青の女公 (集英社オレンジ文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086804196

作品紹介・あらすじ

北方領主の父を冤罪で亡くし、絶望に心が壊れた家族を人質にとられ、リディエは下級女官として王宮で働かされていた。
そんなリディエのたったひとつの望みは、平穏に任期を終えて故郷に帰ることだった。
ところが想定外の命令が下された。それは婚姻関係が破綻しているスキュイラ王女と婿であるヴァシルの仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをしろというものだった。
真面目に任務をこなそうと、まずはヴァシルの国民からの支持を得ようと協力したのだが、それはスキュイラの思惑に反していたようで……?
故郷へ帰ることだけを願っていたリディエの働きは、やがて国を揺るがす動乱へと繋がり、リディエ本人の運命も大きく変化させていき……?
下級女官が駆け抜けた、壮大な王国年代記!

感想・レビュー・書評

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  • これは切ない(T ^ T)

    敵国へ送り込まれ、家族は人質。

    挙句に粘着質のDV野郎に騙されて。

    読み応えはありましたが、やはり、救いが欲しかったかも。

  • 家族を人質に取られた亡領の公女が、世継ぎの王女とその婿の王子との仲を取り持つよう命じられる。王子の印象改善に成功し、彼と微妙に距離が縮まるうちに、彼を取り巻く陰謀に巻き込まれていくヒストリカルロマン。…なのかな?ジャンル分けが難しい。
    女性政治家の波乱に満ちたの半生の物語であることは間違いないけど、事態が二転三転して登場人物達の印象ががらりと変わっていく怒涛の展開がとても面白かったです。
    この序盤の流れからこうくるのか、と良い意味で予想を外してくる感じ。
    しかし最後まで読み終わり、テーマが明らかになると、序盤の流れも成程と納得がいくというか。
    理不尽に奪われて虐げられた人が、その鬱憤や欲求不満を、より立場の弱い人に向けて搾取しようとし、それでいて弱者に依存しようとする人間の悲しさが怖いし、そこから立ち直るにはどうしたらいいのかね。ヴァシルは殺されるしかなかったんですが…。
    DV男死すべしって話なんだけど、主人公がヴァシルを殺すと決めても、彼のの心情や命を慮ってしまったり、問題が解決してもトラウマが残る感じが正にDV被害者のそれで生々しい。
    ていうかヴァシルがサイコパス過ぎて、中盤〜終盤はちょっとサイコホラー味も感じられました。
    スッキリ爽快、楽しい!って作品ではないけど、味わい深くて主題がはっきりとしていて、私は滅茶苦茶に好きでした。

  • 恋愛というよりは政治、だったんだけど、最後で一気に色が変わった。

  • 青の女公、めちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃ面白かった!!!!!!終始息を詰めて読んでいた……ど、どうな……ええ!?……ど、……ええ!?ええ!?という何だ、ジェットコースターとはまた違うんだよな、ひとつひとつの因果が積み重なっていくような……ような……

    憎しみはそう簡単には捨てられないのだ……
    我々が獣道をゆけば子の代ではレンガが敷ける という台詞がよかった。というか台詞すごい全部良かったな。
    私は何ひとつ貴方の思い通りにはならない(※ただし生涯その幻影がつきまとう)という

    こういう領地経営ものって言うんですかね、女傑が主人公のやつのエピローグで死に様が語られるやつスゲ~~~すきなんだけど、その棺におさめられたのが赤い薔薇というのがう〜〜〜〜〜〜〜ん示唆に富む!!!!!!って感じだな、その一抹の後味の苦さが凄くいい。呪いじゃん。彼女の人生には大いなる栄光があるが、同時にあの男(たち)が影を落としていたんだよな。狂気と正気の狭間の表現と、しかし狂気もまた確かに彼女の人生の一部であったというのが凄く……よかった……。

    あの(無謀な)未来を実現させるのは自分をおいて他にいない、みたいな言い回しもよかった
    別に性癖どストライクとかではないんだけどシンプルに物語と登場人物と日本語の並びに殴られた感じだった
    めちゃくちゃよかった
    感謝。ありがとう

  • ものすごく骨太な架空世界の歴史小説を読んだ気分。
    主人公であり女公でもあるリディエが、賢く強いけれど、脆さを持ち合わせているのが非常に魅力的だった。

    彼女には作中大勢の求婚者が現れるけど、こんなに有能で聡明で誇り高い、でもどこか少し危うい弱さを抱えた女性だったらそうなるよなぁ〜という納得がある。
    支えてあげたいし側で守ってあげたくなる気持ちがすごくわかる。

    魅力的なヒロインだけれど、下手に守ってくれる男が現れて恋をして愛を育んで云々、と言う安易なストーリーにならなかったのも素敵。

    魅力的かつ能力もある男たちは現れるし、彼女を守ってくれるけれど、安易な形で愛だ恋だとならなかった。愛の形は人それぞれ。

    キャラクターの印象が二転三転するのも面白かった!登場時はとても好きになれそうになかったキャラが、どんどんと好きになったり、逆に好感を持っていた相手がとんでもなく怖くなったり。

    本当に面白かった。読めたことに感謝。

  • 王女と婿入り公子の仲を取り持つために奔走してたら殺されかけて、休止に一生を得たら王女に領地をもらって有能主人公が統治頑張ってなんやかんやで強い女公に。
    序盤、婿入り公子が始末されるから助けるくだりで、いつの間にか人を手配して助けようとしててそんな権力あったかな?一回見捨てたし仇の息子よね?と思ってたところに、主人公が殺されかける。これはもう完全に婿入り公子悪役やんけと先とオチが読めてしまい、その過程を読む気になれずななめ読み。
    ちゃんと読めば面白いかもしれない、けど、読む気になれなかったので、この評価です。

  • ラストに救いがないなぁ、って思った。

  • リディエ自身にあまり力が無くて、状況に流されっぱなし。流された先々で頑張っているんだけど、あまりリディエに魅力を感じない。恋はしてる暇もする気も無く、ほかの要素も無いため、もうちょっとキャラに魅力があると良かったなと思います。

  • 北方の領土を残虐公から取り戻し、女王となるべく政策を練り足場固めをするスキュイラと共に、国に安寧をもたらすため奮闘するリディエのルナヴィア王国年代記

    手に汗握る転落と裏切りの展開に一気読み
    面白かったです!

    政略結婚や女である事の不利、男尊女卑的な文化思想がこれでもかと盛り込まれていて、胸が痛いです
    そして作中では、それを覆すには結局のところ、結婚出産をしない、しかなかったのも、物悲しい気持ちになりました
    でも、そういう部分でも現実的なのがとても良かったと思います
    どのキャラも立ってた

  • まさかこんな話だったなんて。

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著者プロフィール

函館出身。札幌在住の文筆業従事者。近著に『黎明国花伝』(富士見L文庫)がある。

「2017年 『ガシュアード王国にこにこ商店街3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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