修羅の家 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.22
  • (9)
  • (13)
  • (45)
  • (6)
  • (4)
本棚登録 : 449
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065324615

作品紹介・あらすじ

女の毒が体内に入り、蝕まれていく--簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 我孫子武丸『修羅の家』講談社文庫。

    帯に踊る「『殺戮にいたる病』を凌ぐ衝撃作!」という文句に期待は高まるが……

    読み終えてみると、ミステリーの欠片も無く、ただグロさとエロさ、残酷さだけが際立ち、『殺戮にいたる病』より遥かに劣る作品だった。

    まずは野崎晴男という粗暴な男がレイプ殺人を犯している現場を悪魔のような中年女性の神谷優子に偶然目撃されるという不自然さが際立つ。神谷優子が慕う山口という男の突然の登場と呆気ないフェードアウトも消化不良気味。北島が愛香を救い出すまでの異状な時間経過はどうか。取って付けたように終盤に描かれる醜悪な描写は必要だったのか。何か全体が巧く噛み合っていないような感じだ。


    簡易宿泊所で暮らす26歳の野崎晴男は、通り掛かった中年女性の神谷優子にレイプ殺人現場を目撃される。晴男は優子の家に連れて行かれるが、そこにはUNIQLOのTシャツにステテコという同じ格好をした10名ほどの男女が家族として暮らしていた。おぞましい儀式を経て『家族』の一員となった晴男は同居する家族が優子に虐待されていることを知る。

    一方、区役所で非常勤として働く北島は中学時代時代の初恋相手の愛香と偶然再会し、愛香が優子が取り仕切る『家族』との暮らしの中で、かなり危機的な状況にあることを知る。北島は何度か愛香と会ううちに愛香の身に起こった恐ろしい事実を知る。何とか愛香を救い出そうとする北島だったが……

    定価869円
    ★★★

  • 「とにかくまともじゃないの。まともな人は誰もいない。狂ってるの、うちの家族は。壊れちゃったの、何もかも」
    昔リアルにあった事件のオマージュ
    恐ろしく、もし当事者ならどうすべきなのか?
    何が最良か?
    確かにリアリティがある分「殺戮に至る病」よりも衝撃。

    真実は小説よりも奇なり

  • 内容がキツくて読むのが大変・・・
    しかし、ストーリーとリズムが良くてサクサクと読めてしまう。

    この話、元となる事件があります。
    世に言う『尼崎事件』!
    →気になる人はWikipediaにて
    →複雑です

    ストーリーに触れるとネタバレの危険性があるので、事件の方の感想を述べると、主犯の女性に対して非常に嫌悪感を感じるのと、世の中にスキあらば狙っている人は少なからずいるんだろうなぁと思います。
    主犯の女性は緻密な計算と経験則に基づき相手を暴力と虐待で洗脳していき最終的に裏切れない状況に追い込む!?
    芸能人の洗脳事件が過去にあったように、悪の心理学というか、人の心をコントロールする方法に恐怖を感じます。
    自分自身は現在、色んな人の助けがあり満足のいく生活を送る事が出来ておりますが、主犯のような女性に目をつけ込まれる事なく、慎ましく平穏な人生を送れるよう気を付けていきたいです。

    レイプの現場!?を目撃された主人公は、目撃した中年女性の自宅へ連れていかれることに・・・
    その家には似たような格好をした老若男女が多数いて奇妙な『家族生活』を送っていた???
    一方で区役所で働く北島は、中学校の同級生で初恋の愛香と再開するものの、愛香の悲惨な現状を知ることになる。
    物語の随所に心を折られそうになる表現があります(冒頭から)
    心が荒んでいる人や疲れている人にはお勧めできません。心を万全にしてお読みください・・・

    倫理的に映像化出来ない作品!!!

  • 『殺戮にいたる病』の我孫子さんがまた凄そうな本を書いている…と、遅れ馳せながら文庫版を目にして気になったので拝読。

    ちょっと読んでみてからすぐに「WARNING!!WARNING!!警告!」と、赤点滅ランプが脳内でチカチカし始めたので部屋に篭って読ませて頂く事に。

    なんだこの既視感は…私はこの物語を知っている気がする…。と途中で気になって調べてみると、やはり『尼崎変死事件』や『北九州監禁事件』が元になっているとの事。
    (この事件、ご存知ない方はかなりショッキングな内容ですので、苦手な方は調べるのを控えられて下さいませ…)

    我孫子さん、現場にいらっしゃった?!と疑いたくなるようなリアル感。これどうなんの?と予想も付かぬまま、絶望と共に読んでいるとやがて希望の光が…。

    北島ぁぁああ!!

    被害者の一人、愛香に思いを寄せている善意の人の登場に、思わず縋るように本を持つ手に力が入りました。
    こちらは本当に感想が難しい本なのですが、この北島の存在に、実際の事件でも救いがあればと願っていた我孫子さんの思いが伝わります。
    北島、かっこいいよ!!!

    そして、ミステリーらしく叙述トリックが今回も仕掛けられています。こう言って良いのかも分からないのですが、エンタメとしても仕上がっています。

    が、『殺戮にいたる病』と同じく完全に人を選びますし、これに関しては同じように「いっそ前衛芸術と思って…」等とは口が裂けても言えません。

    生きてる人間の方が幽霊よりも何倍も恐ろしい。と、月並みな事を思いました。

  • さすが我孫子武丸!!
    でも殺戮に至る病が凄すぎて…ちょっと物足りなかったかなあ〜
    やっぱり実際に会った事件をモチーフにすると生々しさがあって怖さが増します。
    叙述トリックもあって、後半からは畳み掛けが凄いです。
    ラストの胸糞は強烈笑
    ただやっぱり色々とツッコミどころは多かったかな。

  • 怖い...
    どんなホラー小説よりも怖い...
    こんな小説を読んだら人間不信に陥りそう。

    実際にマインドコントロールされた事件も明るみに取り沙汰されてきているので、こういう事件を他人事と捉えず、如何に自分の意思を強く保ち、倫理観を培っていくことで他者に振り回されない人格を形成していけるかということを考えさせられた。

    にしても、やっぱり人間って怖い...

    「殺戮にいたる病」に引き続き、誰目線で描かれたストーリーなのかということが後半に分かるようになっていて、面白かった。

  • 残酷、グロあり。人によっては読むのがしんどくなると思います。けど、ぐいぐい惹き込まれるので私は楽しく読了。

  • 実際にあった事件がモチーフ。
    尼崎の家族乗っ取り事件。
    洗脳がテーマ。
    実際の事件がとてもエグい

    後半2人が混同して時系列がよくわかんなくなった。

  • 描写のエグさも中々だったが、ストーリー構成の仕掛けにも驚かされた

    終わり方はすっきりしなかったものの、現実の監禁事件がモチーフということもあり、これもリアルさなのかと納得した

    まあまだ救いのあるラストなんじゃないかな
    ちゃんと2人で逃げ出せたみたいだから

  • 物語に引き込まれて2.5時間で読破。
    残酷な描写と作中の人物の心情がわかりやすく、サクサク読めました。

    暴力と洗脳怖すぎる!!

    ただラストが意外と尻窄みとご都合主義ありですが、全体としては素晴らしかったと思います。

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

我孫子武丸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×