あの日、あの駅で。 駅小説アンソロジー (集英社オレンジ文庫)

  • 集英社
3.55
  • (2)
  • (8)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 152
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803441

作品紹介・あらすじ

その駅で降りたら、過去へとつながる物語が動き出す。
ノスタルジックで瑞々しい、4つの駅のちょっといい話を集めた珠玉のアンソロジー。

「駅はなにも変わってないけど……。少しずついろんなものがなくなって、なくなったものはもう戻ってこない。」(「カントリー・ロード」より)

おばあちゃんの家を処分するために降りた西武池袋線清瀬駅で見つけた家族の顔。会社に行くのが嫌で降りた江ノ島電鉄鎌倉高校前駅で出会った『人の顔が見えない』少女。JR四国予讃線伊予上灘駅で食べた塩むすび。そして、決別したはずの「能」と再会した東京駅から京都駅へ。そこで思いがけないことが待っていて……。

時が経ち、建物は古び、あのとき待っていてくれた人はもういない。
でも駅は色あせない思い出と、新しいドラマを紡いでいく。
あなたにもそんな「駅」ありますか?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  4つの駅を舞台とした、4つの心温まるストーリーが楽しめます。東京、神奈川、愛媛、京都の駅です。私はこの舞台となった駅のうち2つには行ったことがありますが、2つは駅名すら知りませんでした。

     そんな私でも4つのストーリーは全て楽しむことができました。知っている駅では「そういえばそんな立地だったな」や「その気持ちわかる」といったような地元あるあるが楽しめましたし、知らない駅では未知の場所、でもそこにいけば確実にある場所の風景を想像して楽しめました。

     感動的なストーリーやホッとする結末が中心です。悪く言えば大どんでん返しもない、特別な設定もない平凡なストーリーですが、私はこういったジャンルの本が無性に読みたくなる時期があり、今まさにその時期だったので、個人的には大当たりでした。

     誰かのちょっと特別な日常は見ていて楽しくなるものです。年度末から新年度にかけてバタバタとしている方も多いかと思います。私はそんな方にこそ本書をお勧めしたいです。

  • 清瀬駅、鎌倉高校前駅、下灘駅、京都駅。
    それぞれの駅にまつわる心優しいアンソロジー。
    清瀬駅以外は、美しい風景も目に浮かぶようで、疲れた心にはとても染みる。
    手に取った理由はほしおさなえの作品が収録されているからで、それ以外の作家さんは初読み。
    そして、意外にもほしお作品以外がとても良かった。
    特にお気に入りは下灘駅を舞台にした「どこまでもブルー」。
    作品にも描かれているが、鉄道ファンならば知らない人がいないと言ってもいいくらい絶景の下灘駅。
    その下灘駅を日常的に利用する地元の人に移る観光客の描写が絶妙だったが、後半描かれる主人公の亡くなった母の想いがとても切なかった。
    「クジラ・トレイン」以外は家族の絆を描いているが、どの作品も後ろ向きになった心をそっと包んでくれて、前に歩き出す力をくれる良作だと思う。
    そこまで堅苦しくもないので、リラックスしたい時に読むのもおすすめ。

  • 【収録作品】「カントリー・ロード」 ほしおさなえ/「クジラ・トレイン」 崎谷はるひ/「どこまでもブルー」 岡本千紘/「夜桜の舞」 奈波はるか

  • どの作品も、心が温まる作品でした。一緒に電車に乗ったり、バスに乗ったり。そして少しづつ変わっていく主人公達の心に寄り添って、自分も変わっていくようなそんな一冊でした。
    私のお勧めは「どこまでもブルー」かな?

  • 面白かった~。読みたい本リストに入れていたら、まさかの娘が先に借りて読んでいた。笑

    面白かった、と、聞いたので、わたしも慌てて(笑)借りてきました。

    面白かった~!! (二度目)

    やっぱりほしおさなえ氏はすごい厚いパンチを繰り出してきてくれはるし、奈波はるか氏!!! なつかしい…!
    わたしが唯一読んだ奈波はるか氏はコバルトの舞妓さん(…くん?)の話で、16年ぐらい前やと思う。

    あの本も続きが気になってるんよねえ…。買うほどではない(失礼)ねんけど読みたい…。
    当時のコバルトのパワーが全開やったと思う。

    アンソロジーとしても、面白いなあと思った。
    駅をテーマってことやけど、そんなゴリゴリに「駅」って感じじゃないねんな。
    正直、テーマが駅っていうことを忘れるぐらい、主軸や主人公の視線は別のところにある。

    なのに、それぞれが大事な結論をするとき、またその岐路が駅やった。

    ああ、駅って、出発する場所やもんなって思えて、作家さま方の筆力のすごさに圧倒されたなあ。

    短編集ならではの圧。アンソロジーならではのバラエティ。ほんとうに素晴らしかった。

    アンソロジーのよさって、若いころ(わたしが)はあんまりわからなかったんやけど、最近すごい好きかも。

    ちゅうか、このくらい短くて切れ味のいい話のほうが読みやすいってだけかな。
    (長編は切れ味が悪いっていうわけではないです)

  • 崎谷さんとほしおさん目当てで呼んだ。ほしおさんの優しい文章に切なくにったり、崎谷さんの作品は、そういえばコロナを描いた物語って初めて読んだなー。現実の辛さと不思議さが絡まって好きでした。3作目のどこまでもブルーはすごくおなかかすく作品。

  • 明子さんリリース

  • あんまり読み進められなくてちまちま読んでいたけれど、積読多すぎて解消しようと手をつけました。
    おにぎりのお話がとても良かった!最後の能のお話も、こういう機会がじゃないと読まないものだなぁと。
    クジラのお話で、相対する、個々で流れの違う時間というフレーズがなんとなあくだけど心に残っています。
    4人の作家さんが入っているので得手不得手はとてもあったけれど、読み切れて良かったと思います!

  • よかった

  • 西武池袋線 清瀬駅
    江ノ島電鉄 鎌倉駅
    JR予讃線 下灘駅
    東京駅

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしおさなえの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×