諸星大二郎自選短編集 汝、神になれ 鬼になれ (集英社文庫(コミック版))
- 集英社 (2004年11月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086182331
感想・レビュー・書評
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諸星大二郎さんの作品を読んでみるシリーズ、3冊目ですが、ここにきて脳内の諸星大二郎さんのイメージそのままの短編集に出会いました
地方の土着宗教の怪奇話、SFホラー、中国の民話、可愛い女子高生が変なことしでかす話、バラエティ豊かですが、すごく諸星大二郎さんぽさを感じます まだ3冊目ですが
短編集なので各話の感想を書いてみます
『生命の木』
日本の東北地方にある、かくれキリシタンの里に残っていた因習が実際のマジのもので驚く話
そして稗田礼二郎が『トリック』の上田さんのようにも見えてきました
『六福神』
六福神がどうしてこんなどろどろの船に乗っているのか、そしてそれに貘が有効なのはどうしてなのか、調べれば分かるのだろうか
他の作品にも見られた、才気煥発で無鉄砲な女の子が登場してうれしいです
(追記、感想を書いて2週間後くらいに、なぜ貘が六福神の弱点なのかという解釈を思いつきました
七福神の乗る宝船の絵姿を、枕の下に敷くと縁起のよい夢が見られるというおまじないがありますが
この六福神も、夢を介して人間に干渉する力があるのではないでしょうか? 貘は夢を食べますから、あの六福神の巣食う町で秘かに魔除けとして伝わっていたのかも)
『鎮守の森』
驚くほど救いのない話、何故彼があんな目に
道路拡張工事で潰されたキツネ塚の影響なのだろうか
片目を潰すという儀式は、片目の神様を祀ってる神社の話だから? とにかく説明があまりない
でも怪異ってそういうもんだよな、と納得もします
『復讐クラブ』
好きです 『世にも奇妙な物語』で映像化して欲しい(もうされてるかも)
『海竜祭の夜』
稗田礼二郎さんの作画が不思議とセクシーに見えます
ゴシックホラーなどで恐怖に震える少女のようないたいけさがあるというか
しかし、あのおじいさんはどうして宝剣を持っていたのだろう 神器なのに
『毛家の怪』
女性の悋気を題材にしたお話だけど、生霊ではなく髪がその身体から離れて望みを果たすし、本人はそれに自覚的なところが、何と言うか大陸の文化を感じました
あと、侍女さんたちが仲良しなのがすごくフェティッシュです
『生首事件』
この短編集で最推し話です
栞と紙魚子、どちらも本にはさまってるものの名前
そんな話もふたりでしたりするんだろうか
相当ヤバい話をしているにも関わらず、ふたりとも天然だし独自の感性が過ぎる かわいい
『闇の客人』
大昔の祭りを、町おこしのために復活させようとする人々と、その祭の真実に迫る話だけど、祭りが悪い予感しかしない、そしてアドバイザーとして招かれてる稗田礼二郎が無力! 金田一耕助なみに災禍がいいだけ終わるまで何もできないのだった
ところで「諏訪の御柱祭で死人が出ることがある」は本当です でも祟りとかではなく、危険なお祭りだから物理的に怪我人や死者が出ているのです
『沼の子供』
これどんな話!? と驚いたのですが、好きです
それこそラテンアメリカ文学の短編にありそうな話のように思う
『子供の遊び』
一番こわい話でした “何か”の造形もこわいですが、お父さんの自分はそうでない保証はない、という結論がめっぽうこわい
『逆立猿人』
急にギャグ漫画が登場しましたが、しかしちゃんとこわいです でも某映画のパロディでもあるんですね
『夢見る機械』
SF! いいですね~ そして少年や女性の作画が妙に美しい
そしてマトリックス的な未来観でした
しかしロボットコストは高いのでは?
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おー、たけうちさん『汝、神になれ鬼になれ』読まれたんですね。
『生首事件』の私もすきです!栞と紙魚子がふたりとも天然で、怖いはずなのにぜんぜ...おー、たけうちさん『汝、神になれ鬼になれ』読まれたんですね。
『生首事件』の私もすきです!栞と紙魚子がふたりとも天然で、怖いはずなのにぜんぜん怖くないのが面白い。私も『六福神』の話を読んだあといろいろ興味がわいたので、七福神に関係する本を借りたことありました。どろ舟のことはよくわかりませんでしたけど。あと、諏訪の話が興味深いです。伝承ってその地で起こった危険な出来事がかたちを変えて「怪異」として伝えられることがありますが、そういうところからインスパイアされた話なのかなーと思いました。諸星仲間が増えるのはうれしいです。いとも簡単に異世界に連れて行ってくれる、自分にとって唯一無二の漫画家さんなので。2024/04/05 -
傘籤さん、おはようございます
諸星大二郎さんの今作はなかなか難しく、感想がゆるめのものになってしまったのですが、見て頂けてうれしいです
栞と...傘籤さん、おはようございます
諸星大二郎さんの今作はなかなか難しく、感想がゆるめのものになってしまったのですが、見て頂けてうれしいです
栞と紙魚子はそれこそ2人にしかない空気感がありますね しおりとさわ子並みの!
七福神のこと、お調べになったんですか! 元々天竺の神様などが日本の縁起物に土着化した神様…ですよね(そういうの諸星さんはお好きなんですね!)
諏訪の神様やその信仰ってとても特殊で、同じ長野県でも訳分からんとこあるんです
県民性ならぬ、地域の独特の精神性もあるくらいで、いつかnoteにまとめられたらいいんですが…
また、諸星大二郎さんの作品は読みます!2024/04/05
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妖怪ハンター稗田礼二郎が3作入っている短編集、すべて大変読み応えがあってすばらしい。
第1章、人、神になりしことまた鬼になりしこと、「生命の木」稗田・ぱらいそ「六福神」大島と渚「鎮守の森」「復讐クラブ」第2章、奇怪な事件、起りしこと「海竜祭の夜」稗田「毛家の怪」「生首事件」「闇の客人」稗田、第3章、もの、人になりしこと「沼の子供」「子供の遊び」「逆立猿人」「夢みる機械」 -
面白すぎる。風習を少しずらした話。素晴らしい。実際の歴史に乗っ取ると妙にリアリティがあるんだよな…
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パライソ…
永遠の命題。
自分にとっての「パライソ」とは何か。
幸せを感じるもの?
興奮するもの?
パライソはどこに存在するのか。
幸せとは。 -
どれもこれも、民話や神話をベースに作り上げた都市伝説のような雰囲気のある珠玉揃いの短編集。
世にも不気味なリアリティが居座る。 -
世界の民話や映画や小説の影響が感じられる作品が多くて、既視感みたいなものもあるのだけど、そこには諸星さんの個性を持って作り上げられている世界観があって面白かった。特に「生首事件」好きだー!
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読む度に違った感動があり、繰り返し読んでいる。中でも、「子供の遊び」が好きだ。
永井均さんの「マンガは哲学する」で、「子供の遊び」について解説されている。
「マンガは哲学する」での漫画の選択基準は以下の通り。「私がマンガに求めるもの、それはある種の狂気である。現実を支配している約束事をまったく無視しているのに、内部にリアリティと整合性を保ち、それゆえこの現実を包み込んで、むしろその狂気こそがほんとうの現実ではないかと思わせる力があるような大狂気」。
「子供の遊び」には、まさに、そんなある種の狂気がある。僕には、言葉に出来ないけれど。面白れぇ、と思いながら読んだ。 -
第3章『もの、人になりしこと』が好き。子供を中心に捉えたものがいい。
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いまひとつ、まとまりに欠けるものの、後味の悪さという、とんでもないものを残してくれる漫画でした。どれもこれも悪い夢みたい。とても衝撃を受けた。