滅茶苦茶

著者 :
  • 講談社
3.53
  • (24)
  • (63)
  • (67)
  • (14)
  • (3)
本棚登録 : 714
感想 : 69
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065314579

作品紹介・あらすじ

「もう取り返しがつかない」三人三色の人生が転落しながら絡み合う、絶叫的ミステリー。

仕事はそこそこ順調、東京で独身生活を謳歌するシングル女性が始めた不穏な恋愛。登校中、不良に堕ちた級友に再会した、とある北関東の高校生。老朽化したラブホテルを継ぐが経営不振に陥りそうな静岡県在住の中年男。
刹那な現代をサバイブしながら孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに滝底に突き落とす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルそのまんま、めちゃくちゃだった。
    これって、コロナのせい。
    身体がやられるわけじゃなく精神的にコロナにやられるっていう…。

    仕事は順調なのに彼氏はいなくて、リモート中で出会いはなくマッチングアプリで引っかかってしまい国際ロマンス詐欺にあう。

    進学校に入ったもののそこでは底辺の高校男子が、下校中に不良に堕ちた小学時代の同級生に再会し、ずるずるとその不良仲間と夜遊びする。

    老朽化したラブホテルを継いでいるが、コロナ禍もあり経営難に陥った中年男が、スナックのママの口車に乗り持続化給付金の不正ビジネスと人妻売春斡旋ビジネスの片棒になってしまった。

    年齢も違うこの3人の転落していく様子が生々しく、なんで騙されてる⁇なんでそこに乗っかってしまうの?というもやもや全開のままラストへ。
    絶望の淵で3人が出会った先は…


    めちゃくちゃだけど、現実にありな話かもと思わずにはいられない。
    コロナばかりのせいでもなく、ちょっとした油断で人は流されてしまうもの。
    そして一旦そっちへ足を向けるとなかなか戻れなくなり…。
    何か突破口がないと修復できなくて、結局彼ら3人が出会ったのも終止符を打つためなのかもしれない、
    と思うことにしよう。





    2023年8月。
    今もまだマスクしている人は多い。
    場所によっては違うのかもしれないが、スーパーでも7割ほどはマスクしている。




  • 学会中、新幹線+ホテルで大爆笑。恩田陸作品「ドミノ」を想起する。コロナ禍で登場人物3人が大ピンチ。30代キャリアウーマンが中国人に恋をして、500万円詐欺に遭う。進学校の男子高校生が不良に絡まれるが中学時代の同級生、さらにヤクザが登場。ラブホテル経営者の男性が持続蚊給付金詐欺に加担する。3人それぞれが犯罪の一線を越えてしまう。全く異なる3人が、同時に富士山の青木ヶ原樹海に集まる。そこでの3台が絡む車の事故、ここからが本気で滅茶苦茶な展開。全員の経緯を聞いた3人はどうなったのか?想像しただけで面白かった。⑤


  • ほんの一つのつまづきで平穏な日常がガラガラと
    崩れ落ちていく様子と、あっという間に最悪な
    状況に追い詰められていく年齢も性別も立場も
    異なる3人を描いた物語。

    積み上げるのは大変なのに、転げ落ちていくのは
    あっという間だということを改めて思い知らされ
    てゾッとします。

    どこにでもいる普通の人が絶望のどん底に
    堕ちていく、止まれないほどの怖さ。

  • 三者三様、ジェットコースターのように事態が悪化していく。
    行き着く先は?
    全部コロナのせい?
    面白くてアッという間に読み終えました。

  • コロナ禍の影響をもろに受け、人生を転落していく三人の物語。
    最後には三人が交錯する。

    キャラクターにリアリティがあり、展開のテンポがよいので、
    ぐいぐい読み進められる。

    ただ、彼らを悩ませていた問題がそれぞれ、
    いかに収束していったのかが気になるところ……。

  • 2020年春、コロナ禍で人生が大きく変わり始めた、広告代理店勤務のバリキャリ今井美世子、進学校の落ちこぼれ二宮玲央、ラブホテル経営の戸村茂一。
    三者三様、コロナ禍ならではの転落劇。
    変わっていくそれぞれの日常に、
    破滅のにおいがプンプンしている…!
    そっちに行ってどうするの!どうなるの!
    最悪の展開を恐れつつ読めば、
    その上をいく滅茶苦茶さ。
    まさか、そんなことになるなんて…。
    展開がヤバすぎて一気読み!
    滅茶苦茶、おもしろかったです。

  • コロナ禍によって、心のコロナを患いどんどん転落していく3人。三者三様の転落っぷりで最後はタイトルに偽りなしのハチャメチャに滅茶苦茶。

  • 染井さんお得意の転落人生物語。コロナの感染拡大真っ只中、3人の主人公が負のスパイラルに巻き込まれ、最後には一つにつながるという展開。ラストはもう本当に滅茶苦茶過ぎてスピード感半端ない感じでした。帯通り、こんな人生、小説でしか味わいたくない。そして、現実社会でも、コロナ禍の間、あらゆることでどうしてこうなったと原因を探ると、全部コロナのせいと落ち着くことがあったでしょう。それを的確に表現していたような気がします。

  • 一気読み!
    それぞれが段々と落ちて行く。
    明日は我が身というか、、改めてちゃんと生きよう!って思った。
    みんなの重みが最後はスッとして気持ちよかった!

  • 感想
    終盤がかなりの滅茶苦茶な展開でスピード感があり、一気に読めた。

    コロナ禍でフラストレーションが溜まった昨今、OL、高校生、ラブホ経営者が犯罪に巻き込まれ、最後にはタイトル通り、三人の人生が滅茶苦茶の状態で交錯する。

    エピローグが短かったので、それぞれのその後がどうなったのかもう少し知りたいところだ。

    あらすじ
    コロナにおいて、日本国民の心も疲弊していた。そんな中、四十手前でマッチングアプリでマレーシア人と出会ったOL、県内一の高校に入ったが勉強について行けず幼馴染の不良と付き合い始めた男子高校生、給付金の不正受給に手を染めたラブホ経営者。

    OLは国際ロマンス詐欺、高校生は犯罪の片棒担ぎ、ラブホ経営者は給付金の不正受給。それぞれの人生がどう交錯するのか?

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

染井為人(そめい・ためひと)
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションにて、マネージャーや舞台などのプロデューサーを務める。2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。本作は単行本刊行時に読書メーター注目本ランキング1位を獲得する。『正体』がWOWOWでドラマ化。他の著書に『正義の申し子』『震える天秤』『海神』『鎮魂』などがある。


「2023年 『滅茶苦茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

染井為人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×