平安あや解き草紙 ~その恋、人騒がせなことこの上なし~ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086802994

作品紹介・あらすじ

若さと美しさは同じものではない、けれども――。
平安時代、微妙なお年頃の姫が大活躍!

自分の半分ほどの年齢である帝から求愛されながらも、妃ではなく尚侍として後宮で働くことが楽しい藤原伊子。
元・恋人の嵩那との関係は微妙なままではあるけれど――。
そんなある日、帝の石帯から飾り石がひとつ紛失していることがわかった。
まさか後宮の誰かが盗んだ…?
疑いたくはないが、石がないことは事実。
責任を問われる立場の伊子は、石を見つけるべく周辺の女官たちに聞き込みを始める。
容疑者は「美しい」女官と、「そうではない」女官のふたりで…!?
平安後宮お仕事ミステリー。

第一話 いかなる財や名誉を持ってしてもどうにもならないこと

第二話 まったく人騒がせなことこの上ない

第三話 はしたない宮仕えのほうが性にあっている

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の尚侍・藤原伊子は聡明で明るく、機転が利き、思いやりもあって部下たちの人望も厚い。後宮内の事件も頭を働かせて解決してしまう。いやはや、完璧すぎ?いやいや、ちゃんと愛嬌もあって魅力的なのだ。若き帝からの求愛を固辞しているが、帝の立派さにも惹かれ始めているので、嵩那親王くんもうかうかできない。3篇ともちゃんと謎があって面白い。弟の実顕の話がよかったなあ。頼りないと見られていたが、ちょっと頑張ったねえ。

  • 面白かった。読んでいると忘れそうになるも、時折引き戻される伊子の年齢。まあ、平安時代なので孫がいてもいい年齢ではある。しかも、ちょっと年下の超男前宮様が元彼で、半分の年齢の帝からも求愛されているという、恋愛小説らしいモテモテで、仕事もできる美婆。これこそラノベ恋愛無双。
    今回は本当の犯罪(誤解ではない)が起きて、その謎解きをする。
    仕事仲間に嫌われている性格の悪い女官、嫌われていたり、貧乏だったりすると犯罪が起きたときに犯人に仕立て上げられる傾向にある、というのをおもいださされた。危険な大衆心理を上手く話にもりこんでいる。

    「さりなれど私は、尚侍の君がご自分で仰せになるほど、主上と不釣合いだとはけして思いませぬが」
    「確かにご年齢は離れておられますが、古今東西例のない話ではございませぬ。おのれの年齢も顧みず、若い女人ばかりに固執する高齢男性よりよほどよいかと」
    「分かりますよ!自分はしみ皺だらけの小汚い面相なのに、女は十六歳以下じゃないととかほざくずうずうしいちゅうんえのとこってけっこういますもんね」
    「いるいる!馬鹿じゃないのって思うわよね。若い女だって若い男がいいに決まっているのに、肌艶や声の張りとかを比べたら一目瞭然なのに、格好だけ若々しくしてかえって痛々しいというものよね」

    千草と女房たち
    面白いです。落窪物語とか思い出すねぇ。
    また再読しようっと。

  • 今回もとても面白かった。
     尚侍 伊子が宮中の中で生き生きと仕事をこなし些細な事件を解決していくのが微笑ましい。特に、「玉響物語」につての話が当時の物語を楽しんでいる人々を見ているようで興味深かった。

  • 筋立ては現代と変わらないが、平安朝の後宮の雅な生活が舞台なので、華やかな感じ。
    ヒロインの伊子のキャラがなかなか良い。
    人生のモテ期はいつ来るかわからない。油断せずに、女子よ、過ごすべし。

  • お騒がせな恋。
    誰かを思う気持ちから疑念疑惑、不安などが絡む行動はだいたいお騒がせですよねぇ。
    楽しめました

    2021.4.3
    44

  • 202010/シリーズ三作目。伊子の弟話の回が一番面白かった。玉響物語、読んでみたい笑。

  • 宮中お仕事ライトミステリーの三巻目。

    今巻は3つのお話のどれも謎解き色が強かった。いつも通り謎解きには余り興味がないので(笑)物語と言うかキャラたちの心情の方を楽しんでいたのだ。
    平安のビブリオバトル的な展開が出てきて面白かった。昔から本好きのすることは一緒だなあ(笑)

    伊子と嵩那の間はいろいろ気を利かせてもらっているのに進展せず。見ていてちょっと焦れったい。まあ、わたしは主上派なのでいいけど(笑)
    でも今回のラストでは主上の強い想いが二人を貫いて、それぞれになにやら変化が起こりそうな予感。
    個人的には最初から言ってるんだけど主上には頑張って欲しいなあ。
    あと、実はこのあとの巻を先に読んでいたことを読み終わってから気がついた……

  • 1. 自分がブスだと思い込んで下の者に陰湿にひどく当たる女房と、美人を鼻にかけて泥棒する下働きの女子。困ったさんの部下に振り回されて、部署のトップの責任の取り方とは、と考える伊子。
    2.伊子の弟と、その幼い奥さんの惚気まくりのお話。そこに、都でいちばん人気の物語が騒動を起こす。玉響物語が面白そうだった(笑)作者とか、ネタはすぐ読めたけど、弟夫婦がバカップルでかわいい❗
    3.帝の乳母登場で、ひと騒ぎ。伊子は帝の今の本気を知る。つられて、嵩那宮も本気出す!みたいな。
    次巻はやっと、三人のマジ恋展開かな?
    期待してる。

  • サブタイトル通り、伊子の弟夫婦がバカップルでお騒がせでした。そして、嵩那と伊子の両思いに加え、今帝の伊子へ対する想いが交差して、どうなるかハラハラです。

  • 今回はお話は3つ。
    伊子の弟君夫婦の側迷惑な喧嘩のお話が好き。
    あとから「あ、そういえば…」と思わせる一言が埋め込まれていて。
    右近さんも空木も乳母君も、迷惑なひとが多かったわー
    その中で主上の聡明さが際立つ。

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著者プロフィール

埼玉県出身、佐賀県在住。「平安あや解き草紙」「なりゆき斎王の入内」シリーズをはじめ、数々の人気シリーズを執筆。その他の作品に『西陣あんてぃく着物取引帖』『お師匠さまは、天神様』『後宮の薬師』『掌侍・大江コウ子の宮中事件簿』などがある。

「2023年 『華は天命を診る 莉国後宮女医伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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