるか、まだまだ続きが気になります。

    2024.2

  • 今回も、南星屋を取り巻いて色々な事件が起こる。登場人物の想いがなんとも言えないぐらい心地良く描かれていていい感じでした。

  • 南星屋3作目。また一人甘い物に取りつかれた輩が登場
    お永と修蔵の話や五郎の初恋話が良かった。ほっこり

  • 諸国の菓子を二品、日替わりで供する、変わり種の菓子屋『南星屋』シリーズ。

    遠国の菓子の話をきっかけに、すっかり治兵衛とうちとけていた渡り中間の鹿蔵。鹿蔵の話を元に、訪れたことのない土地の新しい菓子を作ることができ、喜んでいた矢先、ある火事の夜を最後に鹿蔵の行方がわからなくなってしまい…


    一編ごとに、夫婦やきょうだい、親子との人情のふれあいだったりもつれだったりが織り込まれ(ここは練り込まれてというべきか)、じんわりとあたたかく、心に沁みる。
    もちろん、諸国の菓子も相変わらず美味しそうで、胃に染みる⁈

    「初恋饅頭」で描かれた、幼い日の石海のほのかな恋心と、少女のささやかな楽しみを知らず奪ってしまっていた事に対する涙が、何とも愛らしくせつなく、泣き笑い。

    鹿蔵の行方知れずの件も、お君のちょっとしたエピソードも、終章できれいに丸くおさまり、読み終えて満足。
    そして、例によってまた和菓子が猛烈に食べたくなってしまう。

    南星屋が近所にあったら、本当に真剣に嬉しくてツライなぁ。毎日二種類ずつの菓子!
    素通りできない!うわあ…

  • シリーズ第三弾。

    武家出身の職人・治兵衛、出戻り娘のお永、孫娘のお君に加えて、前作から登場の渡り菓子職人・雲平の四人で営む、菓子舗〈南星屋〉を巡る人情噺、連作七話が収録されています。

    治兵衛&雲平が作る、日替わり諸国銘菓が売りの〈南星屋〉。
    今回は菓子好きの渡り中間・鹿蔵が登場。諸国菓子の“ネタ”を提供することで治兵衛達と意気投合しますが、麹町を大火が襲った夜以来、姿を見せなくなってしまいます。
    火事の夜に、鹿蔵から治兵衛に託された“文”の内容は何なのか、そして鹿蔵の行方は・・?といった謎は、第七話「願い笹」で、鹿蔵の意外な正体と共に明らかになります。
    それにしても、いつも物怖じしないお君の言動は、小気味よい時もあるのですが、今回はそれによって思わぬ逆恨みを買ってしまい、〈南星屋〉に危険が及びそうになったので、ちょっとハラハラしました。
    個人的に好きだったのは第四話「初恋饅頭」ですね。治兵衛の弟・五郎こと石海が寺に入ったばかりの小坊主だった頃の、甘酸っぱくて且つほっこりする思い出話でした。
    そして、表題作の第五話「うさぎ玉ほろほろ」では、お永の元夫・修蔵に父親になってほしいと慕う少女・おかやが登場。
    これを機に修蔵は新たな家庭を築いていきそうですが、お永の方は今後雲平と進展があるのでしょうかね?
    各話で登場するお菓子も美味しそうですし、〈南星屋〉ファミリーwith雲平が“菓子会議”する様子が楽しそうで、読んでいて温かな気持ちになれます。
    これからも〈南星屋〉を見守っていきたいので、続きを楽しみにしております~。

  • 小説現代2020年8月号饅頭くらべ、11月号母子草、2021年2月号肉桂餅、5,6合併月号初恋饅頭、8月号うさぎ玉ほろほろ、11月号石衣、2022年3月号願い笹、の7つの連作短編を2022年12月講談社刊。シリーズ3作目。鹿蔵に関する話が、やや無理のある展開で、それほど楽しめなかった。ひとつひとつで完結していく話の方も精彩を欠いているように思う。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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