威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086802178

作品紹介・あらすじ

瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛は、聡明な知性があったにもかかわらず、その出自から貴族の屋敷で下女として働いていた。
原因となったのは、尹族出身だった皇帝の愛妾・柳雪媛。皇帝の寵愛を得て絶大な権勢をほこり、謀反を起こそうとして誅された女だ。
以来、瑞燕国では尹族の地位は最下層となってしまった。不遇に耐え懸命に生きていた玉瑛は、しかし、皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われた。
あてもなく山中を彷徨う玉瑛は、騎兵に追いつかれ斬られ、柳雪媛への恨みを胸に意識を失ってしまう。
ぼんやりと意識を取り戻したとき目に入ったのは、見知らぬ女。高価な調度品。そして、女が玉瑛に呼びかけた。
「雪媛様」と――。玉瑛は時を逆しまに超え、憎んでいた女に生まれ変わっていて!? 中華幻想復讐譚!

感想・レビュー・書評

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  • 瑞燕国で最も虐げられている尹族の玉瑛は殺されて、気がつくと何十年も前の皇帝の寵姫の同じく尹族の雪媛になっていた。未来を知っていることを武器に雪媛の奮闘が始まる。最後は女帝となって、民族も性別の区別のない国づくりを目指すのだ。ここに後の将軍の青嘉が絡んでくる。
    いわゆる転生ものだが、雪媛の理想とする国づくりは、人類の永遠のテーマだろう。尹族の繁栄のみを考えないところがぐっとくるところ。青臭さを感じさせないのもいい。

  • 中華風ファンタジーというか、SF的ともいえる設定。
    奴婢の少女が、過去の寵姫にタイムスリップ?転生?

    尹族の少女・玉瑛。
    聡明で美しいが、貴族の屋敷で下女として働き、虐げられていた。
    瑞燕国では尹族は最下層。
    その原因は、尹族出身だった皇帝の愛妾・柳雪媛にあった。かって権勢をほこり、あまつさえ謀反を起こそうとして倒されたのだ。
    さらに、「尹族国外追放」の勅命が出て屋敷を追われた玉瑛は、騎兵に斬られてしまう。
    ところが、意識を取り戻したとき、周りにかしずく女官たちに「雪媛様」と呼ばれる。

    憎んでいた過去の女性に生まれ変わった玉瑛。
    虐げられる様子が生々しく、それだけに過去をやり直し、未来の尹族が虐げられないようにしようと決意する激しさは理解できます。
    あざといぐらい、グイグイ引き込むような活気のある文章。
    時代的には、唐に近い雰囲気だろうか…
    古代中国の、遣唐使が行った国ですよ。

    しかし、この設定でどう展開していくのか? 1巻だけではわからない!
    2巻がまた、予想外の展開となります。
    その後は、華流歴史ドラマをたくさん見ている人間にとっては、わかりやすいモチーフが多いのですが、史実に基づかないので、展開は予想できません。
    これは面白い!

  • かなり前から読みたいと思っていた本書。

    転生もの、タイムリープ?

    判断に迷います。

    続きを読むか、どうかが非常に悩む所ですねぇ。

    何となく同じ内容の繰り返しのような気がして。

  • レビューで見かけて気になっていたが、非常に面白かった。転生+死に戻り。
    自分の氏族が虐げられているのは謀叛を起こした皇帝の妃のせいだと怨みながら死んだら、それは自分自身だった。
    しかも妃が謀叛を起こす前からその氏族は蔑まれていた。

    転生元に死に戻ったのでやり直し、自分を殺した将軍を手元に置いたら別の要素で失敗。したと思ったらその将軍が死に戻ってそこからまた始まる。

    雪媛のトラウマを抱えながらも凛とした姿と、愚直な将軍の関係性が徐々に変わっていくのがとても良い。
    雪媛であっても玉瑛であっても男からはその美貌を求められるだけだったのに、前の人生で自分を殺すはずの男だけが彼女の本質に触れてくる。
    雪媛の野望は叶うのか、失敗したらまた死に戻るのか。彼らがこの先どうなっていくのかとても気になる。

    それにしても、雪媛に戻って玉瑛を虐げた男は赤児のうちに殺したはずだが、2回目の玉瑛は誰に虐げられていたのだろう。
    実は赤児は死んでいなかったのか、その穴を埋めるように他の者に虐げられていたのか。それが少し気になった。

  • 久しぶりにヒットした中華風ファンタジー小説。
    主人公は雪媛なのに、彼女の心情描写はほとんどなく、それを読者が青嘉とともに推測しながら読むという形だが、そこに想像の余地があり、余白があることでこの小説は面白さがある。

    主人公2人ともがとても魅力的なので、続きを知りたい気もするし、一方でこれはこれで綺麗に完結しているし。
    とにかく読んで損はしない小説だと思います。

  • まさかのパラレル設定で、一気に楽しくなってきた。
    しかも玉瑛だけじゃなく、青嘉まで…。
    最近中華ファンタジーを続けて読み過ぎて、誰が誰やら分からなくなりかけてたけど、これも続き気になる!
    玉瑛から雪媛になった7年の間になにがあったのかも気になる。

  • あらすじを読んだときは、昨今ネット小説などによくあるタイムリープものかと思ったのだけれど、何となく表紙の絵に惹かれて買いました。
    でも、よくあるリープものではなく、雪媛として目覚めてからの玉瑛の視点はほとんどなく、青嘉からの視点で物語が進んでいたので、先が気になって一気に読みきってしまいました。次にタイムリープするのは玉瑛ではなく青嘉。遡る時間も以前のものとは違う。主人公が納得いくまで何度も繰り返す、というありきたりなものとは全然違ってよかったです。

    恋愛要素も薄く、意思の疎通すら怪しい二人の、それでも相手を気にかけている姿がよかった。あからさまに思い合うのではないからこそ関係性がよく思えました。

    何故タイムリープするのか。どのタイミングで誰がタイムリープするのか、その辺りの謎?は一切解明されないので、気になる人はすっきりしない終わり方かもしれません。
    続編を希望している方もいらっしゃいますが、私はこの終わり方でよかったと思います。
    この先またタイムリープするのか、その先に望む未来があるのか。二人の関係はどうなるのか。文章としてはっきり書かれなくてもいいんじゃないかなぁ。

  • 武則天のドラマにはまった身としては、これもまた美味しくいただけました。

    はじめから先を考えては、どうするのー、これー、と何度も思い、しかも禁じ手の後ろをチラ見するまで発動させたのに、さっぱり意味は通らず、結局のめり込んで一気読みしてしまいました。

    文章も固めで節度があり美しく、構成もきれいにはまっていて、無駄なところがなく感服。

    これは、それぞれが玉瑛のことを知った第三の未来に辿り着いたということで、もしかしたら先々どちらかが死ぬ展開になっても、女帝が誕生するまで白昼夢が続くという螺旋のような展開になるのでしょうか。
    たくさんのパラレルワールドのうちの一つから、あまたの選択肢を経て形成される未来。
    発端の第一の未来は当初のものだとして、さて。
    当初の歴史を形作る柳雪媛の物語もあるはずですが、鶏卵かな。

    この先を想像するに、白昼夢の多さからして茨の道となるでしょうが、女帝誕生の未来、もしかしたら玉瑛が存在しない未来が到達点なのかもしれません。

    歴史も進化するのかも。

  • タイムパラドックスと古代中華を両方やろうとどうして思ったのか、とても面白かったです。ふぁーおもしろかった

  • 雪媛が孤独の中堂々と悪女として生きていて、その強さに心打たれる。何もかもを懸ける覚悟を持っている中で見え隠れする弱さもあって、幸せになって欲しいなと思います。過酷な運命を切り開いて欲しい。

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