海神の娘 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065318089

作品紹介・あらすじ

世界の南の端にある「花勒」「花陀」「雨果」「沙文」の四つの島は海神のものだという。
島々は、海神たる蛇神の抜け殻からできた、という。
各島はそれぞれの領主によって治められていたが、
領主を決めるのは海神に仕える巫女王の託宣だった。

巫女王のもとには「海神の娘」が集う。
娘らは託宣によって領主のもとへ嫁いでいく。
彼女たちを娶ることで、島は海神の加護を得て、繁栄するのだという。

今宵もまた、ひとりの巫女が舟に乗せられ、月明かりの下、島影へ近づいてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集でしたね。

    神に選ばれることが幸いに繋がっていく者、不幸せを自ら選んでいる者。

    それぞれの生き様が愛おしい作品集でした。

  • 2023年7月講談社タイガ刊。書き下ろし。鯨面の妃、丹の島の死人姫、黄金の窟、琳と蕙、の4つの連作短編。後宮の烏と同じ世界に属するが片や大陸でこちらは島国世界で、神さまが異なり、理りが異なる。連作とは思わず、1作目より2作目と、読み進むほどに物語世界へ引き込まれます。4話目はラストにふさわしい展開ですが、これ一冊で終わるのは惜しい。続きはあるんだろうか…。

  • 長編かとおもって読み始めたら、まさかの連作短編集でびっくり。

    地図の南方に位置する花勒(かろく)・花陀(かだ)・沙文(しゃもん)・雨果(うか)という島の領主と花嫁は、海神(わだつみ)の託宣で選ばれる仕組みで、それぞれの島での婚姻譚が4つ収録されている。

    白川紺子さんの完結シリーズ「後宮の烏」とおなじ世界地図の中での話だが、話しごとの時系列や「後宮の烏」と同時代かどうかは不明。
    なので、後宮の烏のキャラが出てくるかも?!とおもって手に取られた方は、肩透かしをくらった感じになるとおもう。
    でも、それぞれの話には不遇なめぐり合わせの中にも救いがあり、各々のしあわせの形を見せてくれるところが、なんだか好きだなとおもった。

    独立した話同士ではあるものの、共通して出てくる霊子というキャラクター(海神の託宣を受ける巫女王)の存在が物語を追うごとに謎を増していき、最後には海神と霊子の関係性にも言及されていて、4つの話は終わったけれどこれからどうなっていくの?!という感じに。
    4つ目の話は、独立した話なのに1冊を通してのクライマックス感もあって、すごくよかった。

    巻数字がないので1冊で終わりなのかな?とおもったら、最近2巻が出た様子。
    人気が出たようでよかった。
    表紙絵の娘は誰なのだろう…?とおもったけれど
    多分、霊子っぽい。

    このまま、短編スタイルの婚姻譚で続いていくのか?「後宮の烏」との直接的なつながりは出てくるのか?
    「後宮の烏」のほうも、次世代編となる話が出版されたようで、そちらと絡むのか…?
    そうした所もちょっと気にしながら、次巻も読んでみたいとおもう。

  • 中華風の各島国からある日突然、海神の娘が選ばれて領主の元に嫁ぐ託宣がされるまで海神の島で暮らすことになる神話のような物語。 嫁ぐ娘たちは大人しめだったけど、黄金の窟の嘽だけは武芸ができ暴君になっていた沙文の君に神罰を自ら下す登場の仕方がかっこよくて痺れました。 物語の続きがあるなら霊子と海神の関係のもっと深い部分を読んで知りたいと思った。

  • 後宮の烏外伝
    面白かった。
    白川紺子さんの美しくも切ない世界だ。
    海神の娘 に選ばれて島の領主に嫁いだ娘たちがそれぞれ幸せに生を全うできてよかった。

  • 『後宮の烏』と同じ世界の物語。
    託宣を受けて海神の娘となり、また託宣を受けて各島々の領主の元に嫁ぐ娘たちの婚姻譚。
    どの短編も面白かった。
    漢字が難読で、2回目以降ルビがなかったので大変だった(笑)

  • 海神の神託を受けた娘達は、島々の領主の元へ嫁ぐ。彼女らを娶った島は海神の加護を受け繁栄すると言う…

    短編集ではなく、長編で読みたい話しばかりでした。

    お気に入りは「鯨面の妃」
    無実の罪に堕とされた一家の娘が罪人の証である鯨面を顔に彫られ、海神の娘として花勒の領主へ嫁いでくる。父を殺した領主の息子、そして殺された一家の娘。お互いとてもぎこちない二人が少しずつ距離を縮めていくのが微笑ましくもあり、少し痛々しくもありました。
    それでも、ラストは幸せに暮らしたと言う描写が救いでした。

  • 海神の託宣によりそれぞれの王宮の妃になるという宿命に翻弄されながらも逞しく生き抜いて行く娘たちを短編で描いています。それぞれの物語の主人公に個性があって単に運命に流されるわけではなく、楽しんで読めました。後宮の烏と舞台設定を同じにしているので、不思議な力や幽鬼なども登場し、ちょっとしたスパイスになってましたね(^_^)

  • 『後宮の烏』と同じ世界~ と宣伝文句にあるけど、前作の最終巻の失速感を思えば、宣伝文句として正しいのかどうなのか…前作も6巻まではすきだったので、この作品も読んでみようとは思うけど。

  • 『後宮の烏』と同じ世界での、違う地方の物語ときたら読まないわけにはいかない。本作では見知った登場人物の出演はないけれど、物語として十分面白かった。なんでこんなにも白川さんの文章は素敵なんだろうか。
    海神の娘として国の王に嫁ぐ少女たちの物語。どの娘も魅力的で、そして過去がある。つらい過去を乗り越え、王との深い愛に胸を打たれるとともに、運命に翻弄される様は胸を締め付けられる。『後宮の烏』の面々より、さらに神仏への信仰深い人々の織り成す、大切な物語。続きをぜひ紡いでほしい。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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