私の体がなくなっても私の作品は生き続ける

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 49
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065341728

作品紹介・あらすじ

心やことば、なくしたくない大切なものーー107歳で世を去った世界的美術家が「人生の弟子」に託していた作品とメッセージを初めて書籍化美しく老いるとは、こういうことだ.。2021年に亡くなった世界的美術家・篠田紅桃氏。彼女が知られざる「人生の弟子」に託していた、未公開の作品と言葉による、最後の画文集。人生とは、芸術とは、老いとは、死とは。「心に宿るもの、心にきざすもの、思い、それを『可視のもの』にしたい。『かたち』を創りたい。私の若い心からの願望、到達点のない、生ける限り続く、ねがうかたち。しかし現実には、晩年になってしまった。心中の『真にうつくしいもの』は、いつも逃げ水のように、少し彼方から、私を招いている」(本書より)本書に収録されている作品は、大半は桃紅氏が80歳を過ぎてからのものだ。人生百年時代と言われるいま、「どう老いるか」「どう死ぬか」「死んで何をのこすか」は、すべての人の関心事となっている。本書は、その問いに対する、世界的美術家からの「答え」とも言える。

感想・レビュー・書評

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  • こちらもアートドキュメンタリー映画「フェルメール The Greatest Exhibition -アート・オン・スクリーン特別編」の前に手にした一冊です。

    フェルメールとは全く関係ありませんが、手にした理由は「やねうらべやのおばけ」からの発展系です。
    わかるかなぁ…

    この世界観好きぃ(*^ω^*)

    篠田桃紅さんの作品、欲しい!!


    ある人に夢を見させることができる。
    夢を見る人には価値があるし、見ない人にはなんの価値もない。
    絵というものは魔物ですよ。
    力があるんだか、ないんだか。
    価値があるんだか、ないんだか、何もわからない。

    自然の持っている匂いみたいな、影みたいな、その何かを見えるかたちにする。
    生み出す、それがアートなの。
    (本文より)

    <篠田桃紅について>
    ※無知故に少し調べてみました。
    篠田桃紅さんは、日本の美術家、版画家、エッセイストでした。1913年に満州の大連で生まれ、2021年に107歳で亡くなりました。墨や金箔などの画材を使って、抽象的な水墨画やリトグラフを制作しました。
    水墨を使って抽象的な絵画や版画を制作した日本の美術家です。水墨とは、墨汁と水で色調を調節した画材で、中国や日本の伝統的な書や水墨画に用いられます。篠田桃紅は、書の技法を基礎にしながら、文字の形にとらわれない自由な線や色彩を表現しました。
    国内外の美術館や公共施設に作品が収蔵されています。また、『墨いろ』や『これでおしまい』などの随筆も書きました。彼女の作品は、東洋の伝統と現代の感性を融合した独自の墨象と呼ばれるスタイルで、世界的に高く評価されています



    「見つめていると、鋭く激しく
    妖しい心地になる桃紅さんの作品。
    世界のどこにもない線と面でありながら、
    世界のすべてがここにある」
    ーー高樹のぶ子さん(作家)

    「優しさや厳しさのなかの一本の線。
    どのように引こうが私の一本。
    生前にお会いしてみたかったな……
    それが叶わぬ今、先生の作品に思いを馳せて」
    ーー高岡早紀さん(俳優)

    2021年に107歳で世を去った世界的美術家の
    未公開作品をはじめて書籍化。
    そこに見つけた、うつくしき「無限の無」。
    美智子上皇后が人生を通して愛し続ける
    「桃紅美術」の真髄が、この本に凝縮されている。

    本書に収録されている作品は、
    大半は桃紅氏が80歳を過ぎてからのものだ。
    人生百年時代と言われるいま、
    「どう老いるか」
    「どう死ぬか」
    「死んで何をのこすか」
    は、すべての人の関心事となっている。
    本書は、その問いに対する、
    世界的美術家からの「答え」とも言える。

    本書に掲載されている桃紅さんの言葉から、
    ごく一部を抜粋する。
    「一本の線の中に、その人の長年の修練したものや苦しんだものがこもっている」
    「偶然できるものの偶然を待つ――自分以上のものを偶然に」
    「自分たちのほうが優れている、自分たちのほうが一番だと思う心をなくす力はないのでしょうか」
    「夢を見る人には価値があるし、見ない人にはなんの価値もない。絵というものは魔物ですよ」
    「心中の『真に美しいもの』は、いつも逃げ水のように、少し彼方から私を招いている」

    著者について

    篠田 桃紅
    篠田桃紅 しのだ・とうこう
    美術家。1913年(大正2)年3月28日生まれ。5歳の頃から父に書の手ほどきを受け、桃紅という雅号が付けられた。戦後まもなく墨を用いた抽象表現という新たな芸術を切り拓く。1956年に単身渡米。ニューヨークの一流ギャラリーで作品の発表を続け、世界的な評価を得る。作品は国内外の美術館、海外王室、宮内庁、政府公共施設など数十ヵ所に収蔵されている。2021年3月1日永眠。
    本書に掲載した作品は、桃紅が唯一「人生の弟子」と認めた松木志遊宇氏が、半世紀をかけてコレクションしたものである。


  •  書はできるもの、絵は創るもの。 偶然できるものの偶然を待つ。

    羊毛
     柔らかい、ふぃにゃふにゃの筆で描いた強い線くらい美しいものはない。

    アート
     人の精神のなかに、何か美しい、いいものを絶えず送り込んでくるもの。

    次の作品への誘い
     今、つくっているときに湧く。
     つくっているということは、続けるということになる。
     ここで終わるということがない。


     目に見えないから、
     心というものに浮かんでいるものを目に見えるようにしようと思った。
     私の抽象の根になるものは「心」にしたかった。
     言葉や文学に置き換えられないから抽象にしている。

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著者プロフィール

美術家

「2021年 『朱泥抄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠田桃紅の作品

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