レーエンデ国物語 月と太陽

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065326800

感想・レビュー・書評

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  • レーエンデ国物語2作目。
    舞台は100年以上後のレーエンデ。

    前作でユリア・シュライヴァが成し遂げられなかったレーエンデの解放は、
    帝国の支配下に置かれ、レーエンデに住む民たちは不当な扱いを受けていた。

    聖イジョルニの血筋の末端に位置する少年ルチアーノは、帝国側の人間として育ってきたが、ある日、家族を襲われ、
    ティコ族のダール村へと逃げ、身分を偽り暮らすこととなった。
    ルチアーノを救ったのは、怪力の少女テッサ。

    数年後、ルチアーノは体力こそなけれど、頭の賢さを活かし、また、テッサは外地で兵士として戦った経験を活かし、
    レーエンデの解放へ向けて動きだすのだった。

    前作と同じくらい分厚い本に臆しながらも、ある程度、この世界観を理解しているせいか、思いの外時間はかからなかった。
    しかし、やはり描写が克明でたまにヘビー…。
    種族は違えど、大地の上で生きる民であるはずなのに、ここまで残虐の限りを尽くせるのか…と怖さを覚えた。
    それぞれの正義や生き方があり、同じレーエンデの民でも一致団結というのは難しく、現世でもまさにその通りである。

    ルチアーノがレーエンデの民に絶望を与え、帝国を憎むように仕向けたのも、意図があるに違いない。
    と思いつつ、このままだとレーエンデは進まないと思いつつも、
    次の作品を手に取るためのエネルギーがなかなか…。
    これで次の作品も同じようだったら、どうしましょ。苦笑

  • どうにも会話の部分が軽いというかチープで好きになれない。そのせいで人物もガキにしか思えない。設定とかストリーはいいと思うのでこれから続編が出て面白くなることを期待します。

  • 村娘だったテッサが英雄として開花させたけど、最後にはレーエンデを愛し尽くして未来に希望を託して旅立った
    そんなテッサのそばにいたのに、なんでルーチェ闇落ちしちゃうのさ…
    スポイルされていることにも気付かなかったレーエンデ人の掌返しはある意味当然なんだけど、受け止められるほどの余裕はもうルーチェには無かったんだろうなあ

    魅力的な仲間も多くて、神話のようだった一巻から時代が進んできたことを感じた

  • 一巻のときと違う読後の放心を経験。1番心に残ったのはアレーテの言葉。「知識が人を作り、見識が世界を変える」「教育の力はどんな武器よりも強い」、響く。

  • 成し遂げられなかった革命の話。
    ここで撒かれた種がきっとこの先で芽吹いて、レーエンデの解放につながるのだろう。

    前回は恋人2人を主軸に語られるやや狭い範囲での物語であったが、今回も同様に、想い合う2人の男女を中心に広がり、深まる人間模様でおもしろかった。

    ルーチェは教皇帝という最権力者に上り詰めたんだから、かつての仲間やレーエンデの民のために善政しいてもよさそうなものなのに、本当にテッサ以外どうでもいいんだなってことがよくわかる締めくくりだった。
    追記
    ルーチェは自分が帝国支配の象徴として敵役になることで、レーエンデ独立の希望の熾火を燻らせる役割を担ったのかも。
    それはこの後に続く物語に語られる歴史観で判断できるのかな?

  • 懐かしい名称が出てきて嬉しい
    民、神、自分自身に絶望したルチアーノ。民を残虐したのはテッサを信じてついてこなかった民への復讐と捉えるべきなのか?
    テッサ・ダールはレーエンデ義勇軍大将としての矜持を保ちレーエンデ人の心の拠り所となれるように最期まで戦い続けた

    テッサ、ルーチェ、キリル、イザーク、英雄の姿を追いかけた義勇軍、シモン隊長……レーエンデの自由を求め戦場を生き抜いたすべての人に拍手を送りたい

  • レーエンデ物語の第三弾"喝采か沈黙か"を読んでから今書いてるんですけど、"喝采か沈黙か"を読んでから初めてテッサとルーチェの物語が歴史の1ページとして動き出したなって感じ。
    何度も何度も「レーエンデの誇りと矜持を守る」ってフレーズが出てきて、誇りと矜持ってどういう気持ちなんだろうって読んでたけど"喝采か沈黙か"を読んでる時に思い出された「自分の人生は生まれてから死ぬまで自分のもの」って事がじわじわと心に響いてきた。

    レーエンデ物語のいいところは恋とか憧れとかはあるけど恋愛ではなくて「愛」ってところ。
    愛ゆえに犠牲になったり、狂ったり、迷ったりするけどルーチェにもエドアルドにもテッサにもキリルにもイザークにもアレーテにも憎しみや復讐みたいな感情は感じられなかったんだよなあ。

    前作だけだとあれ?トリスタン可哀想だな笑って終わっちゃったけどシリーズ読みすすめてから初めてわかる感情があるなと思ったので、続きで読むべき!

    あと冒頭の「革命の話しをしよう」が好き。

  • ユリアやヘクトル、そしてトリスタンたちの戦いからおよそ100年後の物語。
    支配されてしまったレーエンデを取り戻そうと、テッサを中心に革命の旗を掲げる。多くの命を奪い、多くの命が奪われる。それでも革命を止めようとはしない彼らの意思の強さが印象に残った。自分の命を賭してでも自由を手にしようとする揺るぎない意志、そして抗えない力にのまれていく革命の無慈悲さを、この物語は鮮明に描いている。
    別世界の話として、楽観できるものではないように思った。

    ルーチェがいずれ『残虐王』と呼ばれるのは、どのような強い意志を持った物語があったのだろうか、と気になって読んでいたが、革命の失敗後、即位したルーチェがただ残虐極まりない政治をした、という記述のみであった。貴族の暮らしからさまざまな困難に立ち向かって行ったルーチェの生き様が、勿体無いように感じる。なぜ、このような設定にしたのだろうか。この点において、違和感を持った。

  • とても面白かった。
    イザークとキリルがとても印象的。何を言ってもネタバレになるのでとにかく読んで欲しい。
    武器を持ち戦う女性の物語が好き。
    主人公の1人テッサはとても格好良く、同時に女の子らしさも持っていて素敵だった。

  • 神の子誕生から100年以上。レーエンデの人々は法皇庁に虐げられていた。逆らえば、容赦なく命を奪われる。そんな中、レーエンデの結束を呼びかけ、革命の急先鋒となったテッサ。
    しかし、神の子の力は絶大。恨みは恨みを引き起こし、レーエンデの人々の苦難は続く。
    テッサはまるで、ジャンヌダルクだった。カッコイイが悲しい…

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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